戦史・軍事

6/30/20’:FX:防空軍派の勝利?FXは空対空重視!?

 以下は河野防衛相が書いた「次期戦闘機」という記事です。
https://blogos.com/article/467704/
 公式にはまだ何も発表されていませんから(少なくとも私が知る限り)、非公式なものですが、現役防衛相が書いたものですから、公式発表に準じるものと考えて良いのでしょう。

 以前も述べたようにF-2後継機=次期戦闘機なのでFXと呼びます。また、F-15JのJ-MSHIP機の更なる近代化改装型はF-15J改と呼んでおきます。まあ、今回で改3型位ですが、F-4EJ改の前例に倣います。


 FXは航空優勢を獲得するため、主として空対空戦闘を行うことを想定し、以下の性能が求められるとしています(引用した上数字は私がつけています)。

1.航空自衛隊や米軍の航空機に加えて、海上自衛隊や陸上自衛隊の装備品とネットワークで連携して戦う能力
 
2.高いステルス性と探知性能に優れたセンサー
 
3.各種の妨害を受けながらも電子戦を継続できる能力

 そして、能力向上の改修を自由に行えること、拡張性の確保が必須だとしています。


 また、F-15J改は約70機とされています。FXの生産数は明記されていませんが、F-2と置き換えなら、FXの生産が完了した時点で
F-35A:5個飛行隊
F-35B:2個飛行隊
F-15J改:3個飛行隊
FX:3個飛行隊
計:13個飛行隊
という体制になるのでしょう。1個飛行隊は機種により異なるのでしょうが、20機前後。
 ただ、新規開発してたったの70機だと1機いくらになることやら。F-15J J-MSIP機は約100機ですから、差し引き30機。DJは改修しないという情報がありますが、数から言えば、改修DJ以外の約70機、そういうことですね。DJをどうするのかはわかりませんが、そのまま教育用(第23飛行隊)と飛行教導隊で使うのでしょうか?それともF-15J改以外は退役させて、その分、FXを生産するのでそうか?それなら約100機生産出来ます。これでもまだ少ないのですが・・・。

 さて、河野防衛相の表現をそのまま受け取れば、FXは言われている通り、空対空用で、国内メーカー主導により新規開発されるということです。つまり、防空軍派が空軍派を押さえたということになるのでしょう。

 ですが、本当にそうなのでしょうか?

 求められる性能を改めて確認しましょう。2.は空対空戦闘に重要な性能ですが、空対地や空対艦でも極めて重要です。「探知性能」が何を探知するかによります。現代の空対空戦闘では、自機のレーダーを目標探知に使う時間は短いはずです。IRSTやF-35のEOTSのようなパッシブセンサーは必須ですが、AWACSなどの支援を得て戦うのが普通でしょう。ですから、これだけを見て、空対空重視とは言い切れません。第5世代以降の戦闘機に必須の能力だと言えるでしょう。F-15J改でも優れたセンサーの装備は可能ですが、ステルス性は無理です。大改装しても現在よりもRCSは小さく出来るでしょうが、第5世代機は当然遠く及びません。元々4世代機で最大級のRCSですから(苦笑)。

 3.は勿論、空対空戦闘に重要な性能です。ですが、空対地や空対艦でも重要です。これは当然ながら現代の戦闘機に必須の能力です。当然、F-15J改にも求められます。

 問題は1です。空対空重視なら「航空自衛隊や米軍の航空機とネットワークで連携して戦う能力」は当然です。しかし、そこに「海上自衛隊や陸上自衛隊の装備品とネットワークで連携して戦う能力」が加わるのは?空対空重視の戦闘機ならこれが一番最初に来るのは不自然です。これは明らかに空対艦や空対地のための能力です。

 つまり、求められている能力は、空対空、空対艦、空対地の全てに優れるマルチロールファイターそのものです。これはどういうことでしょうか?

 再度文言を確認しましょう。河野防衛相は「主として空対空戦闘を行うことを想定」としています。能力として空対空重視とは必ずしも言っていません。あくまで、FXは空対空戦闘を主に行うと言っているだけです。

 以前も述べましたが、FXを新規開発するとしたら、最大の敵はF-35です。運用コストはとりあえず別にして(FXも運用コストが低いとは思えませんし、F-15J改にしても低いとは考え難いですし)、調達費で比較すれば、相対的に安価で、十分な(最上ではないにせよ)ステルス性を有しており、高い能力のセンサーを持っています。F-35は空対空重視の戦闘機ではありませんが、現在の戦闘機でF-35を空対空戦闘で圧倒出来るのはF-22位でしょうが、そのF-22も電子戦装備やセンサーはF-35よりも一世代古いですから、状況によっては、負ける可能性すらあります。F-22が圧勝出来るとすると空自が大好き(イメージです(苦笑))な格闘戦の訓練だけでしょう。
 FXはそのF-35を越える必要があります。ですが、マルチロールファイターとして、F-35を越えるのは恐ろしく大変です。ですから、F-35を越えられるとしたら、重視する性能を絞り込む必要があります。これも以前述べたように空対空に特化した戦闘機か、F-35よりも大きなウェポンベイを有する戦闘機のどちらかでしょう。
 防空軍派が望むのは前者であり、空軍派が望むのは後者でしょう。どちらも難易度は高いですが、強いて言うならば、後者の方がまだ現実味があります。機体を大きくすれば、搭載力はF-35を越えられます。前者は技術的に可能かどうか疑問があります。それはほぼ、現段階では世界最高を目指すに等しいですから。

 次回に続く。

| | コメント (0)

6/19/20’:DDG(イージス艦)増勢!?

 まずは、祝プロ野球開幕、祝開幕ライオンズ勝利!
 さて、本題。防衛大臣記者会見を見ると、アショアは停止ではなく、中止ですね。
https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2020/0616a.html
https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2020/0619a.html
 防衛省は停止し、官邸・NSCに中止を上申し、決定は官邸・NSCがする、という形式を踏むだけだと思います。元々が官邸・NSCから落ちてきた話ですからね。

 さて、イージス・アショアによりDDGの運用を楽にするはずだった訳ですが、どうするのでしょう?勿論、当座は今と同じです。そして、どうもDDGの増勢を防衛省は考えていると思われます。いや、原因と結果が逆なのかもしれません。特に秋田では地元の反対が強く、いつ実際に配備出来るかわからない状況です。そして、アショアは秋田と山口だと対北朝鮮用で、対中国用には最適とは言えません。対中国ならば、北陸と南九州のどこかに配備すべきでしょう。SM-3はICBMを迎撃出来ませんから、中国本土から北朝鮮を越えて日本に撃ち込まれたらどのみち手が出ません。そうすると相対的に射程の短いIRBM以下の弾道弾に備えるべきでしょう。そうすると目標になるのは南西諸島から九州だと思われます。岩国位はありえるかな?
 トランプ大統領は北朝鮮とは対決ではなく、宥和政策をとっています。自分のレガシーにするためでしょう。それに対して、当初はともかく、最近は中国に対しては強攻策をとっています。であれば、対中国で余り役に立たない現行のアショアよりもDDGの増勢を求めてきた可能性もあります。一般的に言われているのと異なり、アショアはアメリカに買わされたのではなく、アショア中止、DDG増勢がアメリカの要望かもしれません。トランプ大統領の言動と行動、「軍事的合理性」から納得出来る話です(ちょっと陰謀論入っていますが)。私は配備場所を変えて、アショアは継続すべきだとは思いますが・・・・。勿論、コストを理由に外されたSM-6も装備して。

 さて、DDG増勢となると、河野大臣の記者会見からも、個人的には嫌ですが、LMSSR(なんか奇跡的に正式採用されてSPY-7になったらしいので、嫌だけど、SPY-7とこの後は呼びます)がそのDDGに使われそうな雰囲気です。個人的にはとても嫌な展開です。
 いずれにしても9隻目のイージス艦が建造されるなら、それはSPY-1ではありえません。常識的に考えれば米海軍と同じSPY-6であるべきですが・・・・。
 ただ、逆に言えば、どうせSPY-7を使わされるのなら、9隻目以降のイージス艦は従来と異なるデザインでも良いと思います。そうすると思いつくのがMHIのFMF-AAWです。
https://www.navalnews.com/event-news/pacific-2019/2019/10/pacific-2019-mhi-unveils-opv-ddg-designs-based-on-future-jmsdf-frigate/
 これを見た時は、輸出以外に採用見込みがないんだけれどと思いましたが、可能性が出てきました。まさか、これを見越していた訳ではないでしょうが・・・。
 VLSは64+16で現行DDGよりも少ないですが、一回り小型ですし、省力化も期待出来ます。FFMとファミリー化出来れば利点は多いでしょう。

 DDG増勢といっても人はいませんから、乗員の合計は増やせません。なら、DDG/DDをより省力化したものと置き換えていくしかありません。
 4個護衛隊群用のDDは20隻として、むらさめ型9隻、たかなみ型5隻、あきづき型4隻、あさひ型2隻です。これらの乗員数は合計で3645人。これをDDG 4隻、DD 16隻と置き換えて、必要な乗員数を3645人以下にすれば、とりあえず人の話は解決します。とはいえ、将来的には更に減らす必要がありますが。
 FMF-AAWベースの新DDGの乗員数は不明です。まや型が300人ですが、これよりは減らせるはずです、というか、減らすために新型にします。2割減の240人を目標にします。するとDDGで960人です。あきづき型とあさひ型は新しいのでそのまま残すしかありません。この6隻で1260人も必要です。残り1425人。たかなみ型5隻は残すとすると889人。残り536人。5隻ですから、1隻あたり107人。答えは簡単ですね。むらさめ型9隻を退役させ、新DDG4隻とFFM5隻と置き換えます。これで総数はほぼ同じです。現状の30FFMよりは重装備になると思われるので(VLSは最初から装備するし)、若干乗員数は増えるでしょう。
 DDG4隻の建造には予算含めて相応の時間がかかります。まや型は起工から就役まで約3年。予算化から約4年かかっています。
 これから本格的に設計するんで、もし、来年度に予算化できるとしても
2021年予算化
2022年起工
2024年就役
です。まや型は続けて2隻建造しています。FMF-AAWベースだとするとMHIで建造ですが、下請けとして他でも建造は可能でしょう。なので、予算さえ付けば、2021年に2隻、2022年に2隻予算化し、2024年に2隻、2025年に2隻就役も不可能ではありません。とはいえ、アショアの予算を転用するにしてもかなり苦しいでしょう。
 そうすると今の中期防で2隻、次の中期防で2隻予算化でしょうか。設計の時間もあると思いますので、
1番艦:2023年起工、2025年就役
2番艦:2024年起工、2026年就役
3番艦:2026年起工、2027年就役
4番艦:2027年起工、2028年就役
位でしょうか。

 概ね、2030年の護衛艦隊は、「大きな変更」が無ければ
 DDHx1、DDGx3、DD/FFMx4
という編制になるでしょう。
 
 それとは別に現在の予定ではFFMは22隻建造されます。はつゆき型、あさぎり型、あぶくま型の16隻で、2880人です。FFMは3隻に4組の乗員を用意して運用するとされていますが、22隻は3で割り切れないので、3隻ちーずが6個、4隻チームが1個になるのでしょうか。この場合、必要な乗員は2900人ですから、16隻のDD/DEとほぼ同じです。この他削減する掃海艇がありますので、ミッションパッケージを搭載し、それに従事する人員もなんとかまかなえるでしょう。
 
 2030年にはたかなみ型も艦齢は24-27年に達します。2030年代には代艦の建造も必要でしょう。人手不足は深刻になっているでしょうから、これらの置き換えはFFMかその発展型になる可能性が高いように思います。ただし、数を減らして、DDGと置き換えはあるかもしれません。ただし、護衛艦隊の編成にもよるでしょう。
 
 いつまでも基本的に同じ編制の4個護衛隊群という体制が変わらないとは思えません。質的にはともかく数的には減らすことも考えるべきでしょう。BMDはあくまでDDGが担うとすれば、こんごう型は代艦を当座は建造せず、再度改装(最低SM-3ブロックIIとSM-6の運用能力は必要でしょうし、レーダーの換装必要でしょう)して現役にとどまりつづけると思われます。2030年代には艦齢40年に達しますが・・・。

 以前2040年頃の編制を以下のように提案しました。
http://moy.cocolog-nifty.com/blog/2019/02/post-b9b8.html
 今回はこれを元に近年の変更などを受けて、2030年代の編制の私案を以下に示します。


第一艦隊
 第一護衛隊群:外洋部隊
  いずも、DDGx4(まや型と新型)、FFMx4

 第二護衛隊群:外洋部隊
  かが、DDGx4(あたご型と新型)、FFMx4

 第三護衛隊群:BMDと日本海部隊
  DDGx4(こんごう型)、DDx2(あさひ型)、DDx4(たかなみ型)

 DDH(CV)x2、DDGx12、DDx6、FFMx8:計28隻

第二艦隊:水陸両用、掃海、近海警備
 第一水陸両用群
  ひゅうが、DDx2(あきづき型)、LSD(新型)x2、FFMx6、MSO/MSCx6


 第二水陸両用群
  いせ、DDx2(あきづき型)、LST(おおすみ型)x3、FFMx6、MSO/MSCx6

 第一哨戒隊群
  FFMx3、OPVx6

 第二哨戒隊群
  FFMx3、OPVx6

第三艦隊:潜水艦隊
 第一潜水艦群
  ASRx1、SSx12

 第二潜水艦群
  ASRx1、SSx9

以上、正面戦力は
 DDHx4、DDGx12、DDx10、FFMx26、OPVx12、SSx21、LSDx2、LSTx3、MSO/MSCx12、ASRx2
です。FFM含めて、「護衛艦」は、52隻で、現在の計画よりも2隻減ります。FFMは現在計画されている22隻にDD置き換え分4隻で26隻(先ほどは置き換えは5隻としていましたが、総数減らすので)。
 全てのDDとFFMにはCEC能力を持たせます。DDGを配備出来ない水陸両用艦隊では、あきづき型が防空の中核となり、CECにより、FFMのVLSに搭載したESSM(やその後継ミサイル)を発射出来るようにします。

 LSDはうらが型2隻の代艦です。おおすみ型よりは大型ですが、LHAのような全通飛行甲板は備えず、ヘリポート程度にとどめ、輸送力を重視します。ひゅうが型は異論もあるでしょうが、対潜用から、ヘリ揚陸艦へ改装します。

 第一艦隊は旧護衛艦です。ナンバー艦隊にしたのは第二艦隊の名称が難しいからです(苦笑)。実際は別の名前でもかまいません。
 第一護衛隊群と第二護衛隊群は、外洋で主に行動する機動部隊で、二群なので完全に常時一群とまではいきませんが、極力一群は行動可能な状態にします。
 第三護衛隊群は舞鶴と大湊を拠点とし、主に日本海を担当し、BMDも担います。常時少なくとも1隻のDDGは日本海で哨戒に当たります。

 第二艦隊は現在の掃海群を基幹にし、護衛艦隊所属艦も一部移籍します。日本の領海や近海の警備を担当し、輸送(揚陸)、掃海、哨戒を行います。建前としては、外洋には行きません(災害支援などは別にして)。輸送・揚陸はあくまで、日本の領土間でのみ行います。契約した民間船(現在のはくおうやナッチャンWorldが該当。この段階ではもっと数は増えているはず)も第二艦隊の指揮下に入ります。

 第三艦隊は独立した艦隊にすべきかどうか悩みますが、前回もそうしたのと他とのバランスを考えて艦隊にしました。なお、12隻と9隻になっているのは3隻を4クルーで運用するためです。
 
 補給艦やらその他支援艦艇は自衛艦隊直轄にしておきます。第四艦隊を教育、訓練、支援部隊として編制しても良いとは思いますが。

 地方隊は存続しますが、所属するのは「艇」や支援船だけに縮小します。現在所属しているDDやDEは第二艦隊へ移籍します(FFMに転換した上で)。

 2040年代へ向けて、おおすみ型は同数のLSDと置き換えます。ひゅうが型の艦齢も30年を越えるので代艦が2040年代後半には建造されるでしょう。この流れから言えば、それはLHAになるはずですが、F-35Bを24機とヘリを搭載する空母を建造し、いずも型をLHAに転用する手もあります。サイドエレベーターがあるので車輌の搭載はやりやすいですから。ま、お金があれば、ですけれど。ま、陸自を10万まで減らして浮いたお金の4000億の家、陸には1000億だけ私、空海で残りを使えばいけるかな(笑)。

| | コメント (0)

6/17/20’:陸自AH部隊はどうなる?:その4:予算を確保するためにはどうする?

 AH-64Eでなくても、何かしら火力支援のヘリが必要でしょう。では、予算はどうするか?前述の改修と新造でAH-64Eを30機整備するのに1032億円だと想定しました。AHが激減することを考えると、次期中期防中に改修と追加調達を終えるべきです(正確には2025年までに改修するのはもう間に合わないのですけれど)。こんな感じでしょうか?
1年目:198億円:新造3機:改修 3機
2年目:200億円:新造5機
3年目:198億円:新造3機:改修 3機
4年目:200億円:新造5機
5年目:224億円:新造2機:改修 6機
 運用可能なAH-64をある程度維持するために改修の半数は新造機がある程度稼働を始める5年目にまとめていますが、まあ、細かい内訳はともかく、5年間で200億円程度ずつ追加で予算が必要です。

 さて、UH-XやCH-47JAの調達とは別にどうやって確保すれば良いでしょう?陸自予算の増額は無しです。
え?アショア中止で予算が浮いたはず?あれは駄目ですよ。あくまで陸もBMDを担うということで確保されたものであり、陸でやらないのら他に回ります=予算人員が陸自から減らされるはずです。

 陸自予算の内訳は記載されていませんが、本年度予算で全体で
一般物件費:19.6%:9926億円
歳出化経費:38.1%:19336億円
人件・糧食費:42.3%:21426億円
と書かれています。

 定数は全体で24.7万人、うち陸自は約15万人。実数では約14万人。この他即応予備もありますし、定数と実数1万人の差をどう考えるかが難しいところですが、とりあえず、15/24.7万というこの比率で言えば、陸自の人件・糧食費は約1.4兆円です。はい、答えは簡単ですね。人を減らせばいいのです。200億円ならたった1.4%ですよ。約2000人削減すれば200億円捻出可能です。実際には装備の購入はローンで人件・糧食費はその年度の出費なので単純にはいきませんが、大雑把に言えばそんなものでしょう。
 今でさえ人手が足らないのに更に減らすのか!と陸の人に言われるでしょうが、以前も述べたように将来的に陸自定数は減ることはあっても増えることはないでしょう。理由?人がいません。子供は減り続けており、「兵隊」になる人口そのものが減少しています。今でも相対的に「将兵」の高年齢化は進んでいます(27,8歳の新品少尉とか)。
 であれば、人を減らして、機械化、無人機(航空機に限らず、陸上でも)などを進めていく必要があるでしょう。宇垣軍縮じゃないですが、陸自の定数と実数を概ね10万人(充足率はほぼ100%にする)に減らし、人件・糧食費を4000億円減らします。それを原資として、変革を進めます。
 ただし、全てが陸自で使える訳ではありません。空海も人員削減を余儀なくされますが、予算は足らなくても余ることはありません。
 1000億円は海領域、1000億円は空領域に使い、2000億円を陸自の装備改善に使うこととします。「領域」と書きましたが、単純に1000億円ずつ海自、空自の予算を増やすのではないからです。所属は陸でもその任務からすると本来は海自や空自に属すべきとも言える部隊の予算に使います。どういうものか?中期防衛計画にかかれていたLSVやLCU、V-22が海領域、イージスアショアと中大型UAVが空領域です。LSVやLCU、V-22は島嶼防衛用ですので、まあ、まだ、陸が運用してもおかしくはないのですが、イージスアショアは完全に押しつけられ案件です。なので、減らした分の予算をこちらへ振り向けます。UAVはグローバルホークは共同の部隊とされていますが、数はもっと必要でしょうし、リーパー級の中型UAVの導入も必要です。これらも島嶼防衛向けです。
 陸自向けも新装輪装甲車ファミリーの導入、96式の後継車など多数の装備調達が今後必要です。人を減らす分機械化率を高めて、普通科は基本的に何かしら装甲車で移動出来るようにすべきでしょう(軽装機動車は含まず)。予算はいくらでも必要です。
 2000億円の内、300億をAH部隊の再建(AH-64E 30機)やUAV含めて航空機調達に、700億を地対空、地対艦、地対地ミサイルを含む陸上装備の調達に、残り1000億円はそれらの維持費に振り分けます。 これにより防衛費の総額は増やせなくても、装備は充実出来ます。
 OH-6は謂わば、空飛ぶ軽装甲機動車のようなものす。私は陸自に必須だと思います。ただ、適当な機体がほとんどありません。新規開発しない(時間がないし)とすれば前回述べたように事実上H135しかないでしょう。武装キット込みにすると価格は上昇します。余り高いとAH-64Eの輸入の方が良いではないかということになってしまいますが・・・。とりあえず武装キット込みで20億としておきます。年10機、5年で50機調達出来ます。トータルで100機は欲しいですが、全てに武装キットをつける必要はないでしょう。
 
 とはいえ、次の中期防で一気に10万人に減らすというのは無理でしょう。あくまで将来的にはそこまで減らす必要がある(というか、ほっといでも人手不足で減っていく)ということです。なので、徐々に減らして行くことになるでしょう。まずはその第一弾として減らした分でAH部隊を再建しましょう。合わせてH135の導入も!

| | コメント (0)

6/16/20’:陸自AH部隊はどうなる?:その3:AH-64Dをどうする?

 AHをどうするのかは、個人的にはOH-6の後継をどうするのかと深く関わると思います。前回述べたように時間をかければ、今の予算でも、AH-64Dの改修とAH-64Eの新規調達は不可能ではありません。ただ、改修新規合わせて28機の調達に15年かかります。
 その場合、今の中期防から4期で調達される航空機は以下の通りです。
UH-X 150機
CH-47JA 12機
AH-64Dの改修12機
AH-64E 16機
合計178機+改修12機

過去の4期では
V-22 17機
CH-47JA 26機
UH-1J 52機
UH-60JA 23機
OH-1 29機
AH-64D 13機
LR-2 4機
YH-480B 28機
計192機
でした。数としては似たようなものですが、OH-6の後継は完全に無くなりますし、UH-60も調達終了ということになります。果たしてそれで良いのでしょうか?
 AH-64Eの調達はUH-XとCH-47JA以外のヘリを調達しないことを意味します。それでいいのでしょうか?
 また、改修は早くて2024年以降ですから、古い機体だと20年、もっとも若い機体でも10年経過しています。AH-64がどれだけの期間使えるかはよくわかりませんが、30年だとすると改修後の寿命は10年から20年です。なので、AE-64Eが30機揃う前に初期のAH-64Eは退役を始めるでしょう。また、そもそもAE-64Eのサポートがいつまで続くかもわかりません。AH-64Dの例からすると当座は問題ありませんが、米軍の新規調達は早々に終了とするとAH-64Dと同じことが起こりえます。AH-64Eももう10年ほど経過しています。後、17年先にも製造されているでしょうか?買いたくても買えなくなっているかもしれません。なので、本来は今の中期防で改修して、次の中期防で新造機を追加、位のスケジュールであるべきだったと思います。
 
 もし、他を優先し、30機のAH-64Eを調達しないとして、既存の、12機のAH-64Dはどうすべきでしょう?選択肢は三つです。

1.そのまま使える限り使う
 ただし、サポートは2025年で終了です。2025年になったらいきなり運用出来なくなる訳ではないにせよ、そう長期間は使えません。部品の買いだめなどはしてがんばるとしても、2030年位まででしょう。初期ので25年、後期ので15年位、大雑把にいって平均20年位使えます。AH-1と比べると短いですが、まあ、平均20年使えれば、それほど酷くはありません。

2.売却する
 新車が40億円、改修に26億円と仮定していますが、現実味は別にしてボーイング(というか、米軍になるのかな?)に買い取ってもらって、Eにアップグレードしてどこかに30億円位で売却するということも理論上はあり得るでしょう。ただ、下取り価格は極めて安く、1機数億円レベルになりそうです。10億だと改修後の売値が36億円で新車と大差ありません。ああ、買ってくれるのなら、米陸軍に買ってもらうのが一番面倒が少ないでしょうね。
 1機20億円位で、AH-64Dのまま買ってくれるところがあればそれが一番良いですが、難しいでしょうね。後、ライセンス生産品なのでどこまで共通性があるかが不明確です。それも考えるとDのまま売却は無理に思えます。
 12機売却しても精々40億円程度にしかなりませんが、追加の費用はかからなくなります。ただし、AH-1が朽ち果てつつあるので、陸自からAH部隊は消え去ります。

3.Eにアップグレードして使う
 一番妥当なのはこれでしょう。AH部隊はたったの12機だけになってしまうので、水陸機動団の火力支援専門=艦載機として運用する位にしか使い道がありません。逆に言えばそれなら12機でもそれなりに使えます。搭載するプラットフォームが限られますから(実質、いせとひゅうがの2隻。いずもとかがはF-35Bを搭載するから)。DDHに4機ずつ、4機は予備・訓練教育用としましょう。12機なら例えば前回述べたように次期中期防でなんとか出来ます。

 どうなるのか?2は実質的にはありえないでしょう。すると1か3です。前回述べたように年225億円の航空機購入予算が確保出来るのなら、3でしょう。それすらないのなら、1です。建前というか、現時点で改修も追加購入も計画されていない(少なくとも外から見る限りは)を考えると現在の路線は1だと言えます。

 なんにしても、10年先はともかく、近い将来、AHは12機だけになってしまいます。AH-64を水陸機動団専任にするとして、他の部隊はどうすればいいでしょう?UHを武装化するしか選択肢はありません。UH-60なら既存品がありますし、元々武装化の検討もされています。まあ、問題は価格。武装キットとそれを取り付けられるように改装していくらなんでしょうね?それだけで20億円とか言われると・・・AH-64Eの方がましでしょうね。UH-60Jも40機しかありませんし。
 UH-Xも70mmロケットと機銃くらいならそうコストをかけずに装備は出来そうです。ヘルファイアを積めればもっと良いですがお金もかかりますね。

 将来的には無人AHを有人機で管制するという方向にいければ良いです。AH-64Eを中核にする手もあります。1機が4機のUAVを管制すれば、AHは全部で60機はなります。まあ、UAVも安くはないですが(苦笑)。

 UH-Xの選定で道を誤ったとしか思えないです。AH-64DとOH-6後継をどうするのか?それも踏まえて考えるべきところ、単にUH-1の後継機調達にしてしまったので崩壊しつつあります。素人目にも調達計画が戦略的ではありません。そこに上から降ってきたV-22のせいで、色々なことが吹っ飛んでしまっています。

 いずれにしても、AHをどうするか、だけではなく、OH-6後継は完全に無しなのか、OH-1をどうするのか?UAVをどうするのか?それらも含めて検討すべきでしょう。どうすべきか?私はAH-64Eはこのまま後しばらくつかえるだけつかって、退役。OH-6、OH-1とAH-64Eを置き換える「ヘリシステム」を導入すべきだと思います。次期は?なるべく早く。勿論、次期中期防以降ですが、新規開発ではなく、既存機とUAV(これは国産化どうかは別にして新規開発)の組み合わせで置き換えであるべきだと考えます。つまり、AH-64DとOH-1は延命せず退役させます。OH-1は大好きですし、もったいないと思いますが、使い道がもはやありません。AH-64Dは12機だけEにアップグレードして使い続けるにしても数が少なすぎます。であれば、新しいシステムと置き換えるべきです。勿論、AH-1も退役です。
 AH-1、AH-64、OH-1の現段階での正確な稼働数はわかりませんが、2019年の段階でAH-1は55機保有していることになっているので、約100機でしょう。
https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2019/html/ns009000.html
 この100機を軽輸送攻撃偵察ヘリと置き換えます。また、偵察と攻撃用のUAVも合わせて導入します。

 機種は?新規開発は無いので、H135しかないでしょう。海自が既にTH-135を運用していますし、民間でも多数使用されています。問題になるのは軽攻撃ヘリとして使う時の武装キットです。これは後になっても良いと思います。H145でも良いのですが、UH-Xとの差が余りないのと価格が高くなるのでH135が良いと思います。武装キット無しなら1機10億以下だと思います。
 2024年からの中期防でH135を50機(年10機)、2029年の中期防でH135を10機、UAVを40機導入します。武装は機銃と70mmロケット弾、何かしらのミサイルを装備します。UAVはヘルファイアかブリムストーン(可能ならスピア3)か、スパイクNLOSの装備が望ましいです。
 UH-Xを40機、CH-47Jを3機調達し、年225億だと残りは340億です。H135が1機6.8億なら340億なので、ちょうど年225億に収まります。

 まあ、でも、武装キットの予算はどこからかひねり出さないと駄目ですね。UAVを後回しにする手もありますが・・・。武装キットの予算をひねり出すためには数を40機に減らす必要があるかもしれませんし、UAVもとりあえずは20機位に減らさないといけないかもしれません。 

 AH-64DをEにして、AH-6を導入する手もあるとは思いますが、AH-6(UAV)と組み合わせる手もあるとは思いますが、それを選ぶと軽輸送ヘリがなくなります。まあ、AH-6の有人飛行という手もあるにはありますが・・・・。

| | コメント (0)

6/15/20’:イージス・アショア配備計画停止

 AHシリーズの途中ですが、イージス・アショア祭り(笑)が開催されたので、今日はこれを。

 突然、河野防衛相が配備計画の停止を発表。技術的な問題とコストが理由というので、だから、SPY-6にしろといっただろ、LMSSRなんか採用するから・・・と思ったら、ブースターを演習場に落とすと地元に約束していたが難しいので停止とのころ。正直、嘘くさいというか、それは口実・表向きの理由だろうよと思います。というか、そんなの無理では?てっきり海に落とす計画だと思いこんでいました。

 SM-3は迎撃ミサイルと言っても、小型衛星打ち上げロケットですからね。また、ミッドコース迎撃なので、まあ、斜めに打ち上げるのではなく、ほぼ上空に打ち上げるとは思いますが。とは言え、狭い演習場の敷地内に落とすのは難しいでしょう。スペースXみたいに垂直に噴射しつつ着陸するならともかく(苦笑)。
 
 地元の反対が強くのは確かですし、誰かがブースターは演習場内に落とすと言って説得していて、それが無理だと山口でも配備が難しくなるというのはあるのでしょう。

 とはいえ、理由はそれだけではないでしょう。やはり、LMSSRに対する疑問が政府内でも持ち上がっているのではないのかと思います。最近、安倍政権内で力関係に変化が起きているように感じます。

 イージス・アショアそのものには賛成です。ただし、LMSSRではなく、SPY-6であるべきでしょう。また、自らを守るためにSM-6の運用能力は持たせるべきです(ロシアなどの難癖つけてくるのは無視。INFはもう死んだし)。

 DDGを本土防空(BMD)から解放すべきです。冷戦期に飽和攻撃に対向するために整備されたイージス艦ですが、冷戦終わり、ソ連崩壊し、飽和攻撃の脅威が無くなってしまって、そのまま整備し続ける意義が薄れた所に北朝鮮のおかげでBMDという新たな任務が得られ、継続整備。が、しかし、中国海軍が拡大し続けている現在、BMDより、本来の艦隊防空に戻るべきでしょう。BMD能力そのものは必要です。もし、ASBMが本当に実用化されてたら、それから艦隊を守る必要があります。

 平時のBMDは、謂わば、安全ではなく、安心のためのものでしょう。であれば、DDGではなく、「アショア」であるべきだと思います。ただ、日本の場合、配備する場所が余りありません。国が好きに用地買収・収用出来るなら話は別です。軍事的合理性からの場所選定をするならば適地はあります。ですが、そんなこと日本では出来ません。
 
 そうであるのなら、レーダー・管制システムの設置場所と発射機を別の場所に配置することも考えて見ても良いのではないでしょうか。海上にリグのようなものを設置するとか。また、CECを適用し、FFMのVLSにSM-3を搭載して数隻遊弋させ、陸上から制御するというのはどうでしょう?更に言えば、建造予定の哨戒艦にVLSを8基程度搭載する手もあると思います。いや、極端に言えば、港に停泊していても良いでしょう。退役予定のDDを改修して良いです。必要なのは大雑把に言えば、VLSと通信装置だけですから。勿論、現段階では存在しないのでこれから開発しないといけませんが。

 何にしても高価かつ有用なDDGをBMDのために貼り付けるのはそろそろやめるべきだと思います。

| | コメント (0)

6/14/20’:陸自AH部隊はどうなる?:その2:陸自の航空機購入予算

https://www.mod.go.jp/j/yosan/yosan_gaiyo/index.html
 にある過去の予算から陸自の予算、装備購入費、航空機購入費と装備購入費に占める割合を出して見ました。2002年度予算は数はあったものの個々の金額が無かったので、2003年度から今年までの18年分です。また、装備購入費のほとんどはローン払いなので、予算額との割合は出していません。
 普通なら後になるほど増えるのですが、幸か不幸か日本の防衛費は一時期減少しており、またデフレもあり、余り変わっていません。この18年分で

陸自予算
 平均17787億円、最大18627億円(2003年度)、最小16929億円(2013年度)

装備購入費
 平均1695億円、最大2935億円(2019年度:イージスアショア1733億円込み)、最小1058億円(2013年度)

航空機購入費
 平均306億円、最大899億円(2017年度:V-22x4、CH-47JAx6)、最小36億円(2014年度:CH-47JAの改修のみ)

航空機が装備購入費に占める割合
 平均18.1%、最大42.7%(2017年度)、最小2.4%(2014年度)

です。2017年度は例外でしょう。通常ならV-22調達のおかげで、、他の調達はありえませんが、何故か、CH-47JAも6機も予算が取れています。当たり前ながらV-22は高いので2015年度から2018度までは金額が多く、装備購入費に占める割合も高いです。極端に低い時もありますが。また、2019年度はイージスアショアの1733億円が含まれているので装備購入費がふくれあがっています。それを除けば1202億円。

金額は億円(小数点以下は四捨五入)、割合は%
年度   陸自予算  装備購入費 航空機購入費 割合  内訳
2020 18173 1293   228 17.6 CH-47JAx3
2019 18450 2935   163  5.6 UH-Xx6
2018 18310 1301   393 30.2 V-22x4
2017 17706 2105   899 42.7 V-22x4、CH-47JAx6
2016 17489 1752   447 25.5 V-22x4
2015 17677 1493   516 34.6 V-22x5
2014 17690 1480    36  2.4 CH-47JA改修x1
2013 16929 1058    96  9.1 AH-64Dx1、UH-60JAx1
2012 17723 1564   194 12.4 AH-64Dx1、UH-60JAx1、CH-47JAx2
2011 17817 1517   238 15.7 AH-64Dx1、UH-60JAx2、CH-47JAx1、TH-480Bx28
2010 17439 1638   241 14.7 OH-1x4、UH-60JAx3、CH-47JAx1
2009 17314 1823   312 17.1 OH-1x2、UH-60JAx1、CH-47JAx4
2008 17325 1399    92  6.6 OH-1x2、UH-60JAx1
2007 17504 1603   338 21.1 AH-64Dx1、OH-1x2、UH-1Jx16、CH-47JAx1
2006 17578 1663   308 18.5 AH-64Dx1、OH-1x2、UH-1Jx4、CH-47JAx1、UH-60JAx1
2005 18254 1902   339 17.8 AH-64Dx2、OH-1x2、UH-1Jx3、CH-47JAx1、UH-60JAx1
2004 18164 1951   309 15.8 AH-64Dx2、OH-1x2、UH-1Jx2、CH-47JAx1、UH-60JAx1
2003 18627 2026   362 17.9 AH-64Dx2、OH-1x2、UH-1Jx6、CH-47JAx1、UH-60JAx1

 V-22の調達が終わった現在では、航空機購入費は18年間の平均よりも少なく、200億円前後と考えられます。V-22調達開始前の数年もそんなものでした。AH-64Eを30機整備(改修含め)するに1032億円と仮定しましたが、単純計算で年206億円で5年です。そしてその5年間は他の航空機(実質ヘリだけですが)の調達は出来ません。V-22のように上から落ちてきたプロジェクトなら予算は付きますが(まあ、他が圧縮された訳ではありますが)、今回はそうはならないでしょう。
 いずれにせよ現在の中期防にはAH何も予定されていません。AHをどうするにしても、それは2024年からの次の中期防です。

 2019年度からの中期防で、UH-Xは34機、CH-47JAは3機調達とされています。これまでの2年でUH-Xは6機、CH-47JAは3機予算化されていますので、残り3年でUH-Xが28機です。単純計算で年9機以上は調達しないといけません。UH-Xが本当に20年で150機調達するとしたら、残りの15年で116機調達する必要があります。年7、8機ずつです。CH-47の後継機は開発されていませんから、次の中期防でもCH-47JAは数機は調達されるでしょう。仮に現中期防と同じく3機としましょう。
 
 OH-6の後継機の話はまったく聞こえてこないので、次期中期防でも調達の中心はUH-Xになるのでしょう。UH-1Jは新しいのはまだ十数年落ち程度ではありますが、古いのは30年に近いですから。調達が均等だとすれば、次の5年で40機弱の調達が必要です。
 UH-Xの価格がどこまで下がるかはまだわかりませんが、18億と12億の間をとって15億としておきます。
 そうすると5年間で、UH-Xを39機 585億円、CH-47Jを3機228億円(2020年度と同じ金額)としておきましょう。合計813億円。年平均約163億円です。

 AH-64Dのサポートは2025年で終了するので、AH-64Dを使用し続けるのなら、本来は現在の中期防で何かしら手立てを講じる必要があったのですが、Eにアップグレードするのなら遅くても次の中期防中に完了しないといけません。
 26億円で改修出来るとして、12機では312億円です。これを5年で予算化するとしたら年平均62.4億円。先ほどの次期中期防で調達が予想されるUH-XとCH-47JAと合わせると合計1125円、年平均225億円です。これならまあなんとかなりそうです。ただ、AH-64Eの追加購入は?40億円だとしても次の5年では無理ですから、出来るとしても2029年からの5年間からでしょう。AH-64Eの改修と同じく312億円程度は使えるとして、1機40億円ですから、5年で8機程度です。
 勿論、UH-Xの調達を減らしたり、CH-47JAの調達をやめたりすれば、18機でも720億円なので、5年で調達は可能です。その代わり、UH-Xは仮にその頃1機12億円までさがっていたとても、34機程度の調達にとどまります。

 不可能ではないです。改修+新規で合計20機にとどめれば、次の10年で整備は出来るでしょう。ただし、その間、OH-6の後継機や中大型のUAVの調達も出来ません。それで良いのでしょうか?厳しいと思います。30機のAH-64Eの調達、絶対額で言えば、DDG1隻分にも満たないのですが・・・・。

| | コメント (0)

6/13/20’:陸自AH部隊はどうなる?:その1:AH-64Eのコスト

 ボーイングが陸自のAHー64DをEにアップグレードすることを提案というニュースが流れました。
http://www.jwing.net/news/25733
 Eを新規に買うよりも35%安くなるとのことですが・・・・正直、高いと思います。陸自のAH-64Dは、まだそれほど古くはありません。ですが、新車より35%安いだけとなると微妙です。調達コストの35%で改修可能というのなら妥当ですが。
 勿論、近代化改修には費用がかかります。開始されたF-15JのJ-MIPS機の改修も予算年度により計上されている費用にばらつきがあるのではっきり言えませんが、かなりの費用がかかります。過去の近代化改修の費用も含めれば、相当かかっています。F-15Jの調達時価格は約100億円でした。時代の差があるので同じよう比較は出来ませんが、調達価格以上に既に費用を要しているのではないでしょうか?F-15JはFXの遅延が容易に予想されますから、まだ当分使用されるでしょう。そうなると更なる近代化改装もあり得ます。最終的には1機に新車3台分位の費用をかけることになるかもしれません。

 とはいえ、12機だけを改装して使い続けるのか?という疑問は残ります。AH-1Jはもう限界でしょう。そうすると12機が陸自のAH勢力の全てになる日も近いです。有るべき論で言えば、12機はEにアップグレード、少なくとも同数の新車のEを追加購入でしょう。予備機もいるでしょうし、教育用の分もあるでしょうから、30機は欲しいのではないでしょうか?だと18機追加購入です。それでも従来と比べると大幅戦力減少です。

 ですが、そんな予算はどこにあるでしょう?

 そもそもAH-64E(新車)価格はいくらなんでしょう?以下に米軍のFY2021年度予算での調達価格が書かれています。
https://comptroller.defense.gov/Portals/45/Documents/defbudget/fy2021/fy2021_Weapons.pdf
 FY2017からFY2021までの5年間契約によりDからEへのアップグレードが行われていると書かれているので、FY2017までの5年分を見て見ます。

価格の単位は百万ドル
新規生産 
FY2021  2機   69.2 : 1機34.6 =>戦闘消耗の補填用
FY2020  0機
FY2019 18機  510.4 : 1機28.4 
FY2018 31機 1023.3 : 1機33.0
FY2017  8機  261.9 : 1機32.7
平均32.2

Reman
FY2021 50機  961.5 : 1機19.2
FY2020 49機 1010.1 : 1機20.6
FY2019 48機  927.8 : 1機19.3
FY2018 48機  905.3 : 1機18.9
FY2017 52機 1037.3 : 1機19.9
平均19.6

 最近は1ドル107-108円位ですが、しばらく110円付近が多かったのと切りも良いので1ドル110円換算すると新規生産は約31億円から36億円。平均で35.4億円。改修は20.7億円から22.7億円、平均で21.6億円です。思ったよりもずっと高いですね。平均すると新規生産に対して改修のコストは約6割です。ばらつきありますから、ボーイングの35%お安くなりますが、米軍価格の比と比べて顕著に高いとは言えません。FY2019だと米軍でも7割近い価格です。FY2021だと約55%ですが、これは新規生産が消耗の補填用でわずか2機のため、割高だった影響もありそうです。Eへのアップグレード、高いと思ったら米軍でも高かったのですね。

 では、日本がAH-64Eの新車を購入したらいくらなんでしょう?数は多くありませんし、ライセンス生産は考えられないでしょう。そうするとまたまたFMSです。もし、米軍と同じ価格で買えるなら36億円は越えないでしょうが、通常はより高くなります(サポート費用とか単価意外の経費も乗るので)。もっとも、F-35の最近の調達価格は米軍価格とほぼ同じです。V-22は何故か日本の方が安くです。含まれる費用が違うのでしょうね。E-2DとKC-46はばらつきがあるので難しいですが、日本の方が高めです。でも、高くても20-30%程度。
 ちなみに米軍のCH-47のここ3年の調達価格平均約31億円で概ね日本の半分、UH-60だと約24億円ですから日本の半分から2/3位。ライセンス生産高い(苦笑)。

 これらを考えたら40億円位で本当に買えるかもしれません。40億円と仮定すると改修は26億円です。12機なら総額312億円。1年で12機分発注もその年度に他の航空機を調達しなければ不可能ではないでしょう。オスプレイは別枠として、数百億円程度の調達は通常おこなっていますから。今年度もCH-47JAを3機228億円調達しています。
 ふむ、昔のAH-64D調達時のイメージ(安くても70億円台)に引きずられていましたが、「輸入」ならなんとかなるかもしれません。だって、昨年6機調達(今年は0機だった)UH-Xが約18億円です。もし、AH-64DをEに改修し、18機64Eを輸入するとして、総額1000億円程度。おお!ローンを組めば(最初からローンだけど(苦笑))陸自でも買えそうな価格じゃないですか。

 つくづくライセンス生産はお金があったから出来たことだと思います。一連のごたごたの間接費は別にしても安くて50億円していましたからね、AH-64Dは。

 となんかバラ色のAH-64E人生が送れそうになっていたのですが、現実には必ずしもそううまくいかないようです。

 海外への売却のニュースを見ていると総額を購入機数で割った額は1億ドルを超えていることが多いです。ただし、かなりの数のミサイルなども含まれてはしまし、訓練用機材などが含まれたりもしています。

カタール 24機を30億ドル =>1機1.25億ドル=約138億円
https://www.thedefensepost.com/2019/05/10/qatar-ah-64e-apache-helicopters-3-billion/

モロッコ 36機を42.5億ドル=>1機1.18億ドル=約130億円
https://www.defensenews.com/land/2019/11/20/state-approves-425-billion-apache-helo-sale-to-morocco/

インド 6機を93億ドル=>1機1.55億ドル=約171億円
https://www.nationalheraldindia.com/opinion/why-the-dollar930-million-price-tag-for-six-apache-attack-helicopters-and-weapons-package-is-unreal

台湾 30機を19.5億ドル=>1機0.65億ドル=約72億円
https://focustaiwan.tw/politics/201410190025

韓国 36機を推定16億ドル=>1機0.44億ドル=約49億円
https://flyteam.jp/news/article/21835

 インドはF-35よりも高いと批判されています。韓国は2013年、台湾は2014年と他よりは時期が古いです。

 価格は様々ですし、機体の単価が100億円を越える訳ではありませんが、日本がAH-64Eを買ってもミサイルは必要ですし、仮に新車が1機40億円で買えたとしても、費用はそれだけではすみません。前述の総額約1000億円は機体本体価格だけです。付随して色々なものが必要になります。無論、それはAH-64Eに限りませんが、UH-XとかCH-47JAなどの基本的には非武装の輸送ヘリよりも費用はかさみます。AH-64Eを買って格納庫に並べておくだけなら問題ないでしょうが(笑)。まあ、日本は既にAH-64Dを運用しているので、これから新規にAH-64Eを導入する国よりは費用は抑えられるとは思いますが。また、純増ではなく、AH-1Jからの置き換えでかつ総数は減りますので、それらも踏まえれば、極端に費用が増えるということはないでしょうけれど。
 V-22の調達は終わりましたが、これから運用が開始されますから、その費用がかかります。従来型のヘリよりはかなり高いでしょう。
 また、OH-6の後継をどうするか?OH-1は・・・まあ、あれとして、偵察はUAVに移行するとしても、軽輸送ヘリはありません。UH-1系後継のUH-X(UH-2になるはずですが、まだ正式発表されていないと思うので、UH-Xのままいきます)は6機調達したものの、2年目は0で遅延気味に思えます。この状況で果たして約30機のAH-64Eを運用出来るでしょうか?輸送ヘリよりも戦闘ヘリを優先出来るのでしょうか?

 

| | コメント (0)

5/26/20’:国内航空産業を維持するためには?

 FXをそのために開発するのだ!と言われるでしょうが、本当にステルス戦闘機(攻撃機)を開発出来るのか?出来るにしても完成は相当先になるのではないか?その間、維持出来るのか?という疑問があります。つまり、FXを開発するにしても、製造の仕事が途絶えてしまうのではないか?と思うのです。

 前回述べた3を重視するのなら、別の「仕事」も考えるべきでしょう。勿論、現在何も仕事がない訳ではありません。固定翼機だけに限っても、P-1とC-2は製造中ですし、US-2もまだ製造は続いています(細々とですが)。ですが、量はそれほどありません。

 であれば、FXの路線転換もありえるでしょう。比較的短期間で開発してほぼ全てを国産出来る戦闘機にしてしまえば、国内航空産業は維持出来ます。短期間でとなると、何かをベースとした改良型にせざるを得ないでしょう。候補はいくつかあります。

1.F-15EXベース
 F-15EXに日本製武器を搭載出来るようにしたものをライセンス生産します。手がくわえられる部分は少ないですが、生産はそれほど問題ないでしょう(交渉次第)。もし、FCSを中核とする戦闘システムが国産出来れば一番良いですが、そこが難しいところですし、コストを考えたら、そのまま導入でしょう。条件は現行のF-15Jと同等です。

2.グリペンベース
 開発期間はかかりますが、グリペンを元に日本仕様を開発して製造するという方法もあるでしょう。搭載量は多くありませんが、F-15EXよりは運用含めてコストは下がります。うまくいけば、F-15EXよりも国産率を上げられるでしょう。

3.F/A-18
 EA-18G導入検討の噂が以前からあります。もし、本当に導入するのなら、EA-18Gと合わせてF/A-18E/Fのライセンス生産ということも考えられます。私はF/A-18一族は嫌いなので、以前も述べたようにこれだけは避けたいのですが、FXが大幅に遅延するのなら、EA-18Gとつなぎである程度F/A-18をライセンス生産(EA-18Gの電子戦装備は輸入か独自開発になるかもしれない)という選択肢はあり得ると思います。これも以前述べたようにF/A-18FをF-2Bの後継にすることも出来ます(それが妥当かどうかは別の話にしても)。

 この場合、F-2は上記のいずれかで置き換えて、FXはF-15Jの置き換えになるでしょう。性能によっては、初期に導入したF-35の一部(F-4置き換え分)も最終的にはFXで置き換えることも出来るでしょう。

 しつこいようですが、私はそれを望みませんが、これから体制を整えて、
2020年代:EA-18Gのライセンス生産:20から30機程度?
2030年代:F/A-18E/Fのライセンス生産:最大100機程度
2040年代:FXの生産開始:100機から140機程度
というのは、国内航空産業(主に製造)の維持を重視すればあり得ます。2020年代前半はP-1とC-2の生産がまだありますが、後半になると仕事は減ります。FXは最良でも生産開始は2030年代半ば以降、今の調子だと恐らく2040年代に入ってからでしょう。

 しかし、ライセンス生産(またはちょっとだけ改良)では工場の仕事は確保出来ても、「開発」の仕事は足りません。FXの開発が延々続く・・・という可能性もあるにはありますが、それはまた別の話です。
 
 では、何をやれば良いか?それは無人戦闘攻撃機です。FXはそれとの連携をうたっています。先にUAVを開発しても良いでしょう。その場合、せっかくXF9があるのですから、エンジンは量産型F9を1機搭載しましょう。出力は下げてABもなくても良いでしょう。もウェポンベイを持ちステルス性を重視します。搭載量はAAMx4またはASM/AGMx2程度。固定武装は無し。かなりハードルは高いです。簡単に開発出来る訳ではないです。失敗するかもしれません。ただ、FXの開発失敗や大幅遅延よりはリスクは低いでしょう。挑戦する価値はあります。
 自律飛行、外戦闘機による制御、更にRPASを兼ねるとします。うまくいけばRPASモードで対領空侵犯措置も行います(この場合、機外に威嚇射撃用の機銃ポットを搭載しましょう)。。

 試作機の完成までの開発期間は10年、その後、試験に5年、量産開始は2030年代半ば・・・あれ?FXの見込みと似ていますね(笑)。当然、輸出も見込みます。うまくいけば、ですけどね。

| | コメント (0)

5/22/20’:F-2後継機は飛ぶのか?

 今年度から、F-2後継機=次期戦闘機の開発が始まります・・・・少なくとも予算上は今年度予算には以下が盛り込まれています。

次期戦闘機(約280億円(関連経費含む))
○ 我が国主導の次期戦闘機の開発(111億円)
将来のネットワーク化した戦闘の中核となる役割を果たすこ
とが可能な戦闘機について、国際協力を視野に、我が国主導の
開発に着手(戦闘機システム全体の初期的な設計作業に着手)
○ 戦闘機等のミッションシステム・インテグレーションの研究(76億円)
戦闘機等の作戦・任務遂行能力の根幹となるミッションシステムを将来にわたり我が国
が自由にコントロールすることを可能とするために必要なミッションシステム・インテグ
レーション技術を研究する
○ 遠隔操作型支援機技術の研究(1億円)
有人機の支援を行う遠隔操作型支援機の実現に求められる編隊飛行技術や遠隔操作に必要
なヒューマン・マシン・インターフェース技術等に関する研究を実施
○ 次期戦闘機の開発体制の強化
次期戦闘機の開発を効率的に実施するため、防衛装備庁に「装備開発官(次期戦闘機担当)
(仮称)」を新設

 まあ、まだ、「戦闘機システム全体の初期的な設計作業に着手」だけです。ようやく、どういう戦闘機を開発するのかが決まるということなのでしょう。

 次期戦闘機と予算上書かれているので、従来の言い方も踏まえて、今後F-2後継機のことを私はFXと呼びます。

 さて、FXはどのような戦闘機になるのでしょうか。以前も述べたようにFXの最大の「敵」はF-35です。F-35は多用途ステルス戦闘機であり、現代の戦闘機に求められる任務はほぼ全てこなせます。核は・・・・どうせ日本では関係ありませんし、近いうちに搭載出来るようになります。空対空戦闘は本業ではないですが、F-35を空中戦で圧倒出来る戦闘機はほとんどありません。F-22も状況によっては圧倒的に有利とは言えないかもしれません。
 ですから、中途半端な戦闘機では「わざわざ新規開発しなくても、F-35で良いのではないか?」という反論に負けます。そうするとFX開発を正当化する理由は以下のいずれでしょう。

1.F-35を圧倒する空対空戦闘能力
 高い機動力が求められるので、F-35よりも高い推力重量比でなければならず、大出力エンジンの双発機になるでしょう。当然、AAMの搭載数もウェポンベイ内だけで8発を越えなければなりません。勿論、優れたレーダーなどのセンサーとネットワーク機能を含む戦闘システムも必要です。

2.F-35を大幅に上回る搭載力
 F-35の弱点というか、制限はウェポンベイ内に搭載出来る兵装が限られることでしょう。2000ポンドJDAMを2発、AIM-120を2発が標準です。少なくはないですが、取り立てて多いとは言えません。所謂、ビーストモードなら十分な搭載力がありますが。空対地・艦ミサイルも比較的小型のJSMしか搭載出来ません。
 F-2はASM-1/2を4発搭載出来たことを考えれば、長射程ミサイルを4発ウェポンベイ内に搭載することは最低条件でしょう。

3.国内航空産業の維持
 F-35は出来て最終組み立てと一部の部品製造だけでした。全て完全国内製造とまではいかなくても、最低過半数、出来れば7割位は国産すべきでしょう。勿論、可能ならほぼ全てですが。

 勿論、上記全てが実現出来るのが理想ですが、それだと少なくとも現段階で世界最高の戦闘機を日本が開発、製造することを意味します。それは残念ながら不可能でしょう。

 F-2後継機ですが、FSXではなく、FXであり、DMCなどの基礎研究段階では空対空戦闘を重視していたように思われます。軍事研究6月号の吉岡氏の記事でも、空対空戦闘重視としています。
 しかし、本当にFXはそうなるのでしょうか?F-15の近代化改装は、ステルス性以外の空対空戦闘力更新に主眼があるのではなく、「攻撃機」化が中心だと理解出来ます。F-15は搭載力が大きく、長射程ミサイルを多数搭載することが出来ます。
 だからこそFXは空対空重視と考えることも出来るのですが、この流れからするとFXも大量の長射程ミサイルの搭載を求めれるでしょう。
 空自の中で路線対立があるかは外からはわかりませんが、従来の空対空重視路線を防空軍派、新たな路線を戦術空軍派としておきましょう。吉岡氏は「元」中の人です。防空軍派が主流だった時代の人とも言えるでしょう。今は中の人の考えはともかく政治主導で戦術空軍派の流れだと思えます。FXも2を重視する方向のように思えます(まだ明確に公開された情報はありませんが)。

 また、1が一番ハードルが高いと言えるでしょう。米から戦闘システム一式の供給を受けるならともかく、日本主導でそれを開発するとなるとはたして出来るか?

 2はそれよりはましです。ステルス性のある大きなウェポンベイを持つ航空機を開発すれば良いのですから。エンジンは問題になりますが、国産を諦めてライセンス生産という手もあります。乱暴に言えば、大きくすれば良いです。

 3はやるだけならハードルは一番低いでしょう。性能を求めなければ可能です。極端に言えば、第5世代戦闘機を諦めて所謂4.5世代で妥協すれば開発の難易度は下がります。極端に言えば、F-2と同程度でも良いのです。ただし、一部で主張されているような低コストの戦闘機は無理でしょう。F-2と大差無い戦闘機をF-2と大差無い価格で生産することになると思います。低コストにするにはノウハウと量産効果が必要です。しかし、F-2後継機を数百機も製造することは考えられません。まあ、その路線なら、いっそグリペンベースで開発する方が良いかもしれません。

 一時期流れていたF-22ベースの機体なら1と2は満たせました。問題は3ですが、それでもF-35よりは国産率は高められたでしょう。F-2並はいけたかもしれません。しかし、最近流れてくる話だと日本側が断ったとのこと。

 そうするとあくまでステルス性のあるFXを開発するのなら、現実的には1は諦めて2と3重視でしょう。ステルス「攻撃」機です。対空戦闘を放棄する訳ではありませんが、格闘戦は諦めて、多数搭載出来るAAMによる対空戦闘が中心になるでしょう。

 しかし、それでも日本主導で開発出来るのでしょうか?戦術の吉岡氏の記事を読むと絶望的としか思えません。何故ながら、官=自衛隊だけでは仕様書が書けないと言っています。それでどうして戦闘機の開発が出来るでしょうか?

 吉岡氏の記事は日本の各社の航空機関連事業を集約し、「工廠」とすべしといっています。官が関与するからですが、それはともかく、規模のわりに会社が多すぎます。統合して一つの「日本航空機」会社を設立すべしというのは同感です。

 また、テンペストと共通する部分が多いので、日英共同開発を目指すべきとしています。これも現状で妥当でしょう。米の協力を得て開発するといってどこまで協力してもらえるかは不明です。自由に出来るかどうかもわかりません。結局、肝心な部分はブラックボックスのままでしょう。また開発費は全て日本持ちです。日英共同開発でも英の意向が強く反映され、日本で自由に出来る訳ではありませんが、少なくとも開発費は日英で分担しますから、負担は減ります(ま、国際共同開発は得てして難航し、開発費が膨らむことも少なくはないですが(苦笑))。また、生産数も増やせるので価格も下がるはずです。
 テンペストそのものを共同開発するのでなくても、共用する部分は共同開発し、後は日英で別々に開発製造する手もあるでしょう。ただ、決めるなら早い内でなければなりません。テンペストの開発が進めば進むほど自由度は下がりますから。
 では、現実可能か?というと正直難しいように思います。大きな政治的決断が必要ですが、その政治は今(に限りませんが)米を向き続けています。ここで、日英共同開発という大きな方針転換が出来るかというと疑問です。

 そうなると結局、LM社などから技術導入して日本主導で開発・・・ですが、これは能力の点で大きな疑問がありますし、そもそもそんなに都合良く技術導入出来るのでしょうか?

 きつい言い方になりますが、F-22ベースでの開発を放棄した段階でFXは飛び立てなくなったのではないかとも思います。少なくともF-2の退役には間に合わないのではないでしょうか?このままだと、結局、F-35の買い増し、F-15改の退役時にようやくFXの生産開始、ということになるのではないかと危惧します。

 そもそも本当に開発が出来るなら、何故、未だにどういう戦闘機になるかすら不明確・・・は言い過ぎにしてもようやく基礎的な開発に着手するという段階なのでしょう?可能なら、もう試作機の製造に着手していないといけない時期でしょう?これから設計して試作して試験して?F-2退役に間に合いますか?今の路線はF-2の開発よりもずっと時間とお金がかかる開発になるはずです。15年で果たして量産にこぎ着けられるのか?そもそもいつ試作機が飛べるのか?疑問です。

 3年位前は、まだ、私も今度こそ国産戦闘機!と思っていました。XF-9は試作レベルとはいえ出来ましたし、X-2も飛びました。他の要素の研究も相応に進みました。しかし、それから何か進展したでしょう?ほとんど進展していません。色々な話が出てきてふらふらしていただけ、としか思えません。戦略の変更もあったでしょう、とはいえ・・・。

 私は完全に外の人ですし、勝手な憶測に過ぎません。日本の実力は私の推測よりもずっと高いかもしれません・・・・だといいね。FXが無事に飛び立ちますように。

| | コメント (0)

5/20/20’:銀英伝 自由惑星同盟軍に将官、士官はどれ位いるのか?

 さて、銀英伝の新作アニメが放送されていますが、ふと思ったのですが、同盟軍の将官、士官はどれ位いるんでしょう?その手始めにまず、同盟国の艦隊がどういう編制になっているかを考えてみました。軽い気持ちで始めたのですが・・・・酷く手間(時間)がかかってしまいました。(^^;

 アニメ版も参照しますが、基本的には小説版を元に得られる情報から考えます。わかっていることをまず列挙します。
・艦隊司令官は中将
・艦隊には少なくとも以下がいる
 副司令官:少将
 主席幕僚:少将
 分艦隊指揮官:少将や准将
 次席幕僚:准将
 幕僚:佐官
・戦艦の艦長は中佐だが、大佐の場合もある
・戦艦の副長は少佐
・巡航艦と駆逐艦の艦長は少佐
・1個艦隊は約15000隻、兵員約150から200万?

 最後の兵員数ですが、第13艦隊が編制されたは1隻平均約130人なので、15000隻だと200万弱。ただ、アムリッツァ会戦の動員兵力だと1隻平均約100人なので15000隻だと150万です。前者は相対的に大型艦の割合が高かったと理解します今回の想定は編制での「定数」で1個艦隊は約15000隻、兵員約160万人としました。実際には定数を満たしていない場合も多いでしょう。士官が不足して兼任していることもあります。
 
 編制は艦隊の下にいくつかの分艦隊がある、ということしかわかりません。ただ、15000隻160万の大組織で、分艦隊の下が個艦というのはありえないでしょう。管理しきれません。もっと階層構造があるはずです。その分艦隊も例えば、1個艦隊は3個分艦隊から成るのか、臨時に艦隊の一部を別行動させる際に分艦隊を編成するのかはよくわかりません。

 銀英伝世界の艦隊戦は、誰もが思うように普通の宇宙戦というよりも1隻を兵員1人に見立てた陸戦と受け取るべきでしょう。概ねナポレオン時代以前の皆が自分の足で移動していた時代の陸戦です。1個艦隊は1個軍団で、複数の師団からなると考える方が良さそうです。師団=DIVISION=分艦隊です。師団は複数の連隊からなります。とはいえ、師団長=艦隊司令官が中将の同盟軍はちょっとおかしい気がしますが・・・・。階級から言えば、旧帝国陸軍の師団に相当します。

 悩ましいのですが、記述と矛盾しなように以下の編制としました。

 艦隊:15000隻、約160万人:司令官中将
  分艦隊:約4500隻、約50万人:司令官少将 x3:うち1個は副司令官、2個は分艦隊司令官が率いる
    戦隊:約1000隻、約12万人:司令官准将 x4
     群:約40-100隻、約1万人:司令大佐 x10
      複数の戦艦、宇宙母艦、巡航隊、駆逐隊、支援隊からなる
       巡航隊、駆逐隊、支援隊:司令中佐

 艦隊旗艦(戦艦)、宇宙母艦:艦長大佐、副長中佐
 戦艦:艦長中佐、副長少佐
 巡航艦、駆逐艦、支援艦:艦長少佐、副長大尉
 
 なお、支援艦は、補給系を中心とする色々な後方支援艦の総称です。実際には色々な種類があるでしょうし、艦内の編制や人数も異なると思いますが、ここでは、そこまで決めきれないので、それの平均的な支援艦を表しているとします。また、駆逐艦以外の小型戦闘艦もあるようですが、面倒なので、駆逐艦も同様の平均的な小型戦闘艦を表しているとします。

 これだけの数だともっと階層が欲しいのですが、いかんせん、艦隊司令官が中将で、戦艦の艦長が中佐だとどうにもなりません。まあ、帝国陸軍の軍司令官も師団長も中将という風にすれば階層は増やせますが、作中それを示す描写はありません。なので、仕方なく上記の階層しました。名称は適当です。
 なお、作品中では分艦隊の司令官は少将だったり准将だったりしますし、数も2000隻程度である場合が多いのですが、准将率いるあの分艦隊は編制上の分艦隊ではなく、臨時編成の分遣隊という意味の分艦隊だと解釈します。つまり、1個戦隊を中核に他の部隊から派遣されたものを含めて戦隊司令官の准将が率いる、という訳です。

 艦長が少佐の艦は軍艦ではなく、複数で隊を編制し、隊司令が大型艦の艦長と同格という旧帝国海軍式を採用しています。宇宙母艦はほとんど登場せず(存在しているのは記述されていますが)、搭載機数なども不明ですが、まあ、大型だろうということで、艦長は大佐にしました。艦隊旗艦は艦隊と分艦隊司令官が座乗し、この艦長は原則大佐とします。司令部機能を有しています。
 もう一つ悩ましいのがスパルタニアンです。どうやらヒューベリオンにはポプランら4人の大尉が乗艦していたようです。ですが、搭載機数はわかりません。宇宙母艦よりは当然少ないでしょう。仕方ないので勝手に決めました。
 飛行戦隊:隊長少佐:48機
  飛行隊:隊長大尉:12機
   飛行小隊:隊長中尉:4機

 搭載数
  宇宙母艦:2個飛行戦隊=8個飛行隊
  旗艦:1個飛行戦隊=4飛行隊
  戦艦:2個飛行隊

 これで大尉が4人ヒューベリオンにいることと整合性がとれます。

 当初は司令官と艦長を決めて、佐官以上の数だけ設定しよう・・・あ、各司令部要員がいる・・・・あ、副長や各科長がいる・・・・駄目だ・・・結局、個々の艦の士官の数までとりあえず設定する羽目になりました。さすがに下士官と兵はそれぞれひとまとめにしましたが。その詳細は余り意味がないので省きます。

 さて、こうして設定した艦隊の将兵はどういう構成でしょうか?以下の通りです。

中将:1人
少将:4人
准将:17人
大佐:803人
中佐:6113人
少佐:27684人
大尉:82536人
中尉:159162人
少尉:224487人
下士官;364639人
兵:738652人
計1604098人

 とんでもない数です。12個艦隊あるので、機動運用される戦力だけで
中将:12人
少将:44人
准将:204人
大佐:9636人
中佐:73356人
少佐:332208人
大尉:990432人
中尉:1909944人
少尉:2693844人
下士官:4375668人
兵:8863824人
計19240176人
です。少佐だけで33万人!自衛隊の定数を超えます(苦笑)。

 そのほか、根拠地の守備隊や警備艦隊、兵站部隊、各種学校・機関(軍政や軍令含む)などを合計して艦隊合計と同じ程度と仮定すると

中将:24人
少将:88人
准将:408人
大佐:19272人
中佐:146712人
少佐:664416人
大尉:1980864人
中尉:3819888人
少尉:5387688人
下士官:8751336人
兵:17727648人
計38498352人

です。もうよくわかりません(苦笑)。
 
 作品中の士官学校の1クラスが何人かは不明ですが、何万人もいるようには思えません。また、士官学校は複数(各星系に)ある可能性もあるにはありますが、それにしても、これだけの数の士官を供給するとなると恐ろしい数の士官学校が必要です。また、士官学校の卒業者が多いと上にいくほどポストは減るので、色々と不都合が生じます。士官学校出身者は日本の官僚でいうところのキャリア組で、大きな失態がなく、生き残れば、原則大佐まで昇進出来るのが普通だと思います。大佐が約2万人、少尉が約540万ですから、単純計算だと270人に1人しか大佐に昇進出来ません。

 となるとROTCや下士官兵からの昇進者などが数の上では過半を占めるのだと思われます。相対的に少数の士官学校卒業者は、恐らく30歳前には少佐まで昇進するが当たり前だと思います。作品中でもヤンやアッテンボローなどなど昇進速度が早い人物が少なくありませんが、これだの高級士官が必要なら当然です。下士官兵からの昇進者でも佐官には普通に昇進出来るでしょうし、大佐位まではいけるのでしょう。将官はさすがに士官学校を出ていないとかなり狭き門なのでしょうが。

 今回の推測は大枠以外は明確な根拠がなく、あくまで私が「こんな感じ」と考えたものですが、膨大な士官が必要になるであろうというのは明白です。恐ろしい世界です。

 しかし、やっぱり艦隊司令官が中将は無理がありますね。艦隊司令官が大将で、分艦隊司令官は中将、戦隊司令官が少将、群が准将、その下に大佐の隊があり、隊は複数の戦艦や空母または巡航隊、駆逐隊、支援隊からなるとした方が妥当に思えます。作品の記述は無視して、 艦隊:15000隻、約160万人であれば、私なら

 艦隊:15000隻、約160万人:司令官大将
  分艦隊:約4500隻、約50万人:司令官中将 x3:うち1個は副司令官、2個は分艦隊司令官が率いる
   戦隊:約1000隻、約12万人:司令官少将 x4
    群:約200隻前後、約2万人:司令官准将 x4
     隊:約20-50隻、約4-5千人:司令大佐 x4
      複数の戦艦、宇宙母艦、巡航隊、駆逐隊、支援隊からなる

にします。
 またが1個艦隊の規模を縮小し、
 艦隊:10000隻、約110万人:司令官中将
  分艦隊:約2000隻、約22万人:司令官少将 x4:うち1個は副司令官、3個は分艦隊司令官が率いる
    戦隊:約450隻、約4.5万人:司令官准将 x4
     群:約40-100隻(艦種による)、約1万人:司令大佐 x4
      複数の戦艦、宇宙母艦、巡航隊、駆逐隊、支援隊からなる
       巡航隊、駆逐隊、支援隊:司令中佐
でも良いと思います。
   
 帝国側は正直よくわかりません。ラインハルトの履歴からすると准将で200隻、少将で1000隻程度を率いていたようで、アスターテでは上級大将で約2万。艦隊司令官は概ね大将か上級大将ですが、中将の場合もあるようです。どうも同盟ほどは画一的な編制がないような印象を受けます。ナポレオン時代よりももっと前、百年戦争位、日本で言えば戦国時代位と同じで、それぞれの将官が自分の手勢(自分の領土で養っている、とは限らないにせよ)を率いている感じがします。上級大将二人で3万隻の場合もありますし、大将二人で1.6万隻とか。「艦隊」といっても1万弱から2万位まで幅があります。編制はばらばらなんじゃないでしょうか?なので、推測のやりようがないので放棄します(笑)。

| | コメント (0)

より以前の記事一覧