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6/13/20’:陸自AH部隊はどうなる?:その1:AH-64Eのコスト

 ボーイングが陸自のAHー64DをEにアップグレードすることを提案というニュースが流れました。
http://www.jwing.net/news/25733
 Eを新規に買うよりも35%安くなるとのことですが・・・・正直、高いと思います。陸自のAH-64Dは、まだそれほど古くはありません。ですが、新車より35%安いだけとなると微妙です。調達コストの35%で改修可能というのなら妥当ですが。
 勿論、近代化改修には費用がかかります。開始されたF-15JのJ-MIPS機の改修も予算年度により計上されている費用にばらつきがあるのではっきり言えませんが、かなりの費用がかかります。過去の近代化改修の費用も含めれば、相当かかっています。F-15Jの調達時価格は約100億円でした。時代の差があるので同じよう比較は出来ませんが、調達価格以上に既に費用を要しているのではないでしょうか?F-15JはFXの遅延が容易に予想されますから、まだ当分使用されるでしょう。そうなると更なる近代化改装もあり得ます。最終的には1機に新車3台分位の費用をかけることになるかもしれません。

 とはいえ、12機だけを改装して使い続けるのか?という疑問は残ります。AH-1Jはもう限界でしょう。そうすると12機が陸自のAH勢力の全てになる日も近いです。有るべき論で言えば、12機はEにアップグレード、少なくとも同数の新車のEを追加購入でしょう。予備機もいるでしょうし、教育用の分もあるでしょうから、30機は欲しいのではないでしょうか?だと18機追加購入です。それでも従来と比べると大幅戦力減少です。

 ですが、そんな予算はどこにあるでしょう?

 そもそもAH-64E(新車)価格はいくらなんでしょう?以下に米軍のFY2021年度予算での調達価格が書かれています。
https://comptroller.defense.gov/Portals/45/Documents/defbudget/fy2021/fy2021_Weapons.pdf
 FY2017からFY2021までの5年間契約によりDからEへのアップグレードが行われていると書かれているので、FY2017までの5年分を見て見ます。

価格の単位は百万ドル
新規生産 
FY2021  2機   69.2 : 1機34.6 =>戦闘消耗の補填用
FY2020  0機
FY2019 18機  510.4 : 1機28.4 
FY2018 31機 1023.3 : 1機33.0
FY2017  8機  261.9 : 1機32.7
平均32.2

Reman
FY2021 50機  961.5 : 1機19.2
FY2020 49機 1010.1 : 1機20.6
FY2019 48機  927.8 : 1機19.3
FY2018 48機  905.3 : 1機18.9
FY2017 52機 1037.3 : 1機19.9
平均19.6

 最近は1ドル107-108円位ですが、しばらく110円付近が多かったのと切りも良いので1ドル110円換算すると新規生産は約31億円から36億円。平均で35.4億円。改修は20.7億円から22.7億円、平均で21.6億円です。思ったよりもずっと高いですね。平均すると新規生産に対して改修のコストは約6割です。ばらつきありますから、ボーイングの35%お安くなりますが、米軍価格の比と比べて顕著に高いとは言えません。FY2019だと米軍でも7割近い価格です。FY2021だと約55%ですが、これは新規生産が消耗の補填用でわずか2機のため、割高だった影響もありそうです。Eへのアップグレード、高いと思ったら米軍でも高かったのですね。

 では、日本がAH-64Eの新車を購入したらいくらなんでしょう?数は多くありませんし、ライセンス生産は考えられないでしょう。そうするとまたまたFMSです。もし、米軍と同じ価格で買えるなら36億円は越えないでしょうが、通常はより高くなります(サポート費用とか単価意外の経費も乗るので)。もっとも、F-35の最近の調達価格は米軍価格とほぼ同じです。V-22は何故か日本の方が安くです。含まれる費用が違うのでしょうね。E-2DとKC-46はばらつきがあるので難しいですが、日本の方が高めです。でも、高くても20-30%程度。
 ちなみに米軍のCH-47のここ3年の調達価格平均約31億円で概ね日本の半分、UH-60だと約24億円ですから日本の半分から2/3位。ライセンス生産高い(苦笑)。

 これらを考えたら40億円位で本当に買えるかもしれません。40億円と仮定すると改修は26億円です。12機なら総額312億円。1年で12機分発注もその年度に他の航空機を調達しなければ不可能ではないでしょう。オスプレイは別枠として、数百億円程度の調達は通常おこなっていますから。今年度もCH-47JAを3機228億円調達しています。
 ふむ、昔のAH-64D調達時のイメージ(安くても70億円台)に引きずられていましたが、「輸入」ならなんとかなるかもしれません。だって、昨年6機調達(今年は0機だった)UH-Xが約18億円です。もし、AH-64DをEに改修し、18機64Eを輸入するとして、総額1000億円程度。おお!ローンを組めば(最初からローンだけど(苦笑))陸自でも買えそうな価格じゃないですか。

 つくづくライセンス生産はお金があったから出来たことだと思います。一連のごたごたの間接費は別にしても安くて50億円していましたからね、AH-64Dは。

 となんかバラ色のAH-64E人生が送れそうになっていたのですが、現実には必ずしもそううまくいかないようです。

 海外への売却のニュースを見ていると総額を購入機数で割った額は1億ドルを超えていることが多いです。ただし、かなりの数のミサイルなども含まれてはしまし、訓練用機材などが含まれたりもしています。

カタール 24機を30億ドル =>1機1.25億ドル=約138億円
https://www.thedefensepost.com/2019/05/10/qatar-ah-64e-apache-helicopters-3-billion/

モロッコ 36機を42.5億ドル=>1機1.18億ドル=約130億円
https://www.defensenews.com/land/2019/11/20/state-approves-425-billion-apache-helo-sale-to-morocco/

インド 6機を93億ドル=>1機1.55億ドル=約171億円
https://www.nationalheraldindia.com/opinion/why-the-dollar930-million-price-tag-for-six-apache-attack-helicopters-and-weapons-package-is-unreal

台湾 30機を19.5億ドル=>1機0.65億ドル=約72億円
https://focustaiwan.tw/politics/201410190025

韓国 36機を推定16億ドル=>1機0.44億ドル=約49億円
https://flyteam.jp/news/article/21835

 インドはF-35よりも高いと批判されています。韓国は2013年、台湾は2014年と他よりは時期が古いです。

 価格は様々ですし、機体の単価が100億円を越える訳ではありませんが、日本がAH-64Eを買ってもミサイルは必要ですし、仮に新車が1機40億円で買えたとしても、費用はそれだけではすみません。前述の総額約1000億円は機体本体価格だけです。付随して色々なものが必要になります。無論、それはAH-64Eに限りませんが、UH-XとかCH-47JAなどの基本的には非武装の輸送ヘリよりも費用はかさみます。AH-64Eを買って格納庫に並べておくだけなら問題ないでしょうが(笑)。まあ、日本は既にAH-64Dを運用しているので、これから新規にAH-64Eを導入する国よりは費用は抑えられるとは思いますが。また、純増ではなく、AH-1Jからの置き換えでかつ総数は減りますので、それらも踏まえれば、極端に費用が増えるということはないでしょうけれど。
 V-22の調達は終わりましたが、これから運用が開始されますから、その費用がかかります。従来型のヘリよりはかなり高いでしょう。
 また、OH-6の後継をどうするか?OH-1は・・・まあ、あれとして、偵察はUAVに移行するとしても、軽輸送ヘリはありません。UH-1系後継のUH-X(UH-2になるはずですが、まだ正式発表されていないと思うので、UH-Xのままいきます)は6機調達したものの、2年目は0で遅延気味に思えます。この状況で果たして約30機のAH-64Eを運用出来るでしょうか?輸送ヘリよりも戦闘ヘリを優先出来るのでしょうか?

 

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