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アメリカ人の発想?

 米ランド研の尖閣諸島をめぐる戦いのシミュレーションが話題になっていますね。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45849

 しかし、その内容はシミュレーションとしては余りにお粗末です。日本と中国を良く知らないアメリカ人がやったもの、という印象を受けます。ただ、意味が無いとは思いません。アメリカ人といっても、幅は広いですから、全てのアメリカ人が同じ考えということはありえませんが、こう風に考える人がいるとは言えます。

 シミュレーションそのものはもう突っ込みどころ満載です。

米ランド研のシミュレーション結果

1日目
 日本の右翼活動家が魚釣島に上陸し、国旗を掲揚して中国を挑発し、海警が全員を逮捕拘束、という想定で始まります。

 もうここで突っ込みどころ満載です(苦笑)。海保がこれを見たら「なめとんのかわりゃあ!」と思うでしょうね(苦笑)。民主党政権時代に石原都知事(当時)のせいで国有化してしまいましたから、右翼活動家が勝手に上陸することは出来ません。周囲に巡視船が常にいます。とてもそれをかいくぐって上陸出来るとは思えませんし、上陸したら日本側が逮捕するでしょう。海警にそれを許すほど、海保は無力ではありませんよ。民有地だったら所有者の許可を得られたら上陸阻止出来ませんが。

 

2日目
 日本が周辺に護衛艦や戦闘機を展開し、それに中国も対抗して海軍出動。日本は米に防衛義務を果たすように要求し、米も受諾して駆逐艦と潜水艦を派遣。ただし、空母は西太平洋に退避。

 いやいや、ここもまた突っ込みどころ満載。海警しか出てきていないのに自衛隊は出ません。いや、こっそり近くにいることはあるでしょうが、表だって尖閣諸島には近づかないでしょうし、そもそも海保がそれを許さないでしょう(笑)。防衛出動のハードルがどれだけ高いのかをアメリカ人はご存じないでしょう(苦笑)。まあ、アメリカ人からすると海軍が出るのが当然なんでしょうけれどね。日本は違うんですよ。また、直接衝突する前に日米安保発動はないでしょうよ。ああ、まあ、威圧してちょっという要請はありえるかな?だとしたら空母は逃げるのではなく、尖閣近くへ送り込まれることでしょう。

3日目
 日本の漁船が海警船と衝突して沈没。巡視船は放水で対抗。中国海軍フリゲートが30mm機銃を空自機に発砲し、自衛隊が応戦、中国側も戦闘機と対艦ミサイルで反撃し、2隻の日本艦船沈没。米はどうするか悩んで結局、潜水艦による攻撃を選択し、中国駆逐艦2隻を撃沈。

 こう、毎回突っ込みどころ満載というのも凄い。中国の漁船が巡視船と衝突して沈没ならあり得なくもないでしょうが、そんなもめているところに日本の漁船が入り込むことはないと言っても良いでしょう。米空母だって逃げているのに(苦笑)。で、前述の通り、この段階で自衛隊はまだ前面に出ることは考えにくいです。逆にもし、自衛隊が防衛出動しているのなら、巡視船は下がっているはずです。想定めちゃめちゃ。護衛艦が2隻(もしかしたら「艦船」なので巡視船も含まれるかもしれないけれど)沈められたとしたら、中国側の損害も大きいはずですよ。米潜水艦の手を借りなくても、駆逐艦2隻を沈める程度は出来ます。

4日目
 中国側が全面武力衝突は避けた上で米に打撃を与えようとサイバー攻撃を行い、米国債を売却をほのめかし、ドル安へと追い込む。

 まあ、これはあり得るでしょう。どれだけのドル安になるかはわかりませんが。ただし、当然ながら中国に対する同様の攻撃も招きますが。

5日目
 要約だと意味不明になるかもしれないので全文引用します。「?中国軍は尖閣諸島周辺の海自艦艇に対して、弾道・巡航ミサイル中心の攻撃を継続する。そして、24時間で海上自衛隊は戦力の20%を喪失。同時に中国は日本経済への攻撃を開始する。日本の脆弱な送電システムを作動不能に追い込み、重要なジェット燃料の精製所を爆破する。

?ここにきて、日本は再び米国に支援を嘆願する。具体的には、西太平洋に展開する空母打撃群の参戦、中国軍艦艇へのさらなる攻撃、中国本土の対艦ミサイル基地の破壊などである。

?しかし米側は全てを拒否する。その代わりに、米軍の潜水艦と航空機を増派し、海自の撤退を支援。米中総力戦を回避しつつ、日本の海自と経済の壊滅を回避できるという考えに基づく行動だった。この海自部隊の撤退を以てゲームは終了。中国は尖閣諸島を確保する。」

 意味不明です。4日目に全面武力衝突を避けるために武力ではない攻撃を米にしたのに、何故ここで、中国側が更なる攻撃に出るのでしょう?サイバー攻撃はともかく、ジェット燃料精製所の爆破?どうやってやるかは別にしても日本本土にまで手を出したらエスカレーションするのは明白です。
 どう見ても間が抜けています。米側からの報復があり、それに対して中国側の攻撃が行われる、でしょう。そうでないと4日目にやった理由が無くなります。
 日本がここで支援を嘆願というのもわかりません。米が空母は温存するにしても日米安保に基づいて駆逐艦を派遣しているのなら、それは海自護衛艦と一体となって行動しているでしょう。空と陸はともかく、海はそういうことをずっと昔からやっています。
 海自の撤退を支援?撤退位自分でやってのけますよ。弾道ミサイルの攻撃って、例の空母キラー?いやあ、それを護衛艦程度に使いますかね?あれが実用化されているかどうか(実用化出来るかどうか)もわかりませんが、仮に実用化出来たとしても、相当数集中しないといけないし、海自相手に使ったら、空母が出てきた時に困るでしょう。中国が実用化したことが分かれば、当然、SM3の搭載量を増やすでしょうから、少数だと迎撃される可能性が高くなりますから。巡航ミサイルはまだわかりますが・・・あれ?これって、水上戦闘では勝てないから、中国海軍は一度引いて、地上からのミサイル攻撃だけを行うってことなんでしょうか??どういうミサイルをどこから撃つかはとりあえずおいといて飽和攻撃を受ければ、まあ、20%位の損失は確かに出るでしょうが、敵の水上艦がいないのなら、こっちも引けば良いだけだと思います。潜水艦を残しておけば、中国海軍水上艦部隊が出て来ればそれをたたけますから。

もし、日本の要請を受けて、米が空母を出し、地上のミサイル基地を攻撃したら?
 弾道弾により嘉手納基地が壊滅し、空母も対艦弾道弾により撃沈されるとしています。えーっと、海自相手に対艦弾道弾消費しているのに空母を沈められるだけ残っているのでしょうか?あくまであれが実用化出来たとしても、ですが。その前にそもそも機能するとは言えない代物です。弾道弾攻撃で嘉手納基地壊滅はありえるでしょうね。
 で、その先が問題です。それに対して、「中国海軍の重要な基地を攻撃するか、中国軍唯一の空母を撃沈するか、中国経済を窒息させるために南シナ海の封鎖を継続するか、のいずれかができる」(個人的にはこの段階で、遼寧が生き残っているとは思えませんが。まあ、練習空母だし、そもそも出動していないか。)としながら結局、何もしないとしています。えっと、その理由は?読み返しても書かれていませんね。嘉手納基地壊滅したら米国人の死傷者も相当でるでしょう。それで手を引くのですか?共和党であれ民主党であれ、それじゃ、持ちませんよ。ここの想定もかなり意味不明です。いや、手出ししないというのなら、そもそも最初から出て行かないでしょう?2日目で駆逐艦派遣しておいて、最後これは考えにくいのですが。

 それなりに納得できるのは4日目だけです。米が手を出さない可能性は十分あると思いますが、それは手を出してからひっこめるのではなく、最初から手を出さないことでしょう。

代案
 このシナリオになるべく近づけて、私の想定を述べます。
1日目
 中国活動家が複数の漁船により魚釣島へ接近。海保巡視船はそれを阻止しようとするが体当たりするものもあり、そのうちの1隻が転覆。救助中に1隻が抜け出し、上陸に成功。中国国旗を打ち立てるが、このことを予想して巡視船に同乗していた沖縄県警が逮捕し、那覇へ連行。中国政府は逮捕された活動家の即時釈放と中国領土における日本官警の不法行為に強く抗議するが、日本政府はこれを拒否。

2日目
 海警船が大挙して尖閣諸島へ押しかけ、迎え撃つ海保巡視船との間で緊張がはしる。体当たりを試みる海警船に対して、巡視船は放水で対抗。抑えられなくなった1隻の海警船が発砲し、巡視船に命中する。巡視船も自衛のために発砲し、双方に損害が出る。火力で優る巡視船に海警は対抗出来ず、後退を余儀なくされる。

3日目
 中国海軍艦隊が海警の代わりに出撃し、巡視船を攻撃。巡視船は後退するが多大な被害を受ける。日本政府は防衛出動を命じ、海自は護衛艦を尖閣諸島水域へ送り込む。日中艦隊のにらみ合いが続く中、両国政府は交渉を続けるが、決裂。中国は尖閣諸島への上陸を強行する。海自は自らが攻撃された訳では無いので攻撃を躊躇し、上陸を許す。

4日目
 日本の世論は沸騰し、首相は日本に対する侵略であると宣言し、尖閣諸島へ上陸した中国軍の排除を命令。尖閣諸島における日中の武力衝突が勃発。対艦ミサイルにより、護衛艦1隻が撃沈されるものの、潜水艦の攻撃もあり、中国艦隊は壊滅的な打撃を受けて撤退する。
 日中の戦闘機による激しい空中戦が行われ、中国空軍は多大な損害を出しながらも数で押し切り、一時的に制空権を確保し、空対艦ミサイル攻撃により、更に護衛艦1隻が沈没し、海自は一度尖閣諸島水域から後退する。

5日目
 日本は日米安保条約にもとづいて米に参戦を要求。しかし、中国との経済関係を重視する米大統領は米軍の派遣ではなく、日中の仲介を提案。日本は航空戦力の消耗が激しく、独力での奪回は困難、中国も米との対決は避けたいため、結局、中国人活動家の釈放と中国軍の尖閣諸島からの撤退を条件に自体は終息する。
 しかし、日中の保守層は互いに相手を強く非難し、日中は対立の時代に突入する。日米安保が機能しなかったことから、日本では、反米の機運も高まり、憲法を改正し、軍備強化の道を選び、東アジアの対立が高まる・・・。

 民間活動家の行動がきっかけで(中国軍が最初から尖閣諸島攻略を試みるのではなく)、偶発的に衝突して、かつ最後は米は日本を突き放して5日で終息という前提で考えたらこのようになりました。沖縄県警が何故巡視船に乗っていたか?そりゃ、活動家がこれから尖閣行くぞとYoutubeやらSNSで宣伝でしたからです。当然やるでしょう?
 突発的に起きた事態なので例の巨大な海警3901は間に合わないとしていますし、日本側もしきしまは不在としています。それでも、精度含めて火力は海保が上ですから、コーストガード同士の海戦なんて奇妙なものが起きたら、日本は勝てるでしょう。
 海自が出せる(3日目に)戦力は水上艦は精々一個護衛隊群程度でしょう。DDHを含めるかは微妙です。目標になるだけですし、あるかもしれない上陸作戦に備えて温存かなあと思います。その代り、DDGはイージスを2隻そろえましょう。なので、DDGx2+DDx5+α(先に近隣に先行している数隻)というところでしょう。
 中国海軍は?すみません、わかりません。どれだけ即応性があるのかまったく情報を持ち合わせていません。まあ、世代は別にして10隻やそこらは集めて投入出来るとは思います。この水上戦に限定すれば中国海軍に勝ち目は薄いでしょう。
 本来なら航空戦から始まるはずですが、今回は先に水上艦同士のにらみ合いからついに衝突に至るので、航空戦は後から開始されます。むろん、相応、周辺空域に航空戦力を派遣してはいますが。空自はとりあえず那覇のF-15 2個飛行隊が主力で、築城と新田原からも参加でしょうか。正味戦闘は4日目だけなので、そんなものでしょう。この後も継続するならF-15飛行隊が那覇や新田原に更に展開して参加するでしょうが。
 海自潜水艦はどれだけ常時尖閣近辺にいるかはわかりませんが、想像するに数隻はいるでしょう。4日目まで後何隻到達できるかも素人にはわかりません。が、いずれにしても、これらはほぼ無敵です。現在の中国海軍水上艦艇や航空機では捕捉することは困難です。潜水艦なら対抗可能だとは思いますが、それでもまだ海自有利でしょう。潜水艦だけだと目に見えないという問題があるので、水上艦を派遣せざるを得ないと思いますが、私が指揮官なら当座、潜水艦だけで戦いたいです。

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