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7/9/20’:FXの量産開始は2031年度?

 まだ、一般向けの正式な発表ではありませんが、以下のように報道されています。
空自 次期戦闘機 2031年度に量産開始方針 米英と調整加速
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200708/k10012502631000.html
 自民党国防議員連盟の会合で防衛省が以下のように説明したとのことです。

 2024年度に試作機製造開始
 2031年度に量産機の製造開始
 2035年度に配備開始

 F-2の退役は2035年度に開始されると防衛相も述べていますし、このスケジュールは、必要な工数・時間を積み上げて作られたものではなく、後から逆算したものでしょう。2035年度から配備開始するなら、2031年度には量産機の製造開始は必要でしょう。そして、諸々の試験期間を考えれば、試作機の製造開始は2024年度でも余裕があるとは言えません。

 F-2は
 1990年開発開始
 1992年試作機製造開始
 1995年試作1号機初飛行
 1996年調達開始
 2000年配備開始
です。量産初号機は1996年に初飛行しています。ただし、開発は2000年度まで続いて終わり次第配備が行われています。何にしても開発開始から試作1号機の初飛行まで約5年、試験に約5年の合計10年で開発から部隊配備開始までこぎつけています。

 一方、FXは2021年(年度から言えば2020年度かもしれませんが)から開発開始し、約15年で配備開始です。一見、F-2よりも余裕があるように見えます。しかし、F-2は実質的に作り直したと言われるもののF-16という母体がありました。エンジンは既存品でした。ですが、FXはエンジンも開発するようです(必ずしもXF9とは明記されていませんし、エンジンは英と協力という報道もありますので、断言は出来ませんが)。機体はどうやら新規に開発するようですし、ウェポンベイもありますし、やるべきことはF-2も比ではありません。また、試験期間もF-2よりも長くなるのは当然でしょう。F-2は確かに2年で試作機製造にいたっていますが、FXを長くても4年の倍の期間で本当に試作機が製造開始出来るのでしょうか?試作機といってもXF-3ではなく、X-3レベルだったりしませんか?
 X-2は事前の研究は別にして、2009年度予算から開始され、2016年初飛行しています。約7年です。このX-2の経験はあるにはありますが、武装もなにもない、飛行するだけの研究実証機です。それよりもF-Xは時間がかかると考えるのが自然でしょう。FCSというか、戦闘システムというべきだと思いますが、その開発もするのですから(あれ?まさか、ここは輸入するってことはないよね?)かなりの時間がかかるでしょう。そして、試作機を飛ばせば当然色々な不具合が出ます(過去の例を見れば明らか)。それを修正し、量産機の製造に着手出来るまでの期間は相当かかるでしょう。
 X-35というベースがあったF-35も
 1996年X-35試作契約締結
 2000年X-35初飛行
 2001年X-35がJSFに選定
 2006年F-35量産機初飛行
 2011年米空軍へ納入
 2015年IOC獲得
です。FXの開発がF-35よりも短く出来るでしょうか?
 不可能ではなにせよ、何かあったら予定が吹き飛ぶ余裕のないスケジュールなのは明かです。そして残念ながら過去の国産軍用機開発はいつも何かあって遅延しています。うまくいっても数年遅れると考えた方が良さそうです。

 2035年度からの配備開始に空自がこだわっているのは、飛行停止により対領空侵犯措置が行えなくなることを恐れて、3機種併用が必要だと考えているからでしょう。これはF-35ともう1機種だけでは駄目だという理屈でもあります。

 それと防衛相のFXは主に空対空を行うとしていることを考えると、FXはまず空対空能力だけで量産・配備をするのではないでしょうか?それも完全な状態とは言えず、対領空侵犯措置のみ行える状態で配備されるのでないでしょうか?それなら、開発と試験期間は相対的に短く出来ます。武装の構成もAAMが3種程度(国産のAAM-4系とAAM-5系、それとAIM-120)で、ステルスのはずなので機外搭載物もありません。試験期間は対艦対地装備がある場合と比べると大幅に減るはずです。
 機体というかHWがとりあえず出来れば、後はSWのアップデートで、後から対艦、対地能力などを追加出来るでしょう。順調にいったとして、全ての能力が発揮出来るようになるのは2045年頃になるのではないでしょうか?

 ともかく2035年に配備するためのスケジュールであるのは明白でしょう。そのためにまずは空対空に絞り込む、ということではないでしょうか?もし、最初からそう割り切っているのなら、大したものです。それは強力なリーダーシップが必要です。それが誰かはわかりませんが、明確に目標を定めて、それを達成するのに現実的な選択をしたということですから。もっともこれは深読みしすぎで、のんきにこのスケジュールでないと駄目だから、逆からひいて、後は現場頑張れ、というだけかもしれませんが(苦笑)。

 もう一つ、英米との協力がどうやら現実のものになりそうです。エンジンは英と協力という話もありますが、これ、XF9ではなく、別のエンジンになるのかもしれません。まあ、後一年しないうちに全てはわかるはずです。わからない時には2035年度配備開始は不可能です。
 ふむ、開発期間が短いことを考えると真面目に日本企業はどんがらというか機体本体だけを担当し、戦闘システムは米企業が担当するということもあるかもしれません。

 まあ、意図しなくても、結果的には配備直後は対領空侵犯措置のみ行える状態になる可能性はあると思います。なんにしても開発に時間がかかるのはHWではなくSWでしょうし、SWがFXの心臓でしょう。徐々にアップデートして能力を獲得していくことになると思います。

 その前に無事に今年度内に開発に本当に着手出来るか、ですね。

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