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新防衛大綱

 公開されました。
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/index.html
 事前に色々な話が飛び交っていましたがこれではっきりしました。正面装備大量調達、その中で陸自冷遇、ですね。ざっと見た感想です。

・F-35。
 事前に流れていた最大数の105機追加導入、うち42機はF-35B。次期中期防期間中で45機(うち18機がF-35B)。一方、F-15の改修は20機にとどまります。これからすると更にその次も含めても、F-15の改修は3個飛行隊どころか、2個飛行隊にとどまる恐れもあります。戦闘機飛行隊は13個に増強されますが、F-35Aが5個、F-35Bが2個になる可能性が高そうです。F-15が3個、F-2が3個。ただ、F-15の最終改修が2個にとどまると更にF-35の追加調達もあるかもしれません。今回盛り込まれていませんが、いずも改の後にくるものを考えれば、将来的にF-35Bがもう1個飛行隊追加されてもおかしくはないです。当然、F-2後継機の最大調達数も減ります。それは「国産」の可能性がどんどん減っていくことを意味するはずです。F-15後継含めても5個飛行隊分となると100機程度に過ぎませんから。

・哨戒艦部隊
 突然出てきました。次の5年でまず4隻、最終的12隻を建造するとのこと。詳細は書かれていませんが、出てきている情報では1000t台、乗員30人位だとのこと。「我が国周辺海域における平素からの警戒監視を強化し得るよう」とあるので、今は、例えば、中国の艦艇が領海に接近・通過した際にDDで対応していますが、DDは他の任務につけて(日本から離れた海域で活動する)、その代わりにこの哨戒艦が対応するということでしょう。有事の際にレーダーピケット艦的な役割も担うかもしれません。そうすると軽武装で、海保の巡視船程度のものではないかと推測します。私だったら、後部にヘリが発着艦出来る飛行甲板を設け(格納庫は無し)、有人または無人機の運用を可能にします。武装は20-40mm機銃程度。RAM位は搭載しても、ミサイル魚雷は無し。まあ、RAMは後日装備かな?それとNSM位のSSMを搭載するスペースは確保程度?
 主兵装は
https://jm2040.blogspot.com/2017/12/20mm.html
 これかも?
 レーダーやESMなどの電子戦装備は相応のものを搭載するとしても、ソナーはあっても簡易的なものになりそう。ああ、UUVは搭載するかもしれませんね。
 1000t程度で乗員が30人なら、便乗者をすこしは乗せられそうだから、鼠輸送もある程度は出来るかも?従来の多用途支援艦の任務も引き継ぐかもしれません。速度はそれらよりは速く、20ktは超えるとしても30ktはないでしょう。精々25kt程度では。

・海上輸送部隊1個輸送群の新設。
 事前に流れていた報道では陸自が輸送艦を運用ということでしたが、「共同の部隊」とされています。中型級船舶(LSV)及び小型級船舶(LCU)を新たに導入するとしています。LCUは輸送艇「1号」型の増勢なのか新型なのか不明ですが、いずれにしても小さな港に入れるものであろうと思います。ビーチング能力は要求されないかもしれませんが。LSVは不明。LCUよりは大きいので、1000から2000t程度?「共同の部隊」の意味は、人員は陸自が出すものの、それは陸自だけが使うのではなく、空海も使うのでしょう。ところで、来年度予算で2隻建造を要求している油槽船もここ所属だったりしませんよね??海は人的余裕が何もかかわらず、艦隊は増給されます。かといって英連邦系のように民間人に運行させるのは日本では難しいでしょうから、どこからか人を用意しないといけません。そうすると油槽船も人は陸自なんてことも???

 大綱には「迅速かつ大規模な輸送のため、島嶼し ょ部の特性に応じた基幹輸送及び端末輸送の能力を含む統合輸送能力を強化するとともに、平素から民間輸送力との連携を図る。」とあるので、既存の2隻に加えて、更にもう何隻か自衛隊用の輸送船を確保するのかもしれません。LSVが基幹輸送、LCUが末端輸送なのか、LSVとLCUが末端輸送で、基幹輸送は別(民間船活用)か、さて、どちらでしょう?

 新型揚陸艦は後半の5年間のようですね。詳細は不明ですが。

・島嶼防衛用高速滑空弾
 きましたねえ。部隊は2個高速滑空弾大隊を整備。さすがに次の5年では開発を進めて、「新編に向け、必要な措置を講ずる。」とまりのようですが。名目は島嶼防衛用になっていますが、本当のところは?まあ、間接的にはそうなるのでしょうけれど。なお、新編になっていますが、当然、既存部隊からの改編ですよね?特科なんでしょうけれど。

・陸自ヘリ部隊は大幅縮小か?
 次期中防で調達されるのはUH-Xは34機(うち6機は来年度)とCH-47Jが3機のみ。OHもAHも新規調達は含まれていません。大綱と合わせてみて言及はほどんどなく、逆に「戦闘ヘリコプターについて、各方面隊直轄の戦闘ヘリコプター部隊を縮小するとともに、効果的かつ効率的に運用できるよう配備の見直し等を検討する。」とあります。なので、しばらく噂になっていたAHの調達は中止された可能性が高いように思われます。次の10年は稼働機で精々2個飛行隊程度を維持(上陸作戦の支援に必要な程度)する程度のようです。ただ、UHの武装化の可能性はありそうです。しかし、OHの後継に言及なしとは・・・基本、UAV化するつもりでしょうか?ああ、そうか。想定される戦場が基本的に「島=海周辺」なので、陸自独自の航空偵察部隊は不要ということなのか!
 OH-1は下手すると引退ですね。「重要度の低下した装備品の運用停止」という文言もありますから。OH-6の軽輸送能力は失われますが、それはUHでやれやということなのでしょう。
 V-22は?それは「共用」でしょう。「統合運用」というべきかもしれませんが。所属は陸ですが、ほとんどは船に乗せて使うのでは?海自のUHは中に浮いたままです。次の5年でMCH-101を1機だけ調達しますが。いずもの空母改造だF-35Bの搭載だとかなると当然、大型の輸送機が必要でしょう。UH-X事件のせいでしょうが、常識的に考えればMCH-101の増勢(か、掃海装備をもたないCH-101)でしょうが、そうなっていません。ではどうする?既存MCH-101が輸送任務につくことが増えるとしても足らないでしょう。なら、陸自のV-22を使えば良いのです。DDHなら運用出来ます。という訳でV-22は陸に押しつけられたものの自分で自由に使うのではなく、基本的には海自艦に搭載されることになるのでは?

・大幅リストラ?戦車火砲は予定通り削減
 色々な記述、特に大綱の以下の記述からすると「一方、主に冷戦期に想定されていた大規模な陸上兵力を動員した着上陸侵攻のような侵略事態への備えについては、将来における情勢の変化に対応するための最小限の専門的知見や技能の維持・継承に必要な範囲に限り保持することとし、より徹底した効率化・合理化を図る。」伝統的な陸自の任務はもう終わり、機動運用部隊は別にして、昔風に言えば、警備師団・旅団化するのでは?今回は定数削減はありませんでしたが、陸自所属だけれど、実質的には統合運用を名目に、本来は海空である仕事をやらせていくことがどんどん増えていくようです。

 大綱に「装備品のファミリー化、装備品の仕様の最適化・共通化、各自衛隊が共通して保有する装備品の共同調達等を行うとともに、航空機等の種類の削減、重要度の低下した装備品の運用停止、費用対効果の低いプロジェクトの見直しや中止等を行う。」とあります。前述の通り、OH-1は飛行再開することなく、引退かもしれません。失敗作と言われる陸のFFOS・FFRSもこれで終わりでしょう。代わりにGA当たりのUAVが導入されるか、陸自単体ではなく、空海のとリンクして使うことになるのかも。94式水際地雷敷設装置も怪しいですね。島嶼防衛には水際地雷(機雷)は必要かもしれませんが、このようなかさばる車輌をわざわざ運ぶことは考え難いです。それとLR-2は使う側の評判は悪くないのかもしれませんが、これだけ固定翼機です運用停止される可能性もあるでしょう。当然、203mm自走りゅう弾砲も終わり。MLRSも危ないでしょう。その代わりにHIMARSの導入になるのでは?この方が輸送はしやすいですから。
 陸ばかり列挙しましたが、海空でもあるでしょう。まず、ミサイル艇はほぼ間違いなく引退でしょう。「あすか」。固有の試験艦を運用する余裕はないように思います。訓練支援艦も怪しいです。必要な時だけ哨戒艦を使えばいいのではといわれそう。30人でも12隻なら360人は必要です。FFMのように2クール制にするとその倍です。
 そらはF-4系の引退は予定通りなので余り思い当たりません。無論、F-15のPre-MSIPは終わりですが。

・機動戦闘車
 ちょっとおどろいたのは次の5年で装甲車は29両しか調達しないのに機動戦闘車は134両も調達することです。ちなみに戦車は30両、火砲は40両(全部155mm自走砲とは限らないかも?)。その前の5年はそれぞれ24/99/44/31でした。すっかり主力ですね。まあ、戦車と火砲を取り上げる代わりに火力はこれでということでしょうが。

・防衛産業冬の時代?それとも覚醒の時?
 まとめると従来のような調達(ライセンス生産含めて国産)は大幅減少、FMS中心の輸入が増えるのは間違いありません。ただし、防衛産業基盤を捨てるとは言っていません。競争力を持て、外にでよ、共同開発・生産を進めよ、出来ない?なら、やめたら?ということなのでしょう。ある意味、真っ当・普通になりなさいということです。日本は数の割に企業が多すぎます。航空機だけで見ても、MHI、KHI、スバルの三社があり、それ以外にも新明和などもあります。固定翼機と回転翼機でそれぞれ1社ずつあれ良い程度の規模にもかかわらずです。私は最終的には国内メーカー1社にしてそれを海外メーカーと競わせるのではないかと思います。単なる撤退ではなく、海外メーカーによる買収もありえるでしょう。逆に国内メーカーが海外メーカーを買収しても良いでしょう。装甲車両も一社で十分(というか、小松はもう撤退するのでは?)。
 いずれにしてもFMSは増えます。「FMS調達の合理化を推進するとともに、米軍等との調達時期・仕様の整合に努める。」と従来のFMSの問題点の解決には努めるようです。

・F-2後継機=将来戦闘機
 中期防には「将来戦闘機について、戦闘機(F-2)の退役時期までに、将来のネットワーク化した戦闘の中核となる役割を果たすことが可能な戦闘機を取得する。そのために必要な研究を推進するとともに、国際協力を視野に、我が国主導の開発に早期に着手する。」とあります。Pre-MSIPはF-35で置き換える代わりにF-2後継機は国産だ!と書いている訳ではありません。次の5年の間に決めるとあるだけです。ただ、既存機の導入は無いとは言えます。国産というか国内メーカーがプライムになって新規開発はほぼあり得ないでしょう。「ネットワーク化した戦闘の中核となる役割を果たすことが可能な戦闘機」を日本で開発出来ると思えません。勿論、技術的な問題もありますが、今後、ネットワークというと日本だけのものではなく、友好国軍も含まれるはずです。では?そこは実質的に米軍と同じものになるはずです。むろん、機体は日本、電子系装備(レーダー、FCS、ネットワークなど)は米という棲み分けもあり得るかもしれません。が、少なくともその将来戦闘機は卓越した能力を持たないといけません。なので、国内産業基盤維持のためにともかく国産、少なくとも分担割合は日本が多いものを開発製造するということではないでしょう。そうなると・・・・F-22ベースのあれである可能性が高まりそうです。
 ただ、この問題は、トランプ大統領が再選されるに退任することを予想して、そこまで決定を先延ばしするものという意見も耳にしました。そういう側面はあるかもしれません。
 XF-9は?それを前提にF-22改を開発するとすれば、エンジンこけたら機体もこけます。今の状況で果たしてそれが許されるでしょうか?まあ、XF-9の今後の試験結果にもよるのでしょう。

・サイバー防衛隊と宇宙
 本業に近い話なんですが・・・まあ、これは、「そうですか、頑張ってください」としか言えません。何せ、具体的な話がさっぱりわかりません。どちらかと言えば、法整備の方が大事ではないかと思えます。

・目指しているもの
 明言されていませんが、これらを読んで感じたことは、以下のような防衛体制を目指しているのではないかと思います。「海」中心の視点になっていますが、一応、私の本来の専門(趣味のね。仕事じゃない)は海なので。

 日本から離れた外洋(ソマリアの海賊対策のようなものも含んで)で活動する第一艦隊(現在の4個群からなる護衛隊艦隊)
 南西諸島を中心とする近海で活動する第二艦隊(掃海部隊を中核とし、編成が進むつつある水陸両用任務部隊に新編のFFM、哨戒艦の隊)

の二個艦制になると考えられます。前者は既存のままですが(4個群(8個隊)と明記されている)、後者は2個群(13個隊)とされており、これからです。輸送艦、掃海艦艇、FFM、哨戒艦により編成されることになりますが、2個群がほぼ同じ編成なのか、性格が違う2個群かは不明です。アショアもDDGを本土から離れることを可能にするためでしょう。

 何をする?プレゼンス、でしょう。太平洋、南シナ海、インド洋などで第一艦隊が活動すれば、某国もそれに対応せざるを得ません。それにより日本に近い場所から戦力を引きはがせます。それが狙いだと思います。これについてはもう少し考えをまとめてから書きたいと思います。

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