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海警vs海保

 中国海警の機関砲搭船が尖閣諸島に出没したとニュースなどで取り上げられて、その際に、機関砲搭載というのが強調されており、なんでわざわざそこを強調するんだ?と思ったのですが、どうやら、海警船は従来は非武装または軽武装だったんですね。
 世界の艦船で「中国海警201x」とかいう特集はなかったので、仕方ないのでWikiを参照していますが、それを見ると、新型を除けば、14.5mm機銃程度が多く、非武装のものも珍しくありません。なので、37mm機銃(海軍表現)搭載船が出没したので従来のものよりも重武装なのでわざわざ機関砲(陸軍表現)搭載と表記しているのですね。知りませんでした。
 何せ、海保巡視船は20mmから40mm機銃搭載が普通で、しかも近年建造されたものは北朝鮮の不審船のおかげでFCS付きです。もちろん、軍艦と撃ち合えば海保では勝てないでしょうが、従来の海警船では海保には対抗出来ないでしょう。だから、海警側が武装強化して海保に対抗してくるのは当然の話です。
 海警は従来いくつかあった類似機関を統合したものなので、海保ほどは統一性がないようです。元海軍艦艇と言っても話題の元フリゲートから海洋調査船だ輸送船だ揚陸艦まで様々です。それらはのほとんどは前述の通り非武装または14.5mmの軽武装です。例外が元フリゲート。
 新造船は武装強化されています。特に最近完成が伝えられた海警3901は12000tと言われる巨大なもので、76mm砲1門、37mm連装機銃2基、14.5mm連装機銃2機とこれまでの海警船と比べると重武装です。明らかにしきしま対抗でしょう。なにせ、しきしまは、35mm連装機銃(あきしまは40mm単装機銃)2基+20mmガトリング機銃2基ですからね。更に防御もそこらのフリゲートよりも強化されている可能性があります(正確には公表されていないので不明ですが)。米コーストガードのカッターには更に重武装のもありますが(一時期はほとんどフリゲート状態だったし)、それを除けばコーストガード系の船としては最大最強でしたから。そのしきしまをこれは超えますね。
 とはいえ、正直、しきしま対抗以上の意味があるとは思えません。余りに大きすぎますし、当然コストもかかっているはずです。こんなもの建造する位なら、3000t程度のを複数建造した方が有益だと思えます。まあ、精々数隻建造されるだけでしょうね。日本もあきしまなんて建造する必要なかったのに。
 主力になるであろう新造の3000t級と1500t級海警船は30mm機銃1基搭載。海保の巡視船と大差ありません。FCSも装備しているようです。
 武装を有する数を比較すれば、今でも、海保の方が多いようです。1000t以上で20mm以上を搭載するものをWikiの記述から抜き出すと(なお、排水量は総トン)以下の通りです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E6%B5%B7%E8%AD%A6%E5%B1%80

タイプ:数(+1は建造中1隻を示す):武装:総トン数:速度
12000t級:1+1:76mmIx1、37mmIIx2:11859t:25kt
元フリゲート2000t級(H053H2G型):3:37mmIIx4:2180t:27kt
新型3000t級:7+5:30mmI(RFS)x1:?:?
新型1500t級:9+5:30mmI(RFS)x1:1784t:25kt
元フリゲート1500t級(H053H型):2:37mmIx1:1729t:25kt
718型:1:37mmIx1:1618t:22kt
合計:23+11
 この他、新造の5000t級(3+1)にも武装がありそうですが、不明と書かれています。フリゲート改造は今回話題になったもの以外にもあるんですよね。建造中のものを除けば23隻です。元フリゲートはFCSが不明(元々対空用なので対艦用の精度は不明)です。

 1000t未満の小型だと
618A型:4::37mmIIx2:380t:33.5kt
618B型:24+1:37mmIIx2:651t:25.6kt
220B型:2::37mmIIx2:380t:33.5kt
616型:8:23mmIx1:230t:26.5t
626型:8:23mmIx1:190t:30.8t
 の46隻ですが、このサイズだとまず尖閣までくることはないでしょうね。

 一方、海保はどうでしょう?海保のサイトが不十分でまた武装を記述してくれないので、Wikiからこれも引っ張ってきます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E4%B8%8A%E4%BF%9D%E5%AE%89%E5%BA%81%E3%81%AE%E8%A3%85%E5%82%99%E5%93%81%E4%B8%80%E8%A6%A7
 そうや型:1:40mmIx1:3139t:21kt
 つがる型:9:40mmIx1+20mmIx1または40mmIx1または35mmIx1または35mmIx1+20mmGx1または35mmIx1+20mmG(RFS)x1:3221t:23kt
 みずほ型:2:35mmIx1+20mmGx1:5259t:23kt
 しきしま:1:35mmIIx2、20mG(RFS)x1:7175t:25kt
 あきしま:1:40mmx2、20mG’RFS)x1:7175t:25kt
 しれとこ型:10:35mmIx1または20mmGx1:980t:20kt
 おき型:1:20mmGx1:993t:20kt
 えりも型:7:35mmIx1または20mmGx1:1268t:20kt
 いず型:1::20mmGx1:3768t:21kt
 あそ型:3:40mmI(FCS)x1:770t:30kt+
 ひだ型:3:40mmI(FCS)x1+20mmG(RFS)x1:1800t:30kt+
 はてるま型:9:30mmI(FCS)x1:1300t:30kt
 くにがみ型:9+9:20mmG(RFS)x1、13番船(建造中)以降30mmI(FCS)x1:1700t:23kt+
 いわみ型:6:30mmI(FCS)x1:1250t:21kt+

*RFSは暗視装置付き光学FCS、なお、海保はFCSより簡易型と言っているらしい。

 以上63隻です。その半分はちゃんとしたFCSが備わっています。そして小型とはいえ、あそ型、ひだ型、はてるま型は30ktの高速です。海警船では追いつきません。小型の618A/220B/626型で追従出来るかもしれませんが、大きくて380tなので波があればおいて行かれるでしょうね。話題の元フリゲートとこれらの高速巡視船が対峙した時、どちらが有利でしょう?元軍艦だということで過大に評価されていますが、所詮旧型フリゲートです。運動性でかなわず、FCSの精度で負けて、振り回されるだけではないでしょうか?しかも数でも劣勢。
 日本からすると海警が重武装化している脅威だ、となる訳ですが、あっちから見れば、従来、大幅に劣勢(武装については)ですから、フリゲート改造巡視船や新型を投入してやっと海保に対抗できるようになりつつある(まだなっていない)というところでしょう。威嚇ならともかく、真面目に当てようとしたらFCS必須でしょう。RFSの性能は不審船自爆事件の時に証明されています。
 中国の脅威をとなえるのが悪いとは言いませんが、元軍艦が出てきたからこちらも海自の護衛艦を巡視船にして対抗だ!とか言う前に、冷静に今の巡視船の能力と比較すべきでしょう。というか、護衛艦だとむしろ中途半端で使いにくいでしょう。76mm砲は巡視船用には大きすぎます(船体に当てたら威力ありすぎる)。そしてCIWSを除けば機銃装備していません(50口径用のマウントはあったりしますが、手動)。CIWSの対艦モードもあるにはありますが・・・。どうみても、海戦するのではないのですから、護衛艦よりも巡視船の方が適切です(能力が)。
 まあ、考えてみたら北朝鮮が全部悪いんですよね(苦笑)。北朝鮮の不審船が暴れたせいで海保が重武装化して、そこに尖閣がホットになってきたので更に尖閣シフトで更に強化(笑)。ま、尖閣については中国の自業自得ですけれど。

 

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