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2030年代以降の陸自:大幅削減必至

 ちょっとお久しぶりです。新防衛大綱を見てから色々考えていたことをまとめました。それはその次の10年にどうあるべきか、その個人的な提言です。こうなるだろうという予測ではありません(多分、こうなることはないでしょう)。憲法改正はないという前提です。陸空海の三部作です。
 まずは陸。陸上総隊も設けられ、陸自は大幅に改編されつつある訳ですが、新防衛大綱の次では更なる大改編が行われるはずですし、行うべきでしょう。今年の新成人は125万人に過ぎません。その1%で1.25万です。「士」の任期は陸で2年弱。概ね大学生年齢が適齢期だとすると4年ですから、1.25x4=5万程度。つまり、募集できてその程度しか「士」は得られません。更に現実には男女比率は男が圧倒的に多いので、単純に言えば、本来自衛隊が欲しい「士」は2.5万人程度しか得られないといえます。
 1%に根拠があるのか?明確な根拠はありませんが、有事でなければその程度ではないでしょうか?実際に平成29年度の任期制の「士」は2.3万人です。そう、本来の意味での「兵隊」は陸海空自衛隊合わせて2.3万人しかいないのです。大雑把に言えば、兵隊は自衛隊全体の10%しかいません。ありえないでしょう。当然充足率も低いです。

 陸は1/3は「士」であるべきでしょう。少なくとも歩兵である普通科は2/3が「士」であるべきでしょう。1個歩兵分隊で曹の方が多いというのはありえないでしょう。現実の陸自はその逆ですね。少なくとも1/3は「士」であるとし、そのソースが2.5万人程度だとすると、陸だけでみれば、2万として、総数は6万程度。イージスアショアだ、無人機だ、電子戦だと、「歩兵」ではない分野が増えていることを考えても、精々7万人規模が本来の適切な規模と思えます。現在の実数の半分程度です。1%が妥当かどうかは別にして、現実に陸海空あわせて、兵隊は2.3万人しかないのですから仕方ありません。
 現在の日本は有事に予備役を大量動員出来る状態にないので、士官下士官は多めに現役にとどめて、有事に動員して部隊を充足させる手は使いにくいです。もちろん、兵隊が少ない以上、ある程度の規模・数の部隊を維持するのなら、一部は予備役に頼らざるを得ませんが。

 そういう状態で日本に「師団」が必要だとは思えません。軍である「方面隊」の方が不要という意見もあるでしょう。海外派遣を考えれば師団も必要かもしれません。が、現状、師団規模の陸自部隊を海外へ派遣することはありえません。ですから、方面隊の配下は旅団で十分だと思います。当然、それは今、そうなっているように機動運用される部隊とそうでない部隊に分けられるでしょう。
 今の師団、旅団は新しい旅団に再編成します。これは現在の旅団と異なり、歩兵大隊みたいな「連隊」により編成されるべきではないでしょう。ただ、師団が無くなることを考えると分割して運用する際に大隊だと不都合が多いかもしれません。それを考慮して旅団は小型の大隊3個からなる連隊2個を基幹とし、有事には連隊戦闘団2個を編制出来ます。

 旅団は今の師団・旅団と同様に機動運用部隊と地域配備部隊に分けられます。

 機動運用部隊は、装輪装甲車化旅団が2個、それに機甲旅団、水陸機動旅団、緊急展開旅団、特科旅団がそれぞれ1個です。緊急展開旅団は、旧12旅や空挺団や特殊作戦群などからなりますす。本来なら機甲旅団とペアになる機械化旅団を編成したいところですが、装軌式装甲車が足りませんし、人も足りません地域配備部隊は普通科旅団7個、うち沖縄の1個は他と編成が異なり、小型ですが、飛行隊を持ちます(今と同じ)。そして半分は南西諸島の守備隊として分散配備されます。

 5方面隊制度は維持し、それぞれがフォースプロバイダーであり、有事(大規模災害も含めて)にはフォースユーザーにもなります。直轄部隊は前方支援旅団(高射、特科や施設など)、後方支援旅団(補給、輸送、衛生など)に再編成します。方面飛行隊は直轄部隊として残します。今の方面混成団は廃止し、警備部隊で教育します。

 この他、人員予算は陸自が提供しますが、実際には統合運用される部隊として、弾道ミサイル防衛隊(イージスアショア1基)2個、飛行隊(V-22)1個、地隊艦ミサイル連隊5個を設けます。最終的にはサイバー防衛隊と同様の常設統合部隊としても良いと思いますが、この辺は後日述べます。地隊艦ミサイル連隊も統合運用されるのは、リンクに入って、空海の部隊と連携して敵艦隊の迎撃に当たるためです。V-22飛行隊も主にDDHや揚陸艦で運用します。イージスアショアは陸自を大幅削減する以上、空自へ移管すべきだと思いますが、今更難しいでしょうから、将来的に常設統合部隊とすることにします。

 兵科にもよりますが、1個大隊は概ね300から400人程度で、1個連隊は概ね1500人前後、旅団で4000-6000人を想定しています。警備部隊である普通化旅団は平時の充足率は60%程度にとどめますが、機動運用部隊は特科旅団を含んで6個と沖縄の普通科旅団で合計約3万人としては基本的に充足率100%を目指します。それ以外の前方支援旅団、後方支援旅団、航空隊、教育連隊その他など各方面隊配備の部隊は定数で約1万人合計5万、普通化旅団は定数で6個合計約3、あわせて定数で約8万。ですが、これらは平時は5万程度にとどまります。その他の部隊、陸幕、各種学校などなどあわせて、平時の実数は合計で約9万人とします。有事は予備を動員して約14万人です。現状14万(平成31年度概算要求に記載されている年間平均人員)ですから、5万人の削減です。どれだけ確保出来るかは別にして、削減分の5万人、予備自衛官が必要です。即応予備自衛官、予備自衛官補を合わせると現状6万人弱ですが、予備の確保も難しくなるでしょう。更に確保出来るのなら、それは補充要員としましょう。
 警備用普通科旅団は、一律充足率60%にするのが良いか、1個連隊を充足率70%、1個旅団を充足率50%とするのが良いか、色々やり方はあるでしょう。予算の都合がつけば、1個大隊は充足率100%として、装甲車化し、機動戦闘車、重迫撃砲(装甲車化)も配備して、即応機動運用大隊としたいです。旅団の配備は
 北部面隊:戦車旅団、装甲車化旅団、特科旅団
 東北方面隊:普通化旅団
 東部方面隊:普通化旅団2個、緊急展開旅団
 中部方面隊:水陸機動旅団、普通化旅団2個
 西部方面隊:装甲車化旅団、普通化旅団2個(1個は沖縄)
とします。水陸機動旅団が中部に移動していますが、私は呉に揚陸艦を配備し、水陸機動旅団も瀬戸内におくのが良いと考えるからです。西部方面普通化連隊からのつながりを考えると難しい・抵抗が大きいとは思いますが、九州本土に警備部隊がおけなくなるのでそうしました。初期教育は警備部隊で行う構想ですので。北部は仕方ないので教育連隊を1個設けましょう。

 将官ポストはかなり減ります。師団長が無くなり、陸将ポストは、中将相当の三星が方面隊司令官と陸幕副長、大将相当の四星が陸上総隊司令官と陸幕長だけ(もし、統合幕僚長が陸から出ているときはもう一つ追加)です。このほか陸幕や統幕などにいくつか陸将ポストが残るかもしれませんが、今よりは減らします。陸将補ポストは、旅団長、方面隊幕僚長。この他、教育部隊・学校や陸幕や統幕などにもありますが、今よりは減るでしょう(前方支援旅団、後方支援旅団を設けたのである程度ポストを確保するためでもあります)。少ない?いえいえ、動員かけても14万人ですから、それが妥当でしょう?帝国陸軍の戦時編成の1個軍程度の人数なのですから、中将がごろごろいるのはおかしいでしょう。

 細かい装備や編制にまで立ち入るつもりはありませんが、主要な装備に関して少し。

 既存の防衛大綱で定めたように戦車は約300両弱。砲も約300門程度に減らします。ただし、いずれも教育用は別枠とします。また、砲は相当数を予備として保管します。戦車は74式は既に全車退役しているはずです。10式をどれだけ生産するかにもよりますが、90式はまだ使えます。本来ならば10式は不要で90式を近代化改装すべきでした。輸送の問題はありますが、戦車を新規開発して解消する話ではないでしょう。とはいえ、10式を開発して配備を開始した以上、元には戻せません。余剰は予備として保管または他の用途に転用するとします。機動戦闘車は戦車とは別枠にしておきます。装甲車化旅団と水陸起動旅団に1個大隊、普通化旅団旅団と前方支援旅団に1個中隊ずつ、合計約220両程度でしょうか。結局、戦車相当は500両を越えますが・・・特科が減るので火力支援には必要でしょう。

 問題は装甲車。まずは装軌式。89式戦闘装甲車は教育用を除いて全て戦車旅団に集中配備します。当座、新規調達は望めませんので、ネットワーク化含めて電子装備を一新し、対戦車ミサイルを新型にし、シートの交換や防御力の強化を施します。改修を続ければこの手の車両のドンガラは丈夫ですから、長期間使用できるでしょう。73式ですらまだ現役ですから。で、最大の問題はAPC。73式は装輪式の96式で置き換えることになっていますが、戦車旅団ではそれでは困るでしょう。一つのアイデアとしてはイスラエル流に余剰の90式をAPCに改造する方法があると思います。ただし、メルカバと違ってエンジンは車体後部にあるので、後部に乗降口を設けようとすると大改造が必要です。また、収容力も当然ながら元々APCとして作られたものよりも落ちます。とはいえ、73式ではもはや実用に耐えないでしょうから、新規調達しないのなら、それもありかとは思います。やらないでしょうけどね(苦笑)。90式はその他戦闘工兵車にする手もあるでしょう。

 あるべき姿を言えば、ある程度の数、 装軌式装甲車を輸入して装備し、戦車旅団に配備、装甲車化旅団も1個は機械化旅団に改編したいところですが・・・予算が足らないでしょう。それは更に次の10年の目標としておきます。

 装輪式は96式後継が小松のが中止になり、どうなるか不明です。輸入になるのか三菱になるのか。装軌式APCと違って、こちらは大量に必要です。機動運用される装輪装甲車化旅団2個だけで500両以上は必要でしょう(普通科1個連隊で約100両は必要)。普通化旅団にもある程度は配備されますから、各種バリエーションを含めれば1000両を軽く越えて2000両に迫る数が必要です。それだけの規模なら機動戦闘車とコンポーネントを共有する装甲車が良いようにも思えます。82式指揮通信車や自走迫撃砲の後継、装甲救急車や回収車、工兵車や短距離地対空ミサイル車、対戦車ミサイル車など色々なバリエーションが考えられます。ちゃんとそれらも考えてファミリー化して国産するのならそれはそれで良いと思います。その辺がまためちゃめちゃになるのなら輸入した方が良いでしょう。

 砲は装軌式自走砲(既存の99式)が戦車旅団、特科旅団に計5個大隊90両。装輪式自走砲(新型)が自動車化旅団と水陸機動団に計3個大隊計54両、前方支援旅団と緊急展開旅団に牽引式砲が計7個大隊計126門。緊急展開旅団の牽引式砲は軽量の新型を輸入して装備することにします。それ以外は既存のFH-70の改修して継続使用します。99式やFH-70の余剰も予備として保管します。MLRSが特科旅団に2個大隊計36両、戦車旅団と水陸機動団に計2個隊20両。合計326門で300門を越えますが、この位は勘弁してもらいましょう。99式が余るので残りは一部のは前方支援旅団に牽引砲の代わりに配備しても良いと思います。MLRSは近代化して使い続けることになるでしょうが、性格を考えたら  装軌式でなければならない理由はないので、HIMARSへの置き換えも考えられます。
 個人的には大綱の300門には余りこだわらず、余剰の砲は守備隊に配備して、半固定砲台として使用しても良いと思います。まあ、いずれにしても99式の調達は終了でしょう。実際、平成31年度予算では装輪式に切り替わっていますし。

 航空部隊は固定翼機は全廃します。異論あるでしょうが、少数の固定翼機を陸自で運用し続ける余裕はもはやありません。
 方面隊航空隊は、UHのみで12機、沖縄の普通科旅団にUHが12機、CHが8機、水陸機動旅団にUHが24機、CHが8機、AHが12機。緊急展開旅団にはUHが48機、CHが32機、AHが24機、以上でUHが144機、CHが48機、AHが36機、合計228機が陸自航空隊の作戦機。それに教育用や予備なそでそれぞれもう少し保有機はありますが。UHはUH-60JAの保有量が40機なので、残りの104機はUH-Xということになりますが、これはとりあえず、そうしておきます。CHは既存のCH-47JA。AHは次の10年ですらAH-1Sが怪しく、AH-64Dも朽ち果てそうですから、何かしらの後継機の調達が必要でしょう。現況ですら稼働機合計36機は怪しいです。理想は既存のAH-64DはEにアップグレード、Eを追加調達ですが・・・・。UH-60の武装化で置き換えて、UHは全てUH-Xということになりそうです。UH-Xの武装化も必要でしょうね。OHは?予算がありません。偵察用はUAVで置き換えます。軽輸送はUHでそれでまかなってください。
 個人的願望で言えば、AHの後継兼用OHとしてH135を導入したいところです。練習機として使用していますし。ただ、そこまでの予算や人員はもはや確保出来ないでしょう。UH-Xがこけたら?その時はH145=BK117で。米軍もUH-72として使っています。搭載力は落ちますが、UH-Xよりも安くなるでしょうから、数は増やせるでしょう。
 個人的な願望で言えば、
 AH-64Eを約40機(Dからのアップグレードと輸入)
 UH-60Jを追加調達し合計約80機(武装化あり)
 CH-47JAを若干追加調達し、合計約60機
 UHとOHの後継としてH145を約150機
にしたいです。H145はH135でも良いですけれど。 UH-XよりはH145の方が安いので、差額でAH-64EとUH-60J追加調達と費用の足しにします。

 V-22は前述の通り共同運用部隊として別扱いです。私はこれらは本来海自へ移管すべきだと考えています。
 なお、10年以上先の話なので、UHやCHも老朽化して退役する機体も出てくるでしょうが、とりあえず、そういうのは同等の機体で置き換えることにします。
 主力が旅団に所属しているのは長所と短所があると思いますが、編制はフォースプロバイダーと考えてください。有事には実際の任務部隊を編成することになるでしょう。

 後方支援旅団の輸送や補給業務はかなりの割合を平時は民間に委託します。要するに物流業務ですから。有事は予備自衛官を動員して部隊を充足します。更に後方は民間にも委託します。沖縄以外の普通化旅団は2個連隊6個大隊中4個大隊はスケルトン部隊とします・・・というかそうせざるを得ません。予備自衛官の確保は?特例以外は任期を終えた後4年は予備自衛官とします。募集するときにそれを条件にするのです。反面、手当ては今よりもあげます。即応予備自衛官は志願制を維持します。
 人的に一番問題があるのは衛生=医療ですが、これは自衛隊が不適切と判断しない限り、防衛医大卒業し、免許を取得した後、最低5年自衛隊で勤務し、その後5年は指定の国立病院(正式にはなんとか機構ですが、いまは)に勤務するとします。要するに地方での勤務。その後は自由ですが、60歳までは予備自衛官とします。平時の病院は民間人も雇用します(取り合いでしょうが)。有事には動員して病院を拡張するとします。そして、これは陸海空共用としましょう。

 それから昔風にいうなら「軍属」を新設します。後方支援旅団やUAV部隊などで活用します。情報本部やサイバー防衛隊もかなりの人員は「軍属」になるでしょう。違いは?武装せず、それらの訓練も行いません。専門分野だけをやってもらいます。民間委託する場合も「軍属」の身分を与えます。名前は?うーん、難しい(苦笑)。宿題にさせてください。背広組にほぼ準じる正規職員と委託の非正規職員の二種類に更に分かれることになるでしょう。

 以上、平時の実数を9万程度に減らし、実働部隊を絞り込む代わりに装甲車など装備を充実させる私案です。無茶苦茶だ?今でも人が足らないのにこんなに削減してどうする?これは20年先の話ですよ?最初に述べた通り、今でも募集に苦労しているのです。実数14万人体制を維持出来るとは思えません。維持するとしたら移民の受け入れ、外国人傭兵の導入が必要でしょう。国状に合わせれば、陸自は減らざるを得ません。さて、次の防衛大綱が発表される時、どうなっているでしょうか? 

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