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新防衛大綱が目指すもの

 前回は時間切れで簡単に書いただけでしたが、時間が経ってしまいましたがもう少し思うことを述べます。
・実質的に陸を減らして海空(特に海)増強
・国産装備は競争力があるものだけにして、海外からの装備輸入(特に米からのFMS)が増加=同盟国・準同盟国と装備共通化を進める
・F-35大量調達、Bも二個飛行隊分調達
・いずも空母化
・乗員を減らした艦の大量整備(FFMと哨戒艦)
ということから、本土決戦主義の終焉と海自の前方展開を意味していると考えます。
 前回も述べたように第一艦隊である現護衛艦隊は外洋艦隊化し、領域警備から解放し、日本近海ではなく、南シナ海、インド洋、太平洋などで主に活躍することになるのでしょう。現在の掃海艇・輸送艦を元に第二艦隊が創設され、それらが領海警備と水陸両用戦を担います。それと恐らくMOOTWもFFMが担うのでしょう(ソマリア沖の海賊対策など)。これは2個群(13個隊)とされている訳ですが、その編成は不明です。揚陸艦の新造は次の5年では盛り込まれていませんが、その次の5年で整備されることでしょう。おおすみ型3隻では、足りません。哨戒艦は12隻建造されるので、1隊4隻なら3個、FFMは22隻の予定ですが、1隊3から4隻で6個。揚陸艦が増強無しなら1個で、残り3個隊。これらは掃海艦艇でしょう。2群の編成は、輸送掃海で1群、FFM/哨戒艦で1群の可能性はある思いますが、似たような編成の2群かもしれません。揚陸艦が増強され、それがLHAになるかもしれませんが、LHAになるとF-35Bを搭載するので第一艦隊よりです。そうするととりあえず次の10年ではLHAの整備はないのかもしれません。

 細かい編成はとりあえずおいておいて、第一艦隊は少数ながらF-35Bを搭載し、日本から離れた海域を遊弋し、「プレゼンス」を担うのでしょう。厳密には憲法改正が必要なはずですが、まあ、活動するだけならセーフだと言いたいのでしょう。数は少なくても(精々12機程度)、F-35Bを搭載した艦が活動していれば、中国はこれに対応せざるを得ません。それは日本近海での中国が展開出来る戦力が減少することを意味します。日本が実際にやらなくても、中国からすれば、F-35Bにより奇襲に備える必要があるでしょう。ウェポンベイに長射程ミサイルは収まりませんが、JSMを翼下に搭載したものでも、従来機よりはRCSは小さいでしょうから、探知出来る距離は短くはなるでしょう。内陸はともかく沿海部はいきなりJSMが撃ち込まれる可能性があります。また、F-35BがJDAMを投下することもありえます。米空母機に備えるだけではなく、日本空母機にも備えなければなりません。
 勿論、現体制では、中国に対する奇襲攻撃はありえません。明白な憲法違反です。しかし、日中関係が悪化し、衝突の可能性が出てきた時、従来なら米軍だけ気にしていれば良かったのが、仮に米が中立的立場にとどまったとしても、日本が「矛」を持ったという意味は大きいです。この「矛」は建前としては「矛」ではなく、「盾」として使うとしているものです。しかし、決断した瞬間に「矛」になりえる「盾」です。また、本土から離れた場所に「盾」をおくと考えることも出来ます。それは太平洋側でも同じです。

 今後若年人口の減少にともない、自衛隊も一手不足に陥ります(既に陥っていますが)。「兵隊」が多くいる陸は現在の規模を維持出来なくなるでしょう。既に幹部と曹はともかく兵隊である「士」の充足率は大幅に低下しています。陸は「士」が多くいなければ戦闘力を発揮出来ません。海と空は幹部と曹中心でも戦闘力を相応に発揮出来ます。そうすると数が多くない「士」は機動運用する部隊に集中し、なんとか戦闘力を維持することになるでしょう。次の10年はなくても、その次の10年には陸自の定数削減が行われるはずです。「減らす」というよりも「維持出来なくなる」からです。浮いた予算は海空へ回されるでしょう。
 勿論、海空も人手不足には変わりありません。募集は更に困難になっていきます。潜水艦を増やすというものの果たして乗員はまかなえるのでしょうか?待遇改善も必要です。この状況で通常のDDなどを領海警備にかり出すのは限界で、哨戒艇を装備するということでしょう。FFMFMは2クルー制度を採用するそうですが、これも待遇改善のためでしょうね。しかし、その人数はどうやって確保するのでしょうね?まあ、従来型DDの半分程度に抑えれば同数で可能ですが、支援艦艇など廃止されるものもあるのでは?無論、掃海艇も減らされますが、哨戒艦も追加整備されますので人手は足りません。

  装備調達は何がどうであれ、国産比率は減少し、輸入が増えるでしょう。大幅な痛みを伴う改革になるでしょう。しかし、このままではいずれ防衛産業は縮小し、破綻するほかないでしょう。であれば、生き残れる企業は残り、そうでない企業は手を引く他ないでしょう。従来のある意味、無駄な国産装備は大幅に減少していくでしょうね。個人的には関連企業が多すぎるように思います。例えば、航空機。三菱、川崎、スバルと固定翼機と回転翼機のプライムメーカーになる企業が三つあります。その他US-2の新明和もあります。日本の航空機産業の規模を考えたら多すぎるでしょう。多くても  固定翼機と回転翼機それぞれ2社あれば十分ですし、個人的には国内メーカーは一社ずつで、国外メーカーと競合するのが適切だと思います。もちろん、完全に撤退ではなく、国外メーカーとの提携(グループ入りまではいかなくても)でも良いと思います。装甲車の類はもう輸入か精々ライセンス生産でいくべきでしょう。陸自の規模では、独自開発するほどの数はもはやありません。戦車だけの開発をするのかどうかは輸入する適切な戦車がなければ開発すべきでしょうが、その場合は、ネットワークは日本独自のものを開発して輸入した装甲車にも搭載するのか、輸入・技術導入したものを国産戦車に搭載するかのどちらかを選ぶ必要があるでしょう。火砲なども同じでしょう。F-2後継機は?それはまた別途。でも、国産は厳しいでしょうね。

 電子戦はその後伝えられている話からするとまずはC-2ベース、その後P-1ベースだと。あのー、空海で別々に開発装備するのでしょうか?無駄ですね。どちらかと言えば、P-1の方が適切に思えます。また、EA-18Gの導入はとりあえず話が出ていません。C-2/P-1とするとこれは電子攻撃機ではなく、電子防御機ですね。主に防空用でしょう。無論、やる気になれば攻撃も出来るでしょうけれど。
 それも踏まえて、JSM・LRASM、更に国産らしい高速滑空弾もとりあえずは、防御用として使うことを想定していると思えます。敵地攻撃するなら目標の探知する能力が不可欠ですが、それは盛り込まれていません。UAV部隊の創設もされますが、現段階ではこちらも哨戒用と思えます。具体的な機種は別にして、P-3C/P-1がやっている任務の内、平時の哨戒(有事もだろうけど)はUAVにやらせるようになるのではないでしょうか。
 その一方でOHの後継は盛り込まれておらず、小型のUAVは運用するにせよ、陸自の航空偵察は放置されていくように思えますが、これは偵察・哨戒・情報収集は、今後は陸海空で統合されることを示しているのかもしれません。これは妥当でしょう。情報の共有はとても大事ですし、別々にやる意味がありません。結果的に、空が運用する大型UAVが海の哨戒機の任務の一部を担うことにもなるでしょうし、陸のOHの後継にもなるかもしれません。DDHに搭載されるF-35Bは当然空自所属(現時点ではDDHにも搭載される、ということであって固有の艦載機ではないし)です。それで慣らした後、もしかすると航空機部隊の運用も統合することがあるかもしれません。

 サイバーだ、宇宙だについては余り述べようがありません。理由は?詳細が不明だからです。当然行われるべきですが、今回は意見を述べられるほどの材料がありません。ただし、サイバーに関しては防衛省・自衛隊だけでどうこうできることではなく、法的整備が必須です。サイバー戦に専守防衛はありえません。しかし、今の日本の法律では出来ることが限定されます。そこをまず変えないと。後、当然人員が少なすぎます。増員は必須でしょうね。

 全体として、軍拡だとする意見もありますが、実際には規模という点から言えば、縮小の始まりに思えます。予算は必ずしも減りませんが。補正予算が補正になっていないという話もありますし。しかし、今後、日本の人口は減っていきます。三自衛隊間の重複はなくさないとやっていけません。そうなると三自衛隊でそれぞれ航空機を運用するのでなく、統合された真の航空自衛隊になっていくことも考えられるのではないでしょうか?三自衛隊の完全統合は・・・日本では無理でしょうが、前述のように有人の固定翼機、回転翼機、無人機のうち大型機は、空で運用することも考えないといけないのではないでしょうか?

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