JA2016

JA2016

 終わってから時間が経過してしまいましたが、2016年国際航空宇宙展に行ってきました。
Ja2016
休暇を取ってトレードデイに行って講演も一つ聞いてきました。
https://www.japanaerospace.jp/jp/tradeDay.htm

 早めに行って9時過ぎにはついたのですが、スーツ姿の会社員がほとんどです。まあ、トレードデイなので趣味で行く人よりも仕事で行く人の方が多いのでしょうね。当然ながら、モーターショーのように長い行列が出来たりはしていません。ちょっと早すぎたかなと思いましたが、中へいくとセキュリティチェックをやっています。なので、会場の入り口へついたのは開始時刻の9:30ちょっと前でちょうど良かったです。
 ビッグサイトの西館の1階と2階が会場でした。簡単に言えばモーターショーの航空宇宙版ですね。大手メーカー(MHI、KHI、IHI、スバルなど国産勢、ボーイング、ロッキードマーチン、エアバス、ベルなどの海外勢)、部品メーカー、自衛隊を含む「官」と各種団体、大学、それから海外ブースなどがあります。
 大手は良いのですが、部品メーカーのブースで見ていると当然ながら何をお探しですかと声をかけられてしまいます。モーターショーもですが、こちらは尚更、趣味で見ている人は少ないので。そのため、なんか悪い気がして国内の部品メーカー系は余りじっくり見ませんでした。
 外にはF-35のモックアップが展示されており、コクピットに座ることが出来ますが、長い行列で当然のようにパス。
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更にその向こうに米軍のUH-60が展示されていて、これは実物(かなりポンコツ)で、座り放題触り放題でした。(^^)

 講演は会議棟で行われました。一度外へ出る必要があり、戻る際にまたセキュリティチェックを受けなければなりません。その分余計な時間がかかります。

 聴講したのは「完成機事業の推進と航空機産業の発展のための取組と課題」で、東大大学院工学系研究科 航空宇宙工学専攻 教授の鈴木 真二 氏の基調講演 「完成機事業の特質とその活用」とパネルディスカッション「完成機事業が航空産業やわが国経済にもたらすものとそのために必要となる取り組み」です。後者は、司会が東大総括プロジェクト機構 航空イノベーション総括寄付講座授 渋武 容 氏で、参加者が前述の鈴木教授と以下の方々です。

    経済産業省 製造産業局 航空機武器宇宙産業課長 畑田 浩之 氏
    国土交通省 航空局安全部航空機安全課長 川上 光男 氏
    (株)ANA総合研究所 航空・産業政策グループ 主席研究員 山田 圭一 氏
    三菱重工業(株) 交通・輸送ドメイン 事業推進戦略室 マネージングエキスパート   伊藤 一彦 氏

 経産省の畑田課長は三つ掛け持ちだとかで後から参加されました。国交省は認証関係で、経産省は産業育成とい観点。ANAはユーザー、MHIはメーカーの立場です。

 合計2:45と結構長い時間だったので細かく書きだせばえらく長くなってしまいますが、簡単に要点だけ述べます。

 完成機事業があってこその航空産業です。部品メーカーではユーザーであるエアラインと直接会話することがありません。また、規制や国際規格の策定などに参画するのも困難です。型式や耐空認証を取るのにはノウハウが必要ですが、それも得られません。利益という点でも部品だけよりは全体をやった方が良い産業です。
 しかし、完成機事業、特に旅客機はリスクが高い事業でもあります。初期投資が厖大であり、その後も技術革新や規制強化に対応していかなければなりません。タイムリーに製品を送り出さないと商売になりません。ほぼ同時期に開発が始まった707とコメットですが、空中分解事故もあり、先に初飛行したコメットが本格的な量産は遅れ(耐空認証取り消しもあり)、結果的に、707の前に大敗したという歴史もあります。
 しかし、新規参入が難しいが故に一度成功すれば低価格競争に巻き込まれないですみます。すそ野が広い産業ですので、大手メーカーだけではなく、部品メーカーの仕事も出来ます。経産省としては、自動車の国内生産が減少する分を航空機産業で補いたいようです。もっとも、今の見込みではとても補えるほどの規模ではありませんが。
 その実現のためには国・地域の支援が重要です。カナダのボンバルディア、ブラジルのエンブラエムはそれにより成功しました。そして、初期投資により得たアセットを生かすためには継続して製品を送り出す必要があります。そうして初めて初期投資がペイ出来ます。
 また技術者の養成も重要です。大学の航空系学科は研究・開発者の養成しか出来ていません。高専も大学予備校と化しています。もちろん、研究・開発も重要ですが、それ以外に試験技術者やカストマーサポートの技術者が必要です。もちろん、整備も。今後、完成機事業を推し進めるためにはこれらの研究・開発以外の技術者を養成出来る教育機関が必要です。
 カストマーサポートは重要ですが、従来は不十分でした。YS-11の時には不足しており、エアバスも当初は軽視していました。それに対してボーイングは当初から重視しており、ボーイングの成功の一因はここにあります。「カストマーサポート」とカタカナで書きましたが、日本語で適切な言葉が浮かびません。ついで言えば、私の本業は業種は違いますが、まさにこの「カストマーサポート」です。単なる保守サービスではなく、問題が見つかればそれをくみ上げて原因を特定し、解決策を見つけて、それをユーザーに展開する、そういうことを意味します。
 試験技術者の養成が重要だというのは航空機の規格が性能規格であって数値規格でないためです。このため規格に合致するにはどうすればいいのか?それにはノウハウが必要であり、そのための技術者が必要なのです。性能規格であるのは進歩が早く規制強化も頻繁にされるためです。
 こうした背景でMRJの開発が進められています。MRJが成功すれば、第二世代、第三世代の航空機を送り出せます。失敗すれば次はもはやないでしょう。しかし、簡単な道のりではありません。ボンバルディアですら財政難に直面しています。MRJが成功すれば、エンブラエムとの2強になれますが、失敗すればエンブラエムが独占することでしょう。そして、講演では触れられていませんでしたが、もしかすると中国が日本を超えて、2強の座につくかもしれません。低価格競争よりはましですが、厳しい競争を生き抜かないと、2強の座にはつけません。個人的はかなり厳しいと思っています。ですが、成功を祈りたいと思います。
 私の印象に残った部分中心に簡単にまとめたので、同じ講演を聞かれた方からは「え?そんな話だったけ?」と思われることもあるかもしれませんが、ご容赦ください。

 個々の展示で面白かったのはまた後日。

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