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5/22/20’:F-2後継機は飛ぶのか?

 今年度から、F-2後継機=次期戦闘機の開発が始まります・・・・少なくとも予算上は今年度予算には以下が盛り込まれています。

次期戦闘機(約280億円(関連経費含む))
○ 我が国主導の次期戦闘機の開発(111億円)
将来のネットワーク化した戦闘の中核となる役割を果たすこ
とが可能な戦闘機について、国際協力を視野に、我が国主導の
開発に着手(戦闘機システム全体の初期的な設計作業に着手)
○ 戦闘機等のミッションシステム・インテグレーションの研究(76億円)
戦闘機等の作戦・任務遂行能力の根幹となるミッションシステムを将来にわたり我が国
が自由にコントロールすることを可能とするために必要なミッションシステム・インテグ
レーション技術を研究する
○ 遠隔操作型支援機技術の研究(1億円)
有人機の支援を行う遠隔操作型支援機の実現に求められる編隊飛行技術や遠隔操作に必要
なヒューマン・マシン・インターフェース技術等に関する研究を実施
○ 次期戦闘機の開発体制の強化
次期戦闘機の開発を効率的に実施するため、防衛装備庁に「装備開発官(次期戦闘機担当)
(仮称)」を新設

 まあ、まだ、「戦闘機システム全体の初期的な設計作業に着手」だけです。ようやく、どういう戦闘機を開発するのかが決まるということなのでしょう。

 次期戦闘機と予算上書かれているので、従来の言い方も踏まえて、今後F-2後継機のことを私はFXと呼びます。

 さて、FXはどのような戦闘機になるのでしょうか。以前も述べたようにFXの最大の「敵」はF-35です。F-35は多用途ステルス戦闘機であり、現代の戦闘機に求められる任務はほぼ全てこなせます。核は・・・・どうせ日本では関係ありませんし、近いうちに搭載出来るようになります。空対空戦闘は本業ではないですが、F-35を空中戦で圧倒出来る戦闘機はほとんどありません。F-22も状況によっては圧倒的に有利とは言えないかもしれません。
 ですから、中途半端な戦闘機では「わざわざ新規開発しなくても、F-35で良いのではないか?」という反論に負けます。そうするとFX開発を正当化する理由は以下のいずれでしょう。

1.F-35を圧倒する空対空戦闘能力
 高い機動力が求められるので、F-35よりも高い推力重量比でなければならず、大出力エンジンの双発機になるでしょう。当然、AAMの搭載数もウェポンベイ内だけで8発を越えなければなりません。勿論、優れたレーダーなどのセンサーとネットワーク機能を含む戦闘システムも必要です。

2.F-35を大幅に上回る搭載力
 F-35の弱点というか、制限はウェポンベイ内に搭載出来る兵装が限られることでしょう。2000ポンドJDAMを2発、AIM-120を2発が標準です。少なくはないですが、取り立てて多いとは言えません。所謂、ビーストモードなら十分な搭載力がありますが。空対地・艦ミサイルも比較的小型のJSMしか搭載出来ません。
 F-2はASM-1/2を4発搭載出来たことを考えれば、長射程ミサイルを4発ウェポンベイ内に搭載することは最低条件でしょう。

3.国内航空産業の維持
 F-35は出来て最終組み立てと一部の部品製造だけでした。全て完全国内製造とまではいかなくても、最低過半数、出来れば7割位は国産すべきでしょう。勿論、可能ならほぼ全てですが。

 勿論、上記全てが実現出来るのが理想ですが、それだと少なくとも現段階で世界最高の戦闘機を日本が開発、製造することを意味します。それは残念ながら不可能でしょう。

 F-2後継機ですが、FSXではなく、FXであり、DMCなどの基礎研究段階では空対空戦闘を重視していたように思われます。軍事研究6月号の吉岡氏の記事でも、空対空戦闘重視としています。
 しかし、本当にFXはそうなるのでしょうか?F-15の近代化改装は、ステルス性以外の空対空戦闘力更新に主眼があるのではなく、「攻撃機」化が中心だと理解出来ます。F-15は搭載力が大きく、長射程ミサイルを多数搭載することが出来ます。
 だからこそFXは空対空重視と考えることも出来るのですが、この流れからするとFXも大量の長射程ミサイルの搭載を求めれるでしょう。
 空自の中で路線対立があるかは外からはわかりませんが、従来の空対空重視路線を防空軍派、新たな路線を戦術空軍派としておきましょう。吉岡氏は「元」中の人です。防空軍派が主流だった時代の人とも言えるでしょう。今は中の人の考えはともかく政治主導で戦術空軍派の流れだと思えます。FXも2を重視する方向のように思えます(まだ明確に公開された情報はありませんが)。

 また、1が一番ハードルが高いと言えるでしょう。米から戦闘システム一式の供給を受けるならともかく、日本主導でそれを開発するとなるとはたして出来るか?

 2はそれよりはましです。ステルス性のある大きなウェポンベイを持つ航空機を開発すれば良いのですから。エンジンは問題になりますが、国産を諦めてライセンス生産という手もあります。乱暴に言えば、大きくすれば良いです。

 3はやるだけならハードルは一番低いでしょう。性能を求めなければ可能です。極端に言えば、第5世代戦闘機を諦めて所謂4.5世代で妥協すれば開発の難易度は下がります。極端に言えば、F-2と同程度でも良いのです。ただし、一部で主張されているような低コストの戦闘機は無理でしょう。F-2と大差無い戦闘機をF-2と大差無い価格で生産することになると思います。低コストにするにはノウハウと量産効果が必要です。しかし、F-2後継機を数百機も製造することは考えられません。まあ、その路線なら、いっそグリペンベースで開発する方が良いかもしれません。

 一時期流れていたF-22ベースの機体なら1と2は満たせました。問題は3ですが、それでもF-35よりは国産率は高められたでしょう。F-2並はいけたかもしれません。しかし、最近流れてくる話だと日本側が断ったとのこと。

 そうするとあくまでステルス性のあるFXを開発するのなら、現実的には1は諦めて2と3重視でしょう。ステルス「攻撃」機です。対空戦闘を放棄する訳ではありませんが、格闘戦は諦めて、多数搭載出来るAAMによる対空戦闘が中心になるでしょう。

 しかし、それでも日本主導で開発出来るのでしょうか?戦術の吉岡氏の記事を読むと絶望的としか思えません。何故ながら、官=自衛隊だけでは仕様書が書けないと言っています。それでどうして戦闘機の開発が出来るでしょうか?

 吉岡氏の記事は日本の各社の航空機関連事業を集約し、「工廠」とすべしといっています。官が関与するからですが、それはともかく、規模のわりに会社が多すぎます。統合して一つの「日本航空機」会社を設立すべしというのは同感です。

 また、テンペストと共通する部分が多いので、日英共同開発を目指すべきとしています。これも現状で妥当でしょう。米の協力を得て開発するといってどこまで協力してもらえるかは不明です。自由に出来るかどうかもわかりません。結局、肝心な部分はブラックボックスのままでしょう。また開発費は全て日本持ちです。日英共同開発でも英の意向が強く反映され、日本で自由に出来る訳ではありませんが、少なくとも開発費は日英で分担しますから、負担は減ります(ま、国際共同開発は得てして難航し、開発費が膨らむことも少なくはないですが(苦笑))。また、生産数も増やせるので価格も下がるはずです。
 テンペストそのものを共同開発するのでなくても、共用する部分は共同開発し、後は日英で別々に開発製造する手もあるでしょう。ただ、決めるなら早い内でなければなりません。テンペストの開発が進めば進むほど自由度は下がりますから。
 では、現実可能か?というと正直難しいように思います。大きな政治的決断が必要ですが、その政治は今(に限りませんが)米を向き続けています。ここで、日英共同開発という大きな方針転換が出来るかというと疑問です。

 そうなると結局、LM社などから技術導入して日本主導で開発・・・ですが、これは能力の点で大きな疑問がありますし、そもそもそんなに都合良く技術導入出来るのでしょうか?

 きつい言い方になりますが、F-22ベースでの開発を放棄した段階でFXは飛び立てなくなったのではないかとも思います。少なくともF-2の退役には間に合わないのではないでしょうか?このままだと、結局、F-35の買い増し、F-15改の退役時にようやくFXの生産開始、ということになるのではないかと危惧します。

 そもそも本当に開発が出来るなら、何故、未だにどういう戦闘機になるかすら不明確・・・は言い過ぎにしてもようやく基礎的な開発に着手するという段階なのでしょう?可能なら、もう試作機の製造に着手していないといけない時期でしょう?これから設計して試作して試験して?F-2退役に間に合いますか?今の路線はF-2の開発よりもずっと時間とお金がかかる開発になるはずです。15年で果たして量産にこぎ着けられるのか?そもそもいつ試作機が飛べるのか?疑問です。

 3年位前は、まだ、私も今度こそ国産戦闘機!と思っていました。XF-9は試作レベルとはいえ出来ましたし、X-2も飛びました。他の要素の研究も相応に進みました。しかし、それから何か進展したでしょう?ほとんど進展していません。色々な話が出てきてふらふらしていただけ、としか思えません。戦略の変更もあったでしょう、とはいえ・・・。

 私は完全に外の人ですし、勝手な憶測に過ぎません。日本の実力は私の推測よりもずっと高いかもしれません・・・・だといいね。FXが無事に飛び立ちますように。

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