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12/25/19’:もし、海上護衛を重視していたら?:戦略編

 以下は、タイムスリップして山本長官のアドバイザーになった人物が考える戦略であり、この通りになるとは限りません。

 真珠湾攻撃は行わず、戦艦主力の第一艦隊と空母主力の第一航空艦隊は本土で待機し、米太平洋艦隊が出撃してきたら迎撃します。巡洋艦主力の第二艦隊はフィリピン、南方攻略を支援します。フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシアを攻略し、南方の資源帯と本土への交通路を確保します。
 グアムは攻略しますが、ウェークは攻略しません。ラバウルは攻略し、ここに連合軍の攻撃を誘引し、持久戦を展開します。ラエにも飛行場を設けますが、不利になったら放棄します。
 ビルマは手を出したくはないのですが、援蒋ルート遮断は必要でしょうから、占領後は持久戦に徹します。中国大陸でも積極的な行動はとりません。ただ、撤退はいまさらできません。本土空襲は妨害しないといけませんから、限定的な攻勢はありえます。
 主に潜水艦によって連合軍の補給路を攻撃します。特に米豪間を重点的に狙います。インド洋は航空機の脅威が相対的に低いので1942年中は特設巡洋艦による通商破壊戦も実施します。また、航続距離の長い大型潜水艦で米西海岸での通商破壊戦を行います。次第に対潜戦力が展開され、戦果が上がらず、被害は増大していくと思いますが、戦力を西海岸へ釘付けにするためにがんばります。ハワイ東方海域でも同様にハワイ向け船舶を狙って攻撃します。
 問題は艦隊決戦が起きるかどうか=米太平洋艦隊が1942年の早い時期に出撃してくるか、です。これはフィリピンを放置できないので、政治的な圧力により、救援作戦は実施されると考えます。出撃してくればその段階での全力でもって迎撃します。勝負は?さあ?時期により双方の戦力も異なるでしょうし、なんともいえません。早めに出てきてくれれば、日本に勝機もあるでしょう。負けたら?戦争は終わりです。フィリピンは取れなければ、海上護衛戦も通商破壊戦だの言っていられません。そこで継戦不能です。ま、1942年中に本土決戦するならそれでもいいですが(苦笑)。まあ、双方、大きな損害を出し、米はフィリピン救援に失敗、というのがもっとも確率が高い結果ではないかとは思いますが。
まあ、ともかく負けず、フィリピン救援は失敗に終わるとします。その後は、ひたすらラバウルでの航空戦です。少なくとも1942年中は。米は戦力がある程度回復すれば史実通りにガダルカナルを占領し、航空基地を設け、ソロモンからラバウルに迫ってくるでしょう。状況によっては艦隊戦や空母戦も発生するでしょう。史実との違いは日本は基本的に迎撃または妨害であることです。ラバウルへの補給は必要ですが、少なくとも史実ようにガダルカナル周辺で大量の輸送船を失うことはないはずです。
 1942年中は連合軍の戦力が整わないのでマーシャルやトラック、マリアナなどへの侵攻は考えにくいです。空母機動部隊によりヒットエンドラン的空襲が限度でしょう。うまくいけばその際にある程度の打撃を与えられるかもしれません。逆に各個撃破される恐れもありますが。
 1943年に入ると日本側の損害も累積してくるのでラバウルは支えきれなくなるでしょう。史実よりはましでしょうが、1943年半ばにはマーシャルへ来寇し、失陥するでしょう。ただし、史実のようなトラック大空襲での損害は防がなければなりません。トラックを空襲されること自体、防げると最良ですが、それはさすがに難しいでしょう。
 さて、問題はいつまでラバウルを維持するか、です。史実でもトラック大空襲までは維持できていました。この世界ではガダルカナルをめぐる消耗戦はないので、搭乗員の被害は史実よりは少ないはずです(基本、迎撃戦なので撃墜されても生還出来る可能性がある)。とはいえ、米海軍の戦力が整えば、史実同様にマリアナ諸島に侵攻してくるでしょう。そうなれば、ラバウルの維持は困難ですし、価値も減ります。ただし、もし、後知恵フル活用でマリアナ諸島への侵攻を一度は撃退出来たとしたら、ラバウルを維持する意味は出ます。
 史実よりもやや遅れて1944年8月に米軍がマリアナ諸島へ侵攻してきたとして、日本側の戦力は空母、水上艦艇は史実と大差ないと思われます。ミッドウェーで失った4空母の内、2隻位は健在かもしれません。序盤を除けば侵攻作戦は基本的には行わないので、空母艦載機、搭乗員の消耗も史実よりは少ないはずですから、航空機込みの戦力は史実よりはましです。とはいえ、勝てるかというと?無理でしょうねえ。まあ、陸上基地航空隊含めて、史実よりは米軍に損害を与えられるとは思いますが、それも踏まえてフィリピンへの侵攻を精々数ヶ月遅らせられる程度でしょうか。
 フィリピン侵攻を1945年1月末まで遅らせられたとするとその間に史実よりも多くの物資を本土へ運べます。その頃の海上護衛戦力は史実よりも大幅に強化されていますから、米機動部隊が乱入してこない限り、相応に輸送は成功することが期待できます。後知恵フル活用でルソン島に戦力を集中してフィリピン戦を長引かせます。 補給路の攻撃とあわせて、5月位までは粘りたいです。レイテ島への無理な輸送はしないので、海没する部隊も減りますし、補給も史実よりはましです。装備弾薬も早めに蓄積しておきます。結果的に史実よりも投入戦力は少なく出来るはずです=被害が少ない。
 ただ、フィリピンの制空権を喪失すればもはやどうにもなりません。史実よりも防空力を強化出来ているとはいえ、戦艦、巡洋艦を撃沈出来る航空攻撃を受ければ、やはり輸送船団は壊滅します。本土と南方との海上交通路がほぼ遮断されるのは史実よりも数ヶ月は遅らせられるでしょうが、それでも、遅くても1945年の初夏にはやはりほぼ遮断されるでしょう。
 硫黄島の戦いも6月開始まで遅らせて、補給路への攻撃などをあわせて、7月後半まで粘ります。史実ではほぼそのタイミングで沖縄戦が開始されるはずですが、ここまでの損害と日本側の戦力が史実よりは多いこととあわせて、すぐ開始には至らないでしょう。
 本土空襲は中国大陸を基地とするB29により、ほぼ史実通り開始されますが、日本側の抵抗(妨害)によりマリアナ諸島を基地とする本格的空襲はかなり遅れます。1945年2月に開始され、本格化するのは5月頃。ただし、硫黄島を戦闘機用基地として確保されるのは7月に入ってからですから、それまでは迎撃により相応の被害を出します。
 硫黄島での日本軍の抵抗もあり、沖縄侵攻は膨大な人的損害を出す恐れがあるため、上陸作戦は延期されます。欧州での戦争は史実通りに5月に終わっており、この時点での大量出血は世論が受け入れないでしょう。そして、硫黄島の確保により、ようやく戦闘機の護衛がつけられるようになり、関東や名古屋を中心とした地区への空襲が7月から激化します。そして、原爆の実用化にともない、東京以外のどこかに投下されるでしょう。そして、ポツダム宣言を受諾しなければ次は東京であると通告します。後知恵満載ですから、原爆は正しく理解され、ソ連参戦も迫っていることもわかりますから、即座に受諾し、戦争は終結します。さすがのソ連も日米停戦後に侵攻は出来ないでしょう。この世界での陸軍はフィリピン戦も含めて史実よりは損害は少ないので、満州の戦力は史実よりも多いです。
 こうして、原爆投下は防げませんが、史実の2発と異なり1発にとどめ、東京大空襲はぎりぎり防ぎ、沖縄の地上戦とソ連参戦を阻止して、戦争は終わります。
 ある程度の誤差はあるでしょうが、このような経過をたどれたとして、どこまでが海上護衛戦重視の結果か?どちらかというと「作戦」変更の効果が大きいように思います。言い換えると、海上護衛戦を重視できたのは後知恵のおかげですから、作戦も後知恵により、相対的にましな結果になったと思います。つまり、「日本が最良の判断(私が考える)が出来ていたら」であって「海上護衛戦を重視したら」ではないとも言えます。
 最初述べたように仮に英米並みの対潜、対空、電子戦能力があったとしても、マリアナ諸島が陥落すれば本土空襲が開始されますし、フィリピンが陥落すれば、南方との海上交通路は遮断されます。日米が質的に同等であったとしても時間が経過すれば量で押し切られます。いくらタイムスリップしても日本の方が質的に米を圧倒するのは無理です。
 また、米海軍の不良魚雷問題もあり、海上護衛戦争を重視しなくても、結果的に被害が増大するのは1943年半ば以降です。史実の1942年の船舶喪失の最大の原因はガダルカナル戦でしょうから、それが無いだけでもだいぶましです。ですから、実は戦備は史実と同じ(戦況の違いによる変化はあるにせよ)であっても、戦略だけ変えれば、今回の想定に似た結果に出来ると思います。
 なお、この世界では原爆投下の時点でまだ日本の各都市は大きな被害を受けていません。どこを米軍は選ぶでしょう?私はここを狙うというのはありますが、架空の話とはいえ、明言は避けさせていただきます。

 なお、もうお分かりでしょうが、私の目的は沖縄戦の回避と本土空襲の被害低減です。工場設備が破壊されたので新しく出来たという説もあるようですが、被害は少ない方が戦後の復興は早いです。 

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