« 大涌谷 | トップページ | S660と同じか!? »

中国潜水艦を捕まえられるか!?

 軍事研究6月号の文谷数重氏の記事に対する感想です。著者はほぼ毎号何かしらの記事を載せていますが、色々な意味で「おもしろい」です。「かわっている」「視点がユニーク」と言い換えても良いでしょう。なるほど、そういう考えもあるのかと思う時もあれば、正直意味不明と思うこともありますが、とにかく「おもしろい」です。

 さて、今月号は潜水艦の話です。中国海軍の潜水艦(明記されていませんが、基本的には通常型を想定していると思われます)の静粛性が向上したら既存の広域パッシブソナーは無効になるという趣旨の記事です。それは確かにその通りでしょう。潜水艦が発生する音が環境雑音以下になってしまえば、パッシブソナーによる探知は極めて困難でしょう。著者は低周波アクティブソナーがもっとも有効であり、海自が進めているバイ・マルチスタティックソナーは将来性はないと言っています。
 まあ、それはそうなんでしょうけれど、本当に潜水艦がそこまで静かになるでしょうか?静粛性は向上していくでしょうが、水をかき分けて水中を物体が走るのですから、ゼロになりません。探知可能距離は短くなるとは思いますが、パッシブソナーでは完全に探知できないほど静かに出来るでしょうか?バイ・マルチスタティックソナーが無効になる「将来」とは何年後でしょう?5年先、10年先なら今から備えなければなりませんが、20年、30年先に今から備えても余り意味がない(今想定出来る対抗策とは違う対抗策が開発される可能性がある)ようにも思います。というか、そのために現在から近い将来に有効な手法を放棄する必要はないでしょう。
 ハンター・キラーが防御的手段という言い方にも違和感がありますが(まあ、「戦力」ではない自衛隊が出来る以上、「攻撃的」手法ではないはず、という法律解釈的にそういえなくもないでしょうけど)、それはそれとして、パッシブソナーで探知できないから駄目というのも?その代替として、待ち伏せやら海峡通過阻止などをあげていますが、そもそもパッシブしなーで探知できないほど静かになったら、潜水艦による対潜水艦戦闘は成立しなくなるでしょう。水上艦や航空機ならアクティブソナーを使えますが、潜水艦がアクティブソナーを使用して索敵する訳にはいきませんから。それこそ闇夜で提灯をかかげるようなものです。パッシブソナーで探知できない的をどうやって待ち伏せするのでしょうね?
 短魚雷が信頼できないというのもそれを言えば、長魚雷(潜水艦の)だって実績はありません。実目標での試験をしたという話を聞いたことないそうですが、著者がどれだけ情報を得られる立場にあるかは別にして、試験方法そのものは短魚雷でも長魚雷でも同じでしょう。短魚雷の試験結果が信頼できないのなら、長魚雷も同じでしょう。パッシブモードがつかなくなるから当たらなくなるというのも言い過ぎでしょう。それにそれはパッシブソナーで敵を探知できなくなる問題と比べればはるかにハードルが低い問題です。別の手段で探知出来れば、記事の中にも書かれているように有線誘導という手が使えますし、それは技術的にそれほど難しくはないでしょう。その時に短魚雷を改良すれば良いだけの話です。
 短魚雷が駄目だから爆雷やヘッジホッグを使う?いや、それが当たる位に探知できるのなら(アクティブソナーでしょう)、短魚雷でも当たるでしょう。
 空のステルスのようにアクティブソナーでも探知できないようない潜水艦が登場したら、末端誘導は難しく、無誘導兵器をばらまくしかないでしょうが、その時にどこにばらまくべきかもわかりませんから、もう、完全にお手上げでしょうね。まあ、MADは使えるかもしれませんが、潜水艦が非磁性体で建造されたら無理でしょうね。後は水中を大きな物体が移動するので水圧の変化や航跡を捕まえるしかないでしょう。まあ、閑雅てみれば、何等かの方法で探知できるのなら、末端誘導も出来ますね。コストと大きさの問題で魚雷などにはつめないとしても、有線誘導すれば良いですから。それが大まかな位置しか探知できないとなったら・・・その時はヘッジホッグやら対潜ロケットの出番かもしれません。

 いつかは中国の潜水艦も現在の手法では探知できなくなる日がくるでしょう。でも、それはいつでしょう?今回の記事は、何を言いたいのかよくわかりません。2月号の「戦場は琉球列島線」もなかなか「おもしろかった」ですが。ヘッジホッグなどもそうですが、随分、古風な兵器がお好きなようです。長射程SAMやSSMを「離島」に配備する(話がやっと動き出していますね)のは、その島そのものを守るというよりは、その海域全体での抑止力とするためでしょう。そんなものを置かれたらそれを排除しない限りその海域に上陸する訳にはいきませんから。著者が言う離島防衛向け装備はその局面では有望かもしれませんが、それを全ての離島に配備することはできません(まあ、著者も離島防衛は急ぐ必要はないと結論づけていますが)。

 ああ、著者がいう普天間問題の解決策は一理あるとは思います。海兵隊に沖縄から出て行ってもらって、嘉手納死守というのは一つのやり方だとは思います。ただ、それはこちら側(日米)から見た場合の話であって、あいて側から見ると、沖縄に海兵隊がいるのといないのはやはり結構違うのではないかなとも思います。

 変なところもありますが、「面白い」し、参考になることもある記事です。少なくともどれとは言いませんが、メーカーの提灯記事よりははるかに有益です。

 なお、6月号で一番笑えた(実は笑えない話だけれど)のは日米共同訓練での米軍のいい加減さの記事。いやあ、仕事しているとあるんですよね、予定していたことが出来なくて、代案をやろうとしてそれも駄目で、あきらめちゃうとかいうのが・・・ヤンキー様には(苦笑)。そういう時はなんで70年前、こいつらに負けたたんだと思います。日本人なら皆しっかりしているという訳ではないですが、平均すると(個人的に経験がある中で)合衆国国民の方がやはりいい加減です。

|

« 大涌谷 | トップページ | S660と同じか!? »

戦史・軍事」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 中国潜水艦を捕まえられるか!?:

« 大涌谷 | トップページ | S660と同じか!? »