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6/30/20’:FX:防空軍派の勝利?FXは空対空重視!?

 以下は河野防衛相が書いた「次期戦闘機」という記事です。
https://blogos.com/article/467704/
 公式にはまだ何も発表されていませんから(少なくとも私が知る限り)、非公式なものですが、現役防衛相が書いたものですから、公式発表に準じるものと考えて良いのでしょう。

 以前も述べたようにF-2後継機=次期戦闘機なのでFXと呼びます。また、F-15JのJ-MSHIP機の更なる近代化改装型はF-15J改と呼んでおきます。まあ、今回で改3型位ですが、F-4EJ改の前例に倣います。


 FXは航空優勢を獲得するため、主として空対空戦闘を行うことを想定し、以下の性能が求められるとしています(引用した上数字は私がつけています)。

1.航空自衛隊や米軍の航空機に加えて、海上自衛隊や陸上自衛隊の装備品とネットワークで連携して戦う能力
 
2.高いステルス性と探知性能に優れたセンサー
 
3.各種の妨害を受けながらも電子戦を継続できる能力

 そして、能力向上の改修を自由に行えること、拡張性の確保が必須だとしています。


 また、F-15J改は約70機とされています。FXの生産数は明記されていませんが、F-2と置き換えなら、FXの生産が完了した時点で
F-35A:5個飛行隊
F-35B:2個飛行隊
F-15J改:3個飛行隊
FX:3個飛行隊
計:13個飛行隊
という体制になるのでしょう。1個飛行隊は機種により異なるのでしょうが、20機前後。
 ただ、新規開発してたったの70機だと1機いくらになることやら。F-15J J-MSIP機は約100機ですから、差し引き30機。DJは改修しないという情報がありますが、数から言えば、改修DJ以外の約70機、そういうことですね。DJをどうするのかはわかりませんが、そのまま教育用(第23飛行隊)と飛行教導隊で使うのでしょうか?それともF-15J改以外は退役させて、その分、FXを生産するのでそうか?それなら約100機生産出来ます。これでもまだ少ないのですが・・・。

 さて、河野防衛相の表現をそのまま受け取れば、FXは言われている通り、空対空用で、国内メーカー主導により新規開発されるということです。つまり、防空軍派が空軍派を押さえたということになるのでしょう。

 ですが、本当にそうなのでしょうか?

 求められる性能を改めて確認しましょう。2.は空対空戦闘に重要な性能ですが、空対地や空対艦でも極めて重要です。「探知性能」が何を探知するかによります。現代の空対空戦闘では、自機のレーダーを目標探知に使う時間は短いはずです。IRSTやF-35のEOTSのようなパッシブセンサーは必須ですが、AWACSなどの支援を得て戦うのが普通でしょう。ですから、これだけを見て、空対空重視とは言い切れません。第5世代以降の戦闘機に必須の能力だと言えるでしょう。F-15J改でも優れたセンサーの装備は可能ですが、ステルス性は無理です。大改装しても現在よりもRCSは小さく出来るでしょうが、第5世代機は当然遠く及びません。元々4世代機で最大級のRCSですから(苦笑)。

 3.は勿論、空対空戦闘に重要な性能です。ですが、空対地や空対艦でも重要です。これは当然ながら現代の戦闘機に必須の能力です。当然、F-15J改にも求められます。

 問題は1です。空対空重視なら「航空自衛隊や米軍の航空機とネットワークで連携して戦う能力」は当然です。しかし、そこに「海上自衛隊や陸上自衛隊の装備品とネットワークで連携して戦う能力」が加わるのは?空対空重視の戦闘機ならこれが一番最初に来るのは不自然です。これは明らかに空対艦や空対地のための能力です。

 つまり、求められている能力は、空対空、空対艦、空対地の全てに優れるマルチロールファイターそのものです。これはどういうことでしょうか?

 再度文言を確認しましょう。河野防衛相は「主として空対空戦闘を行うことを想定」としています。能力として空対空重視とは必ずしも言っていません。あくまで、FXは空対空戦闘を主に行うと言っているだけです。

 以前も述べましたが、FXを新規開発するとしたら、最大の敵はF-35です。運用コストはとりあえず別にして(FXも運用コストが低いとは思えませんし、F-15J改にしても低いとは考え難いですし)、調達費で比較すれば、相対的に安価で、十分な(最上ではないにせよ)ステルス性を有しており、高い能力のセンサーを持っています。F-35は空対空重視の戦闘機ではありませんが、現在の戦闘機でF-35を空対空戦闘で圧倒出来るのはF-22位でしょうが、そのF-22も電子戦装備やセンサーはF-35よりも一世代古いですから、状況によっては、負ける可能性すらあります。F-22が圧勝出来るとすると空自が大好き(イメージです(苦笑))な格闘戦の訓練だけでしょう。
 FXはそのF-35を越える必要があります。ですが、マルチロールファイターとして、F-35を越えるのは恐ろしく大変です。ですから、F-35を越えられるとしたら、重視する性能を絞り込む必要があります。これも以前述べたように空対空に特化した戦闘機か、F-35よりも大きなウェポンベイを有する戦闘機のどちらかでしょう。
 防空軍派が望むのは前者であり、空軍派が望むのは後者でしょう。どちらも難易度は高いですが、強いて言うならば、後者の方がまだ現実味があります。機体を大きくすれば、搭載力はF-35を越えられます。前者は技術的に可能かどうか疑問があります。それはほぼ、現段階では世界最高を目指すに等しいですから。

 次回に続く。

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