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12/20/19’:もし、海上護衛を重視していたら?:設定編

 良くある批判に日本(帝国海軍)は海上護衛を軽視していたため、多数の船舶を撃沈され、作戦ばかり重視し、国民生活、生産力を維持するのに十分な量が無くなったというものです。これまでの何度か述べていますが、結論から言えば、海上護衛により戦力を割いたとしても、結局、海上交通路は遮断され、日本は負けたと考えます。理由は?簡単です。海上交通路が遮断されたのは、潜水艦だけが原因ではないからです。マリアナ諸島を占領され、B29による空襲が始まり、最後は機雷を国内のあちこちにまかれて完全に麻痺しました。仮に日本に船がたどり着いても陸揚げできません。また、フィリピンへ侵攻されて以降、空母機動部隊を含む激しい航空攻撃にさらされるようになり、南方との海上交通路も遮断されました。もちろん、船舶の喪失理由の過半は潜水艦が占めてはいます。ですが、機雷散布を含めて、とどめをさしたのは航空機です。現実にはありえませんが、日本が質量共に英米並の対潜水艦戦戦力を保有しており、潜水艦により船舶の喪失を史実の1/10に押さえ込んだとしましょう。でも、結局、マリアナ諸島が占領され、フィリピンに侵攻されれば海上交通路は遮断されます。
 海上護衛と正面戦力は、車輪の両輪です。どちらかだけでは駄目ですが、日本はその両方をそろえるだけの国力がありませんでした。ですから、対米戦を始めた段階で日本の負けは決まっています。個人的にはわずかに可能性があるとしたら、開戦早々に堂々たる艦隊決戦を行い、米に圧勝した時だけだと思います。その段階で講和できれば、負けずに済みます。ただし、これも現実にはほぼあり得ません。
 まず、日本が艦隊決戦に圧勝できる見込みが薄いです。開戦早々では大和はまだ戦力化されていません。戦艦だけ見れば劣勢です。空母はある程度勝っていますが、航空機の数は大差ありません。艦隊決戦に勝利することは出来るかもしれませんが、日本側の被害も大きく、圧勝は無理でしょう。
 次に米が講和に応じるとは思えません。ルーズベルト大統領にとっては政治的な敗北を意味します。ファシスト国家打倒をかかげて戦争始めたとしたら、勝利するまで戦争はやめられません。仮に講和に同意するとして、ハルノートの受諾に等しい条件になるでしょう。
 最大の問題は日本の世論です。日本海海戦の再現の様な一方的勝利の後で、まるで負けたかのような条件で講和は受け入れられないでしょう。満州国は維持できても、大陸からの撤兵は必須でしょうし、新しい領土やもちろん賠償金も得られません。単に対日経済制裁が解除される程度です。そんな条件での講和を日本の世論が受け入れるでしょうか?私はそう思えません。
 結局、真珠湾攻撃が艦隊決戦での勝利に置き換わるだけで、後は大差ない結果に終わると思います。まあ、それでもだまし討ちとか言われるよりはましですが・・・。
 話を戻して、当時の日本として可能な限り、海上護衛に努力を払った場合、どういう風になるでしょうか?普通にやれば史実と大差ない結果にしかなりませんが、最大限度「後知恵」を活用してみます。昔よくあった仮想戦記風に言えば、未来から十分な知識を持った人物がタイムスリップしてきて、山本連合艦隊司令長官(開戦時)のブレーンとなったとしておきましょう。やってくるのは早い時期の方が良いですが、余り早いと日米戦を阻止できてしまうかもしれないので(それはそれで良いのですが、今回の趣旨にあわない)、1941年1月としておきます。また、この未来人は戦史の知識は豊富ですが、技術的な知識はなく、日本の技術力や生産力は史実から何も変わりません。変えられるのは、人の判断、決断だけです。
 戦争回避は不可能であること、真珠湾攻撃は逆効果であること、最終的な日本の敗戦までの経緯などを知らされた山本長官は極力攻勢に出ることなく、自給体制を確立し、主に潜水艦により連合国側の補給線を叩き侵攻を阻止、遅延させる戦略を立案します。ドイツの降伏まで連合国に出血を強い続け、厭戦気分を盛り上げ、ドイツも降伏したのだし、対日戦争はもう終わらせて良いのではないかという意見が出てくれば即座に講和することを狙います。その頃なら日本でも厭戦気分が高まることでしょう。
 これから何回かに分けて続きます。

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