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12/19/19’:最近読んだ本

 ちょっと久しぶりの読書感想です。

中公新書 益尾知佐子著「中国の行動原理 国内潮流が定める国際関係」
 強く推奨します。中国に反感を持っているもっていないにかかわらず、この本は読んで損はありません。
 外から見ると、しばしば謎の行動を取る中国(中華人民共和国)ですが、それが何故か?が分かります。全てが正しいとは限りませんが、概ね、信じられます。
 中国の対外行動は、他国との関係ではなく、国内力学により決まるとしています。

 中国自身は自分達を侵略的とは考えていません。初期には革命輸出をはかっていた時代もありますが、もはやそれは終わっており、基本的には自分達の存続のために行動しています。それは必ずしも所謂中華思想ではありません。それらの行動は、外から見ると攻撃的、侵略的とも言えるのですが、そういう自覚はありません。むしろ、脅威(不安)に備えるための行動であると著者は分析しています。もちろん、それは外から見ると、「中華思想」によるもに見えますし、侵略的態度であり、覇権的です。しかし、中国自身からするとそうではないという主張は、矛盾はありません。
 中華帝国が失われ、あるべき姿の中国に戻るべきという考えはあり、それは「中華思想」といえなくもないでしょうが、喪失感によるものといえます。19世紀以降に色々な外国により色々なものが奪われ、それを取り戻そうとしているだけ、なのです。中国は経済力や武力ではなく、道徳的な優位性や文化をリスペクトされたいという願望があるとしています。著者はいっていませんが、「徳」といっても良いかもしれません。ただ、これは周辺国を無意識のうちに見下しているともいえます。歴史的な背景もあり、リアリズム思考であり、外国は中国に謀略を常にしかけてくるという被害者妄想的なものもあります。
 つまり、私なりに解釈すると、外から見ると拡張主義的に見えても、中国自身はあくまで自らを守るための行動だということです。中国が自身を平和を愛し、他国を侵略する意思はないといいつつ、侵略と受け止められる行為を行うのは、嘘をついているのではなく、自分はその通りだと思っているということです。
 
 伝統的家族観が大きな影響を中国の組織に与えているとしています。中国の伝統的家族観は、家父長による支配です。トップの下に息子たちは平等に従っています。それぞれの息子は父の方ばかりみており、父から与えられた役割を果たそうとします。中国国家、組織も基本的には同じ構造だとしています。 そのため、指導者に権限が集約され、指導者の考えて国の動きががらっとかわります。
 中国の組織は、党、軍、国家(地方政府を含む、行政組織)の三系統(三兄弟)に分かれ、それぞれが別の「息子」であるため、協力しあうことはほとんだありません。家父長に評価されるように行動します。結果、うまくいくこともあれば、失敗することもあります。成功例として、広西チワン族自治区、失敗例として、国家海洋局が取り上げられています。革命輸出と国際協調という相反する行動をとっていたのも、それを推進するのが、別々の「息子」であったためです。

 現在の習近平体制は、この伝統的家父長による支配そのもので、とてもうまくいっています。しかし、習近平氏とて永遠には生き続けられません。その後、どうなるか?拡散するであろうとしています。毛沢東亡き後、サケ小平は市場経済という秘薬による共産党支配を守りましたが、 習近平後の指導者にはそのような秘薬、起死回生の策はありません。
 
 私の下手な感想、要約を読むより、ともかく、本書を読んでください。納得出来ても出来なくても、有意義だと思います。読みましょう!最後のあとがきもなかなか良いですよ。

中公新書 三鬼清一郎著「大御所 徳川家康 藩幕体制はいかに確率したか」
 著者が世代が古い研究者(高齢)ということもあり、ちょっと最近の主流の解釈とは違う部分もあり、ところところ、あれ?と思いますが、基本的には無難な内容です。ただ、大御所政治について書かれているのではなく、家康の政権掌握という内容です。駿府vs江戸みたいな内容かと思いましたがそうではありません。読んで損はないと思いますが、タイトルは違うものが良かったと思います。
 
光人者NF文庫 熊谷直著「気象は戦争にどのような影響を与えたか」
 色々な時代の軍事作戦と天候について記述した本です。類書が余り無く、なかなか良いと思います。なんで艦隊が台風につっこんだり、悪天候で航空機が多数失われたりするのか?現代に生きる我々からすると不思議でなりませんが、WWII当時は気象衛星どころか、気象レーダーすらなかったのでしかたない、のですね。また、日本が、言ってしまえば国力が劣る故に近隣地域以外の気象データをWWII開始段階でもあっていなかったので色々と苦戦していることが示されています。まあ、もっと気象データに着目していれば、もう少しやりようはあったとは思いますが。
 

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