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FA-18E/Fの価格

 米軍の予算はWebで公開されてます。2018年2月に決められたFY2019予算(要求)が以下のリンクで見えます。
海軍
http://www.secnav.navy.mil/fmc/fmb/Documents/19pres/APN_BA1-4_BOOK.pdf
空軍
https://www.saffm.hq.af.mil/Portals/84/documents/FY19/Proc/Air%20Force%20Aircraft%20Procurement%20Vol%20I%20FY19.pdf?ver=2018-02-13-093541-153
 ここに過去の調達費とあわせて記載されています。FA-18E/F、F-35A/B/Cを抜き出すと以下の通りです。年度別の調達費用を調達機数で割って、1ドル112円(レートは日々かわりますが)で円に計算しています。

FA-18E/F
FY2017 1146.912M$ 14機 81.9M$ 91.8億円
FY2018 1200.146M$ 14機 85.7M$ 96.0億円
FY2019 1990.524M$ 24機 82.9M$ 92.9億円
Fy2020 1929.651M$ 24機 80.4M$ 90.1億円

F-35A
FY2017 5457.654M$ 48機 106.1M$ 118.8億円
FY2018 4949.184M$ 46機 107.6M$ 120.5億円
FY2019 4869.121M$ 48機 101.4M$ 113.6億円
FY2020 4830.728M$ 48機 100.6M$ 112.7億円

F-35B
FY2017 2504.927M$ 18機 139.2M$ 155.9億円
FY2018 2631.787M$ 20機 131.6M$ 147.4億円
FY2019 2635.111M$ 20機 131.8M$ 147.6億円
FY2020 2700.264M$ 20機 135.0M$ 151.2億円

F-35C
FY2017 1360.88 M$  8機 170.1M$ 190.5億円
FY2018  663.232M$  4機 165.8M$ 185.7億円
FY2019 1341.369M$  9機 149.0M$ 166.9億円
FY2020 1938.799M$ 16機 121.2M$ 135.7億円

 見れば分かるとおり、FA-18E/Fの価格は年度によりばらつきがありますが、概ね90億円台前半です。F-35Aは量産が進み価格は下がっており、今後は110億円位になりそうです。F-35Bもばらつきはありますが、150億円前後で推移しています。今後も下がることは期待出来るとは思いますが、F-35Aの3割増し程度になりそうです。F-35Cはやっと量産が始まったというところで、価格は下がってきています。最終的にはF-35Aの価格に近づくと思われます。

 日本のF-35A調達費は以下の通りです。

平成23年 関連費用7億円
平成24年 395億円 4機(1機98.75億円) 関連費用205億円
平成25年   299億円 2機(149.5億円) 国内企業参画初度費 830億円、その他関連経費(教育用器材等) 211億円
平成26年 638億円 4機(159.5億円) 国内企業参画初度費 425億円、その他関連経費(教育用器材等) 383億円 
平成27年 1032億円 6機(1機172億円) 国内企業参画初度費 177億円、その他関連経費(教育用器材等) 181億円
平成28年 1084億円 6機(1機180.7億円) その他関連経費(整備用器材等): 307億円 FACO立ち上げ経費21億円
平成29年 880億円 6機(1機146.7億円) その他関連経費(整備用器材等) 309億円
平成30年 785億円 6機(1機130.8億円) その他関連経費(整備用器材等) 293億円
平成31年(概算要求) 916億円 6機(1機152.7億円) その他関連経費(整備用器材等) 475億円
合計40機 6029億円  関連費用3817億円

 えっと・・・本体購入経費の6割近い関連費用がかかっていますね。(^^;これらのうちFACO関連と思われるのが1453億円(部品の生産関連なども含まれている)。FACOの費用は合計1761億円という数字も見かけました(以下の記事)。
https://archive.fo/20170913104241/https://mainichi.jp/articles/20170914/k00/00m/040/049000c
しかし、これ費用かかりすぎでは??42機は調達決定しているので後2機ですが、追加の話も出ていますので、2020年度(平成は31年で終わり)も2機だけではなく、もっと買うでしょう。恐らく、今後も年6機ずつ調達が続くのではないでしょうかか?
 とりあえず40機の平均調達価格は約150.7億円です。ただし、最初の4機は輸入、残りの36機が日本のFACOでの組み立てなので価格が違いますから、分けると
輸入:4機 395億円:98.75億円
国内組立:36機  5634億円:156.5億円
です。米軍調達価格と比べて輸入品が妙に安いですね?秘密は?為替でしょう。正確にいつの契約かにもよりますが、この頃は1ドル80円位の時期ですから、ドルに換算すると1234M$。1ドル112円だったら?約138.3億円。
 色々な理由によりFMS調達が増えていますが、円安の影響をもろに受けていますね。日本での最終組立は関連費用も高いですし、輸入する部品の価格は当然円安で高くなっているので一概には言えませんが(下がってきた価格が平成31年度予算では上がっているのは円安のせいかも)、円安が更に進めば、国内最終組立の意味も出てくるかもしれません。とはいえ、関連費用が高すぎます。残り2機はとりあえず忘れて、これまでの費用を40機で割ると1機当たり246億円!整備・教育訓練関係の費用は輸入でも同じようにかかるので、単純に日本最終組立をせず、丸々輸入していればどれだけ安くなったかははっきりしませんが・・・。また、整備拠点としてFACOを日本におくことそのものは後々都合は良いとは思います。

 なお、戦闘機の価格は色々な定義があり、日本の調達価格と米軍の調達価格をそのまま比較できない可能性もあります。FMSの場合、本体価格、初期補給部品、サポート費用がセットになっていることが多いように思えます。なので、前述のように本体価格ではなく、調達費用を調達数で割った金額を使いました。

FY2019の詳細を見ていくと本体価格(Flyaway Unit Cost)だともっと安くてFY2019では
 FA-18E/F:68.644M$=76.9億円
 F-35A:92.465M$=103.6億円
 F-35B:118.515M$=132.8億円
 F-35C:120.992M$=135.5億円
です。
 日本の調達価格は平成24年(輸入)の価格から考えるとこっちでしょうか?補給部品やサポートは関連費用として計上しているのかもしれません(残念ながら素人なのでこれ以上わかりません)。本体価格だけみればFA-18E/Fはかなり安く感じます。F-35Aは日本の価格も仮に本体価格だとすると、現状、5割増。うーん・・・・。

 まあ、なんにしても、FA-18E/Fを仮に米軍様納入価格+輸送コスト+手数料程度で売ってもらえたとしても、1ドル112円だと80億円台前半でしょうか?
 一方、仮にF-35Aを同じ条件で売ってもらえたら現状では100億円台半ばなので20億円ほど差があります。無論、日本での組立体制を高い経費払って作っている以上、今後、輸入に切り替えるというのは余り現実的ではないでしょう。そういう意見があるのは承知していますが、数を作れば、日本での組立費用も下がりますし、投資した分の1機当たりのコストも小さくなっていきます。円安もありますしね。平成30年度の一度130億円ほどまでに下がっていますから、Pre-MSIPのF-15Jの置き換えで4個飛行隊分と予備で約90機を追加購入するとしたら、単価(関連費用は含まない)は平均して130億円位になるかもしれません。
 いずれにしても投資してしまった分があるのでそれを捨てても安くなるだけの差額・総額でないと駄目でしょう。低い方で1453億円としておきます。36機の平均調達価格は156.5億円。輸入との差ははっきりしませんが、50億円安いとしておきます。そうすると今後1453円を捨てても輸入した方が安くなるのは1453億円/50億円=約29機。まあ、後30機以上購入するのなら安くなる計算にはなります。仮に1761億円だとすると約35機。
 ただ、日本組立のコストもたくさん購入すれば下がりますからもう少し多くないとメリットは出ないかもしれません。正確な数字は関係者でないとわからないのですが、90機追加調達した場合を考えて見ます。日本最終組立単価がどれだけ下がるかわかりませんし、輸入した場合の価格も本当のところよくわかりません。為替の変動もありえます。とりあえず、輸入が110億円としておきましょう。90機調達した際に日本最終組立と輸入が同じ総額になる価格X億円は
 1453+110*90=X*90
  X=126.1
です。まあ、無理でしょうね。130億円位になるかもしれませんが、126億円だと差額はわずか16億円です。ちょっと考えられないですね。費用が1761億円だとすると
 1761+110*90=X*90
  X=129.6
 うーん、これも難しそうです。平均、ですからね。最終的には130億円位というのはあり得るかもしれませんが、平均が130億円だと最終的な価格はもっと安くならないといけません。

 F-15J Pre-MSIPをF-35で全て置き換えると決まったら、日本最終組立中止、輸入に切り替え、ということはありえそうです。ましてやその一部(一、二個飛行隊分)をF-35Bにするとしたら、当然そうなるでしょう。

 FA-18Eを同じ90機輸入して調達するとしたら、機体は安いですが、整備・教育・訓練などの追加コストもありますし、 性能差、今後どれだけの期間使えるかなどを考えると必ずしも安上がりとはいえません。まあ、EA-18Gの導入を本当にするのかどうかにも寄ると思いますが。EA-18G含めて100機近く調達するのならライセンス生産という話にもなるでしょう(国内航空産業維持のためにも)。そうすると当然価格は100億円を軽く越えそうですし、総コストも増えます。ライフサイクルコストを比較するとF-35Aと大差ないかもしれません。

 とりあえずFA-18Eの輸入とF-35Aの日本最終組立価格を機体だけで比較すれば大雑把に言えば1.5倍位F-35Aが高くはなるでしょう。90機のF-35A調達を半分の45機にすれば、FA-18Eを68機ほど購入出来るということです。つまりF-35A 2個飛行隊の代わりにFA-18Eを3個飛行隊装備出来ます。

 偵察飛行隊を改編して戦闘飛行隊を13個に増強する予定なのですが、EA-18Gを本当に導入するのか(出来るのか=輸出を認めてもらえるのか)?導入するとしてそれは追加なのか既存の飛行隊と置き換えるのか(個人的には偵察飛行隊と置き換えて12機程度導入が妥当な気がしますが)。とりあえず、EA-18Gの話ははっきりしないので、戦闘機13個飛行隊としておきます。
 F-35Aを合計6個飛行隊分(追加4個)導入するとしたら、J-MSIPのF-15Jをほぼ全て再度改装して4個飛行隊を編成。

 F-35A:6個
 F-15J:4個
 F-2A:3個

 将来的にはF-15JとF-2Aの7個飛行隊を将来戦闘機(機種未定)と置き換え。

 F-35Aを4個に留めれば、FA-18Aが3個飛行隊装備できるので、F-15Jの改装は3個飛行隊分にとどめて

 F-35A:4個
 F-15J:3個
 FA-18E:3個
 F-2A:3個

 です。将来的にはF-15JとF-2Aの6個飛行隊を将来戦闘機(機種未定)と置き換え。

 個人的な最悪の結果は将来戦闘機がかなり先になってしまい(2030年代半ば以降)、先にF-2の退役が始まるとなれば、つなぎでFA-18の大量導入もあるやもしれません。その場合、

 F-35A:6個
 FA-18E:7個

ということになるでしょう。更にF-2Bの代わりにFA-18F。更にEA-18Gも導入となれば、FA-18系で9個飛行隊ですから、予備を含めると200機近い数になります。認められるのなら国内航空機産業基盤維持のためにライセンス生産になりそうです(EA-18Gは輸入かもしれませんが)。もっともその場合にはコストが増えて、相対的に安価というFA-18のメリットが減りますが。ただ、そうでもしないとすれば、形態はどのようなものであれ、日本国内での戦闘機製造は終了してしまうでしょう。

 ただ、ライセンス生産となるとF-35Aとの価格差はかなり縮まると思われます。また、仮にF-35Aを輸入に切り替えたら、ライセンス生産するFA-18と大差ない価格になるように思われます(為替にもよります)。日本では高いというイメージがあるF-35Aですが、当初からアフォーダブルな戦闘機を目指していて、ようやく実際にそうなりつつあります。米軍調達価格ではもはや高くはありません。運用コストも単発機なので、双発のF-15やFA-18と比べて高くはないようです。前述の110億円は今後想定される調達価格(輸入)としてはあり得るように思います。難しいところです。

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