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資本主義の極意

 佐藤優著、NHK出版新書、「資本主義の極意 明治維新から世界恐慌へ」の感想です。

 うーん、この作品は余り共感出来ませんでした。著者はキリスト教の影響に反資本主義的な思想が強く出過ぎていたように思います。参考にはなりますが・・・。
 また明らかに認識がおかしいと思える部分もあります。いくら安倍政権でも武器輸出を成長戦略の柱にはしていないでしょう。そもそも日本の軍需産業の規模は小さく、日本経済を引っ張っていけるほどのものではありません。また、売れるものもほとんどありません。そして、豪への潜水艦輸出はまだしもF-35の部品輸出は形式的なものに過ぎません。それらの部品は「日本製」ではありませんから。F-15だったら「日本製」もありえましたが、F-35は実質組み立ての一部だけです。空自が運用するF-35の保守のために部品を一時的に輸出する必要があり、それを武器輸出三原則から外したにすぎません。日本が最初からF-35の共同開発に加わっていれば、日本製の部品も相応の量あったでしょうし、本当の意味での輸出もあったでしょうが。
 ホワイトエグザンプションで1000万で24時間働かせられるというような主張もいかがなものでしょう?最終的な狙いは事実上の自給引下げかもしれませんが、それは単純労働者に適用された場合でしょう。それと給与収入で1000万超える人で「残業代」もらっている人ってどれだけいるのでしょう?一部を除けば、ほとんどいないのではないでしょうか?1000万に線を引いたら現状と大差ないと思います。また、仮に本当に使い倒そうとしたら逃げられるでしょうね。勤め人で1000万もらっている人はそれが得られるだけの能力を有しているはずですから、転職は比較的容易なはずです(年齢の問題があるかもしれないが)。そもそも、会社はなるべく人件費を押さえたいのですから、高い給料を払っても雇いたいと思わなければ1000万くれないでしょう。
 無駄な残業、同じ仕事をしても能力が低いのに残業が必要で結果的に収入が増えるという問題は現実に存在します。残業代が支払われない勤務形態は必ずしも「悪」ではないでしょう。残業代が無いとなれば働く側もなるべく短時間で終わらせて無駄な残業をしないようになります。これは実際、私がそうなので少なくとも実例はあります。

 なるほどと思う部分もあります。格差是正で富の再配分を求めるとファシズムを招くというのは、言われてみればその通りです。企業(資本家)はそんなこと絶対やりたがりませんから、誰かが強制的にやらせるしかなく、それは現実には国家権力しかないでしょう。それは一見、国民にやさしい良い政策に見えますが、ナチスも「国民のため」の政策を多く実施したことを忘れてはなりません。ああ、これは「国民のため」の政策をするのがいけないという意味では決してありません。一見良さそうの思えても仮面をめくるとファシズムが顔を出す可能性があるという意味です。

 資本家とどう戦えば良いか?それはもう労働が商品である以上、高い価値(商品性)を持つしかないでしょうね。誰でも出来ることしか出来ないのなら、安く買いたたかれます。それを非難しても仕方ありません。であれば、資本家(企業)が高い賃金支払っても雇いたいと思えるだけの能力を持つしか、労働者には対抗手段はないでしょう。
 そのためには教育はもちろん重要です。ただ、右肩上がりだった教育が下がりだしているという著者の主張は事実としてはその通りだと思いますが、原因は政策や資本家の意図だけではなく、飽和状態になりつつあるというのもあると思います。大学進学率は50%を超えています。そりゃ、100%が理想かもしれませんが、現実には個々人の能力には大きな差があります。50%でも「大卒」というだけである一定の品質(商品としてのね)を持つという保障には既になりません。これよりも更に大学進学率を上げるとしたら、それは「大卒」の品質を下げることになるでしょう。大学の数を減らして質を向上させることが今後は求められるのではないかと思います。子供の数は減るのですから。そうすれば大卒であればある程度のレベル以上の仕事(賃金)が得られる確率が高くなります。
 そうすると結局、大学いかないと駄目で、受験競争が激化するのではないかと言われるでしょうが、それはそうです。ただ、みんな貧しくと、頑張った人は貧しくならないはどちらがましでしょう?また、違う道もあります。職人系の能力を発揮する人もいるでしょう。その場合、必ずしも大卒は必要ではありません。

 理想は皆が同じ能力を持ち、同じように働いて、同じ賃金をもらえることでしょう。しかし、現実にはそうはなりません。「格差」を無くすことは不可能です。もし、無くすことが出来たら、その時は「個性」も失われることでしょう。「結果均等」を目指すと皆が貧しく不幸になりかねません。我々が求め続けなければならないのは「機会均等」です。
 奨学金問題が言われていますが、給付型ならそれで良いのかというと疑問もあります。結果を出せば、返済免除が正しいのではないかと思います。医師などであれば、地方の医師が不足しているところで10年働けば返済免除という風にする手もあるでしょう。能力がある(素質がある)のに経済的理由で教育を受けられない人には機会を与えなければなりません。そうしないとその国は劣化するでしょう。

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