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本当に離脱できるのか?

 この話ばかりですみません。元々英国びいきなため、今回の事件に大きな衝撃を受けて、もしかすると日本で一番落ち込んでいる人間の一人かもしれません。株価下落で損失を被って落ち込んでいる人がたくさんいるでしょうが、私は「イングランド」が離脱を選択したことそのものに落ち込んでいます。今後、どうなるかは別にして、イングランドがこんなあほな選択をしたということがショックなのです。

 ああ、少し用語を整理しておきます。従来、UKのことを私は「英」「英国」と表現していました。「イギリス」はほとんど使いません。UKは、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなる連合王国であり、「イギリス」は本来「イングランド」を意味する言葉です。まあ、英国=イギリスなのですけれど、日英同盟とか「英」という漢字一文字で表すのが便利なので、元々はイギリスだけれど、UKの意味で「英」を使っています。

 ただ、今後はもしかすると厳密化する必要があるかもしれません。スコットランドが独立する可能性はありますし、北アイルランドも同様です。ウェールズはもはやイングランドと一体化しているように思えますが。なので、「英」「英国」は現段階でのUKを示しますが、もし、UKがEUから離脱したら、過去のUKの意味では使えても、今後のUKでの意味では使えなくなるかもしれません。

 その後の報道(主にBBC)を見ていると、離脱派といってもいくつかに分かれるようです。
1.主に高齢者  =>昔は良かった
2.主に労働階級 =>移民に仕事を奪われている、離脱すれば仕事が得られる
3.その他現状に不満がある人=>「離脱」すれば何かよくなると漠然と期待
4.本音は残留 =>現状に不満があり、「離脱」票が多ければ何か良くなるのではないかと期待
 最後のは、本音は残留でも、現状に不満があり、どうやら残留になりそうだと思ったので、不満をぶつけるために、「自分くらいは平気だろう」と離脱に投票した人、ですが、これがは少なくないようです。その人達が今、後悔しているように思えます。
 また1と2は確信をもって離脱に投じているので、仮に再度投票しても同じでしょうが、3.の人の中にもだまされたと思っている人はいるようです。離脱派の宣伝は嘘でしたと離脱派がげろっていたりもします(EUの分担金が福祉に回せるという話で、その額が嘘だった)。
  ある世論調査では後悔している人は7%位はいたそうです。仮にそれらが全員残留に投票していれば残留が多数(過半数)になっていた可能性もあります。
 一方で主に2.の人は、現在の英国の繁栄から取り残されていると感じている人ですから、その人達へ手当が不十分だったから離脱へ駆り立ててしまったというのはあるでしょう。それは現政権(や歴代の)ミスでしょうね。

 さて、本題です。ともかく国民投票の結果は「離脱」ですが、ただ、本当にUKは離脱出来るのでしょうか?そもそもキャメロン首相はどうみても「残留」という結果を前提にガス抜きとして国民投票を実施したように思えます。本来なら事前に「離脱」になったらこういう手順で離脱するというのを定めた上でやるべきでしょう。しかし、今回の国民投票は法的拘束力のない「ご意見伺い」に過ぎません。とはいえ、結果は無視できないでしょう。なので、今後、議会で離脱の通告や手順を定める(議決する)必要があるはずです。キャメロン首相は自分はやらず次の首相に任せるといっています。

 対EUでは、通告してから2年以内に交渉を終えるということになっている訳ですが、UKから正式な通告がないと手続きは始まりません。UK側は非公式に事前交渉をしてなるべく有利な条件で離脱したいようですが、EU側は一切認めないと公言しています。
 もし、UKが通告しなければいつまでたっても離脱の手続きは開始されません。意図的に引き延ばさないでも、「通告する」というのを議会で議決出来なければ、進めません。細かくはわかりませんが、なんにしても議会での議決は必要でしょう。ですが、現在の議会での「離脱派」は相対的に少数ですから、普通にやれば否決されます。もちろん、国民投票の結果を尊重し、残留派も賛成するということはありえなくはないでしょうし、今回の流れから言えばそうなるべきなのでしょうが、残留派が抵抗すれば議決は出来ません。
 そうなったら、これは解散総選挙を行うべきでしょう。議会が国民投票の結果通りに議決出来ないのなら、再度民意を問うしかありません。もっとも、保守党と労働党の主流派は残留ですから、どうやったら離脱派が政権を取れるかはわかりませんが。まあ、少なくとも保守党の離脱派は別の政党をおこすべきでしょうね。
 総選挙の結果、再び残留派が政権をとったらどうなるのでしょう?やはり、「離脱は無し」でしょうね。再度国民投票をするよりは総選挙の方が良いと思います。

 仮に再度国民投票をするとしたら、単純に離脱、残留を訪うのでは、おみくじの引き直し、サイコロの振り直しですから、「いつ離脱を通告するか」を問うべきでしょう。即座、半年以内、一年以内、三年以内、五年以内、五年後に国民投票で決定、の中から選んでもらってもっとも数が多く、かつ全体の1/3(過半数は厳しいでしょうから)を超えた意見にそって、通告するというのはどうでしょう?いずれも1/3を獲得出来なかった場合には、自動的に五年後に国民投票で決定としましょう。五年後に再度国民投票をする場合には、取りやめを選択肢に加えても良いと思います。

 いずれにしても、今後、どうやって離脱するのか道過ぎがまだ見えていません。ずるずると時間が過ぎて、現状維持される可能性も高そうです。でも、これは良いことではありません。実質的な残留と言えなくもありませんが、「離脱」の意思表明は取り消されないので、いつかは離脱するはず、です。そうすると不安定な時期が長く続くということです。
 「離脱」が取り消されない限り、「離脱」に備えた動きは続きます。それはUKにとって不利なことです。また、スコットランドは独立へ動くでしょう。それはUKにとってもイングランドにとっても不利なことです。イングランドにとっての最悪のシナリオははっきしりしないうちにスコットランドの残留が決まることでしょうね(独立するしないは別にして)。

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