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11/22/19’:防衛装備庁シンポジウム2019

 今回は日程の都合で一日だけでしたが、初日に行ってきました。時間がないんで、講演は一コマだけにしてポスターセッションを中心に見てきました。全部は紹介しきれないので、興味深かったものだけ紹介します。それと色々考えて今回はパネルの写真は最低限度にしました。

、新しい防衛大綱などにもとづき、以下の重点領域でゲームチェンジャーになるものを開発するというのが防衛装備庁の方針です。

 電磁波領域
 宇宙を含む広域常続型警戒監視
 サイバー防衛
 水中防衛:UUV
 スタンド・オフ防衛

 まあ、出来るなら、ではありますが(苦笑)。このうち、スタンド・オフ防衛に該当するのが、極超音速滑空弾です。この講演は二日目でしたので残念ながら聞けませんでした。サイバー防衛は展示内容からいって、ゲームチェンジャーとはとても言えず、普通に地道に受身で対応する話しかでていません。まあ、法改正が行われないと、「受身」以外できないので仕方ありません。
 電磁波領域は、今回はどちらかといえば、話題の「ドローン」対策が中心に思えました。宇宙を含む広域常続型警戒監視も地道にやります、ですが、日本では目新しいのは、昔懐かしいOTHレーダーの開発でしょう(後述します)。水中防衛:UUVは、UUV関係の展示がいくつかありますが、相対的に一番地味だったかも?
 いずれにしても、画期的と言える展示はほとんどなく、「ゲームチェンジャー」に追従しようとしている、という程度のものでした。まあ、仕方ないですけどね。

  
<高出力マイクロ波技術に関する研究>
 アレイを使った高出力マイクロ波送信機で屋内で各種市販ドローンに照射し、どうなるかを実験。動画を流していましたが、いずれも見事に落ちていました。40MWだそうですが、パルスなので総消費電力はそう大きくはないそうで、電源車でまかなえる程度とのこと。物理破壊に至るほどはいたっていないですが(そこまでの出力はないので)、1機種は電源回路が停止したそうです。アレイなので複数同時攻撃も可能になるはずとのこと。
 元々は対ミサイルで研究を始めたようですが、まずは話題のドローン対策にと。まあ、こういうのが普通になれば、ドローンも防護するでしょうが、そうすると大きく重く高価になります。また、それに対抗するには出力を上げれば、良いです。この勝負は地上の勝ちです。いずれにしても、安価な市販のドローンを改造した程度のものは無効に出来ます。それでいいんですよ。所謂「ドローン」は万能でもなんでもないですが、備えがないと安価なものを大量にぶつけられてしまいます。それが防げれば良いのです。ドローンをミサイルとするとCIWS位の位置づけですか?と聞いたらところ、CIWSとRAMの中間くらいの距離を狙っているということでした。

 
<合成開口レーダ画像からの目標類別>
 AIによる自動類別。米軍提供の10車種(T-62/72、BMP、BTR、ZSU-23、SU-122、トラックなど)の合計6000枚の色々な角度の公開画像を読ませて学習させ、このうち、敢えて一車種は未学習状態で識別させた結果の発表。画像といってもAI用のヒートマップというのにしたそうで、それを人間が見てもよくわかりません。元の合成開口レーダ画像なら人間が見ても何かわかりますが。人間がみると全然違う二種類をAIが同一視する場合があったというのが面白いです。未学習のものは類推して、これじゃないかと判定させる手もあるでしょうが、私は不明は明確に不明として判定させるべきだと思います。
 有事の際の陸戦なら正体不明の新兵器なんてめったに登場しないでしょうが、平時に海上監視をする場合、既知の判別したい目標だけ抜き出るだけでも楽になるでしょうし、不明なのは人間が見て類推すれば良いとおもいます。
 まあ、しかし、この研究そのものは、今頃、という代物ですが、とはいえ、AIが似ていると判断するものと人間が似ていると判断するものは違うというのが、当然ながら面白いですね。

<高出力レーザシステム>
 ミサイル、ドローン迎撃用。現状はファイバーレーザーですが、これから化学レーザーにして出力を上げるとのころ。電力を考えると艦艇搭載がいいのでは?と聞いたところ、海上は水蒸気による減衰が酷く、余り実用性がないそうです。ああ、なるほど。艦載はレールガンが良いというのが説明員の意見でした。

<CBRN脅威対処への取り込み>
 RとNの違いは、Nは核兵器ですが、Rは所謂ダーティボムなどを想定しているそうです。最近はこういう言い方をするんのですね。ABCだったり、CBRだったり、NBCだったり、時代によって表現は異なっていましたが、NとRを分ける時代になったんですね。勉強になりました。

・研究例1:核酸アプタマーを利用した簡易微生物センサ
 専門外かつ苦手な分野なので細かいことはよくわかりませんが、特定の微生物等に特異的に結合する核酸アプタマーを見つけてそれを使って、検知紙型の簡易センサを作成することを目指しているそうです。実用化できれば、防衛に限らず色々な分野で使用できそうです。対応できる種類はそれほど多くなくても、少なくともそれか、それでないかがわかるだけでも便利でしょう。

・研究例2:ポリマーナノファイバーを用いた化学剤の吸着及び検知技術
 化学剤と反応して変色する色素をつけて、反応するので一度吸着すると外れませんし、変色により汚染されているかどうかがわかります。これも便利ですね。

・研究例3:新たな脅威に対応するためのCB防護装備技術
 これは、高性能を追求するのではなく、トレードオフ評価技術の研究です。防護レベルは下がるものの活動しやすくするためにどこまで出来るかの評価です。なるほど。

・研究例4:ガスを用いた精密機材等の除染技術
 オゾンガスと過酸化水素ガスを用いて除染するので、機械へのダメージが少なく、また、除去したガスは回収されるので、従来必要だった廃液処理が楽になるそうです。

・研究例5:CBRN脅威評価技術
 簡単に言えば、荒いサンプリングからハザードマップの作成。

・18式CB防護衣 
 防護マスクと服で2ピース。ただし、試作品なので、量産品は少し違うそうです。そういえば実物は始めてみました。当然ながら靴や手袋も付属品です。

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<過酷環境における認知的負担の推定に関する研究1>
 パネルだけだとなんのこっちゃかさっぱりわからなかったのですが、説明員に色々と質問して概ね目的が理解出来ました。任務中の負荷状態を
 オーバーロード
 最適
 アンダーロード
に分けて判定(推定)することが目的です。オーバーロードはもちろんよくないのですが、アンダーロードも良くないとのこと。乱暴に言えば、ぼんやりした状態なので、これはこれでミスが出たりします。
 非侵襲脳活動計測技術として
  脳波・脳地磁場の計測 電気的活動を計測
  脳血流の計測、酸素濃度変化を計測
  脳活動解析
ということを行って認知的負担の推定します。これが実現すると実戦でもそうですが、VR環境などでの訓練中に負荷を増やしたり減らしたりしてよいよいシナリオに出来ます。
 例えば、UAV(RPAS)のオペレーターの負荷がわかれば、オーバーロード状態なら交代させて休ませられます。本人は自覚していなくても実はオーバーロード状態ということはあります。疲れているだろう、交代せよといっても、まだ大丈夫です・・・実は大丈夫ではなく、疲労などでミス、というのはありがちです。それが客観的に判定出来れば本人も納得して交代できるでしょう。まだ、基礎研究段階ですが、これも防衛用途に限りません。今後の研究に期待します。

<高機動パワードスーツの研究>
 これは有名な研究ですが、2021年度に災害対応用途で実用化見込みだそうです。現状、連続2時間位は動けるそうです。今後更に制御をつめて動作時間を延ばすそうです。
 パワードスーツと言っても足腰の外装補助動力装置ですが、腕はなくても結構いけるそうです。また、腕の動きは足と比べると単純なのでハードルは低いとのこと。
 類似の民生品は既にありますが、不整地で使えるのが特徴です。やはり制御はかなり難しいようです。足元に赤と緑のLEDがついていて荷重がかかると赤になります。実験の際に便利だそうです。なるほど。

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<「耐衝撃試験装置」の外洋説明 艦船の耐衝撃性能の向上をめざして>
 地味な展示ですが、面白いです。どうやって試験のために衝撃を食わせるのか?ボルトを引っ張って破断させてぶつけるのだそうです。その破断させた実物がありました。へー、こういう構造なんだ。

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<長距離運用UUV用電量電池発電システムについて>
 パネルの説明がかなりわかりにくかったのですが、720h=1ヶ月連続運転できる発電システムです。燃料電池とリチウムイオン二次電池との組み合わせ。実験では、燃料電池だけで、想定される負荷を電力をまかなえるのですが、二次電池と組み合わせて間欠運転をして効率を上げるというものでした。連続運転よりも15%程度向上するようです。
 ただ、720h程度だと二次電池だけでも電力はまかなえるようなので、実際に燃料電池を使うとすればもっと長期間航行する場合でしょうね。
 話題のUUV絡みの展示のため、UUVそのものに関しても質問や意見が説明員にされていてちょっとかわいそうでした。UUVだUAVだ新しい装備を導入すると人が足らなくなるという本末転倒菜ことをいうOBらしき人も・・・・人が足らないから無人化を進めるのですが・・・。

<水上艦船に装備する防弾ガラスについて>
 7.62mmx39mm弾に耐えることを目的に樹脂とガラスを何度か重ねたものです。浸水に弱いので、浸水しないように取り付け方を工夫する必要があるとのこと。どれに使うのかは明確にされていませんが、やはりFFMや哨戒艇かな?

<水上艦船における滞洋能力の向上について>
 WIFIが使えるようにするとか、準個室風の二段別途にするとかの居住性改善だけではありません。物資の補給の仕方や排出物の処理も。ああ、なるほど。そこは思いつかなかった。素人ですね。


<将来戦闘機関係展示>
 色々とあるにはありました・・・が、なんというか、熱気が感じられません。ほとんどが以前からあるものばかり。F-2後継機はどうなるのか?外では色々と聞こえますが、中の人は、もしかしたらもうほとんど「自主開発」は諦めているのでは?良くてF-2並みにとどまるのでは?あくまで、私の感想です。その中で、面白かったのは「ステルスインテークダクトの研究」です。模型がありました。そして肝心の部分はちゃんとカバーされていました。(^^)

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<ローテティング・デトネーションエンジンの研究>
 まだ基礎研究段階。各国でもまだ、短時間の運転に成功したというレベルだそうです。日本は1秒動いたレベル。説明出来ないので、これだけはパネルの写真をつけておきますが、イメージ的には航空機ー>自動車に置き換えるとロータリーエンジンみたいな感じです。

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今後実用化されるか、結局、研究レベルにとどまるかはわかりませんが、こういう基礎研究は必要だと思います。

<低RCS対処ミサイル誘導制御技術の研究>
 今回、唯一の「ゲームチェンジャー」候補でしょう。平たく言えば、ステルス機を撃墜出来るミサイルの誘導制御技術です。ステルス機であって、弱いものの反射波はあるのでそれをある一瞬だけではなく重ね合わせて探知みたいな話でした。また、急激に目標が機動してもそれを予測して追従できるようにすると。あくまで感触ですが、これは結構、実用化に近づいているのでは?と思えました。今時国産というか日本しか採用しないミサイルは難しいね、米軍も採用してくれる=共同開発出来ると良いですねと話をしたら、例のミーティアベースのミサイルにこの技術を搭載する話があるということをぽろりと。もし、日本が他国に先駆けてこれを実用化出来れば、ゲームチェンジャーは大げさでも、優位に立てます。容易ではないでしょうが、開発が進むことを期待します。

<アクティブ防御技術>
 威力制御型EFP弾。ようやく開発か、という代物です。とりあえず輸入でも良いので早く装備して、それらも踏まえて、より良いものを開発すべきかと思います。

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<電磁パルス発生用電源ユニット>
 EMP弾用の電源です。所謂、ドローン対策にも必要でしょう。国産にこだわらず速やか装備することが必要です。

<先進対艦・対地弾頭技術の研究>
 シーバスター弾頭は明確に空母用としている訳ではないですが、通常のSSMでは破壊できない目標といったら空母しか現実ないでしょう。まあ、ロシアの大型艦(フルンゼと、計画されている大型巡洋艦)もありますが。まずメタルジェット、その後徹甲榴弾で破壊らしいです。説明員にきいたら、必要になった時に実用化できるように研究していますといってはいましたが、中国空母が念頭にあるでしょう。

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 高密度EFP弾はクラスターの代わりですね。トップアタック用。最後は運動エネルギーで車両の上面装甲をやぶります。。小さい金属の破片だから、害は少ないねというと普通の爆弾などでもそれは同じですからとああ、それはそうですね。これも対ドローンにもいけますね。現代版三式弾のような感じで。

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<装輪155mmりゅう弾砲の開発>
 目新しいものではないですが、良い機会なので説明員に色々聞いてみました。99SPを装輪式にしたようなものにならなかったのは、そういう要求ですかと聞いたら、カエサルみたいなのですか?そうです、そういう要求ではありませんでしたと。一部で話題になっていたキャビン後方の暴露席は陣地転換用などの短距離移動時に座る席で、長距離移動は随伴車輌に乗るそうです。装甲キャビンにしなかったのはと聞いたら、重量とコストの問題と。FH70もったいないねというと、古いので結構ぼろぼろですと。まあ、どこかに売れればいいのですけどね。イスラエルかどっかの企業に売れば整備して転売してくれるかも?まあ、無理か。

<メーカーブース>
 撮影禁止だったり、ちょっと遠慮してしまったので二つだけ

 エアバスに複合型推進のヘりの模型がありました。HIGH SPEED DEMONSTRATOR RACER 。なかかかっこいいのですが、日本にこういうのが導入されることはないでしょう・・・少なくとも当座はそんな予算がありません。

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 川崎に偵察部隊用のPHEVバイク用エンジン。偵察用にはEV良いですよね。でも、単なるBEVだと不安があるでしょうから、PHEVは妥当でしょう。発電モードもあるようです。撮影禁止なので写真なしです。


<安全保障技術研究推進制度による研究成果>
 説明員はいなくてパネル展示だけでした。色々やっていますが、面白かったのは「軽量かつ環境低負荷な熱電材料によるフェイルセーブ熱電池の開発」実用化されると色々な用途が考えられます。廃熱で発電できるので。是非進展して欲しい研究です。「海棲生物の高速泳動に倣う水中移動体の高速化バブルコーティング」というのも類似研究はあったような気もしますね、これも実用化出来るといいなあ。

<講演>
 聞いたのは一時間分だけです。簡単に。

・電子装備研究所が取り組む宇宙領域における研究の現状と今後
 少数大型静止軌道か多数小型低軌道かの選択が考えられると。悩ましいですが、軍用ということを考えれば、やはり後者ですが、日本だと前者になるのかなあ??

・電子装備研究所におけるサイバーセキュリティの研究
 これはパネルで説明をきいた内容でした。

・水平線を越えた広域監視 見通し外レーダーの研究状況
 ある意味、これも目玉。今頃HFのOTHレーダー?と思いましたが、信号処理技術の向上により、航空機やミサイルではなく、船も探知出来るそうです。そしてマルチスタティック。現在はバイスタティックで実験中。何故か、海保が協力して目標になっているそうで。海面クラッタが問題で、波も探知してしまいます。ただし、それを使えば、津波の状態監視などにも使える可能性があるそうです。

・ドローン・UAS対処にも適用買おうな高出力マイクロ波技術の研究
 ほぼパネル展示で見て聞いた内容です。UAVではなく、UAS=Unmaned Aircraft Systemという言い方をしていました。艦船用は10年後には装備できるようにしたいとのこと。今はマイクロ波モジュール(昔ながらの「真空管」)モジュース340個仕様。今後は半導体化を検討しているとのこと。

<総括>
 だいぶはしょりましたが、期待していたよりはずっと面白かったです。講演はともかく、パネル展示は見て回ると興味深いものが見つかります。説明員に話が聞けるのもうれしいです。私は本来は開発畑の人間なので、分野は別にしてそういう開発者、研究者との会話は実に楽しいです。来年も少なくとも1日はいってみます。

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