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哨戒艦の記事

 世界の艦船 2019年4月号と軍事研究2019年4月号に海自がこれから整備する哨戒艦の記事がありましたが、対照的でした。

 まずは世界の艦船。86ページからの「3,900トン型FFMとその他の水上艦艇」で著者は元海将補の徳丸伸一氏。有事における戦闘用ではなく、平時の所要により建造されるとしています。「これまでの枠にとらわれない斬新なアイデアや技術を結集した艦艇」としてもらいたいとも書いています。
 しかし、その後で、船体は巡視船並み、対潜戦は実施せず、戦闘指揮システムも搭載しない。砲も76mmよりも小型としており、力をいれるべきは情報収集と伝達能力だとしています。これには完全に同意します。ただ、FFMが40kt超を目標にしていたが断念したので、哨戒艦を高速化することも考えられる、ディーゼル主機でウォータージェット推進とすることも考えられるとしています。90ページ左上には「あそ」型巡視船の写真も出しています。
 FFMをLCSにしたかった人は本当に存在しているのですね。著者は本音ではあのトリマラン型の高速艦になるといいなと思っているように感じます。
 読者投稿欄にもミサイル艇の後継やコルベットのようなものを想定する投稿がありますが、失礼ながらそれでは哨戒艦のコンセプトから外れるでしょう。

 なお、1隊2隻で、6個隊を編成し、佐世保地方隊に2個、後は各地方隊1個の配備を考えているようですが、どうでしょう?私は海保の尖閣専従部隊のような存在になるのではないかと思いますが?1隊3隻を4クルーか、4隻5クルーになるのではないかと思いますがいかがでしょう?1隊2隻で分散配備だと18クルー必要です。また、2隻だけだと稼働率は下がるでしょう。1隊4隻で3隊なら、佐世保、呉、沖縄に1隊ずつ配備だと考えます。それなら、各隊最低1隻は常時活動出来るでしょう。

 また、FFM30について徳丸氏は、VLSを早期に装備し、アスロックやESSMを装備すべきとしています。いやあ、対潜戦好きですね。素人のたわごとといわれるかもしれませんが、今日においてアスロックにどれだけの戦術的価値があるのでしょうか?まだちょっと無理でしょうが、例えば、センサーになるUAV(恐らくヘリ型)を搭載し、それで探知、攻撃はアスロックというのならまだわかりますが。ESSMは可能なら搭載したいですが、コストとの兼ね合いですね。今すぐは無理でしょうが、VLSを装備し、ESSMやSM6を搭載して、誘導は他艦が行うというやり方も考えられると思います。
 また、人員削減のためUAVの運用は想定されていないと書いていますが、普通、逆ですよね?つまり、有人ヘりを搭載するからそれに追加してUAVはありえないと考えている訳ですが、どうでしょう?FFMの固有の艦載機はUAVで、他艦の有人ヘリが状況に応じて派遣される、ということもありえそうですが??
 
 なお、同記事に音響測定艦では既に3クルーで2隻を運用していると書かれていました。初めて知りました。

 一方、軍事研究は文谷先生の194ページからの「海自「哨戒艦」とはいかなる代物か?」です。こちらの著者の主張は哨戒に求められる任務は、監視、支援、機雷、沿岸防衛、広報であり、多用途支援艦、水中処分母船、特務艇「はしだて」の合計12隻を置き換えることになるであろうというものです。そして、ひうち発展型が妥当で、速力は20-25ktに増強するものの武装は20mmで十分。退役艦から外した76mmはありえる、ヘリ飛行甲板は必須だが格納庫は無くても良いとしています。
 水中処分母船はあくまで支援船であって、「艦艇」ではないのですし、かなり小型なので、それの置き換えとして哨戒艦が調達されるのかは疑問がありますし、「はしだて」も用途がかなり違いますので、どうでしょう?ただ、多用途支援艦は後継艦が建造されず、哨戒艦と置き換えられる可能性は十分あると思います。

 普段、文谷先生には批判的な私ですが、本件に関しては、文谷先生案は徳丸伸一氏案よりも妥当だと思います。まあ、いつものように細部では色々と疑問はありますが(苦笑)。
 
 私の主張は、巡視船準同型艦で、武装はRWSのみ。予算の都合がつけばシーRAMは搭載。ヘリ甲板は設けるが格納庫はなく、給油程度の施設があれば十分。または、UAVを可能できる程度の格納庫をもける。速力は20-25kt程度で十分。USV/UUVなどを搭載、運用できる設備があるとなお良い、です。NSMかJSMの艦載型を搭載出来る余地は設けても良いとは思いますが、どちらかといえば、おまけ、でしょう。任務は名前の通り、哨戒や監視ですから、徳丸伸一氏が書かれているようにセンサーとネットワーク重視。対機雷戦やその他支援は副次的なものになるでしょうし、実際、その余裕はないと思います。
 現在、汎用DDが担っているMOOTW的なものや哨戒・監視といった「平時」の任務を前者はFFM、後者は哨戒艦が似ない、数が減る汎用DDは、DDH/DDGと共に「有事」に備えるという方針だと理解しています、実際にはそれでも後者にも色々な平時の任務はかせらえるでしょうが。

 しかし、失礼な言い方ながら海の中の人や元中の人などには、従来の考え方のまま、という人が少なくないようですね。対潜戦や掃海をおろそかにして良いとは言いませんが、これから(遠い将来は別にして)はそれらは副次的な任務になるように思えます。それはこれから始まることではなく、既に始まっていることです。だって、P-3CやP-1はもはや「対潜哨戒機」ではなく「哨戒機」と呼ばれていますよね?SH-60J/Kですら「哨戒機」です。
 
 なお、少し外れますが、世界の艦船の別記事でも、「第2艦隊」の2個群を水陸両用戦群1個と機雷戦群1個と考えていますね。実際には以前触れたように「防衛計画の大綱防衛省中期防衛力整備計画」という解説文書で
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/pdf/20190221.pdf

掃海艇隊x3:7隻+FFM隊x4:13隻
掃海艇隊x3:7隻+FFM隊x3:9隻
とされ、輸送艦は含まれていませんが。

 なお、試験潜水艦は私は驚いたのですが、記事では最新鋭艦をあてるのが適切と書かれていました。ここはプロはさすがに違うなと思いました。

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