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ASM-3はやはり生き残れず

 防衛省がASM-3の射程延長型を開発するという報道がされました。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190317-OYT1T50060/
https://this.kiji.is/479968898923021409
 また、以下のように「12式地対艦誘導弾」の射程も延長するそうです。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20190319-OYT1T50250/
 前者と後者では元々のスタンスが違うので意味合いがやや異なっています。後者は「長距離巡航ミサイル開発へ」が主題になっています。どちらかというと批判的なニュアンスです。単なるASMを「「長距離巡航ミサイル」といっていますし、JASSM-ERやJSMはもう忘れてしまったの?とも思います。その一方で前者はASM-3は開発したものの射程が短く、調達が見送られてきたと書かれています。つまり、ASM-3はおしまい、ということです。もちろん、射程延長型を開発するとはしていますし、数年以内の実用化を目指すとも書かれています。ですが、確定はしていません。
 文谷先生などと異なり、私自信は超音速ASMは有効だと考えています。しかし、読売の記事にあるように状況はASM-3が開発された時から大きく変わりました。JASSM-ERやJSMの導入が決まった現在では射程が精々200kmでは短いと判断されてしまいます。SAMが長射程化されていくこともあり、ASMも長射程化されています。これはASM-3だけの問題ではありません。護衛艦などに搭載されているSSM-1Bや陸自の12式地対艦誘導弾、米軍など西側各国で広く使われているハープーンなど従来の対艦ミサイルに共通する問題です。時代が変わってしまったのです。17式艦対艦誘導弾の射程がどれだけかは公開されていないので不明ですが、少なくともSSM-1Bや12式地対艦誘導弾よりは延伸されているはずです。しかし、射程距離が十分長くなければ短命に終わり、12式地対艦誘導弾同様に射程延伸型が開発されるかもしれません。
 結局、開発当時の要求仕様に問題があったということですが、それは開発側の認識の問題というよりも当時の状況によるものでしょう。まさか日本が数百kmを越える長射程ミサイルを装備することになるとは考えられなかったでしょうし、私も予想していませんでした。もし、当時、射程400-500kmが求められて入れば、ASM-3は違うものになっていたことでしょう。例えば、ターボジェットの一段目とラムジェットで超音速の二段目とかね。
 ASM-3の改良型、仮にASM-3ERとしておきましょうか、が本当に開発されるのかはわかりません。空自内のASM-3推進派がリークした記事に過ぎないかもしれません。ASM-3は射程が短いから要らないといわれたので、いやいや射程延長型をすぐに作れますよと反論しているだけかもしれません。JASSM-ERとJSMが実際に配備されるようになった時にASM-3ERに居場所はあるでしょうか?技術的な話ではなく、コスト的な話です。
 もう一つ、何に搭載するのか?という話もあります。もちろん、F-2です。ですが、F-2は後十年程度で退役が始まります。今から開発するとして早くても実用化されるのは2020年代前半。配備されて10年もしないうちに母機がなくなります。F-15J改(仮称)に搭載されるかは不明です。今、伝わってきているJ-MSIP機の近代化改装は米企業主導によるもののようです。F-15J改は、JASSM-ERの母機になります。それを考えるとコストをかけてASM-3ERを搭載可能にするでしょうか?F-35も無理です。そのためのJSMですから。仮称F-3?うん、それはあり得ます。あり得ますが、F-3がどういう機体になるのか不明です。ただ、射程が本当に400km級になるのなら、P-3CやP-1に搭載することは出来ます。現在は17式艦対艦誘導弾の搭載が考えられているようですが。もっとも、それを言えば、LRASMをP-1に搭載した方が母機の安全性が高まり更に良いのですけれど。 
 もちろん、攻撃を受ける側からするとASMの種類が多い方が対処は難しくなりますから、ASM-3ERの装備は望ましいですし、ASM-3でも良いと思います。射程が短いといっても低空から発射して100kmくらいはあるでしょうから、敵にAEW/AWACSがいなければ探知されることなく発射は可能です。それも踏まえるとASM-3の性能不足というよりはコストの話に思えます。
 ASM-3ERが生き残れるとしたら、海外企業と共同開発して輸出することでしょう。例えば、BAeと共同開発にして、欧州などで採用してもらえれば、生き残れます。米企業でも良いでしょう。うまくいけば、F-35に搭載出来るようになるかもしれません。しかし、日本単独で「国産」にこだわっているともはや厳しいでしょう。ま、政権が変われば別ですが。
 当然、SSMとして採用されれば良いのですが、さて、どうでしょう?Mk41 VLSでは発射できそうにありません。まあ、海自は専用発射筒主義なので大きくなることを除けば問題はないでしょうが。
 それから長射程ミサイルにはどうやって目標を探知・そこへ誘導するかという問題があります。これはASM-3ERに限らない話です。JASSM-ERやJSMの導入は結構ですが、その辺どうするのでしょうね?当然、UAVも活用するでしょうが。例の海自独自のAEWモドキが絡むのかどうか?
3/21/19
 JASSM-ERとLRASMを取り違えていたので訂正しました。LRASMの導入も近い将来ありそうですが。

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