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この車で勝てるのか?

 噂されていた1.2Lターボエンジンがマイナーチェンジされたオーリスに搭載されました。しかし、やる気あるのでしょうか?主力エンジンであるべきダウンサイジングターボが最上位グレードの120Tにのみ搭載で259万円もします。トランスミッションは120Tも他と同じくCVTです。価格は概ねゴルフ梅(264万円)と同程度です。カタログスペック的にはやや重たい(1300kg)ことを除けば、ゴルフ梅と似たようなものです。装備はオーリスが上ですが、ゴルフもオプションつければほぼ同等になります
 確かにどちらもCセグのハッチバックですから、同じ位の価格で不思議はありません。しかし、従来から同じCセグなら国産車の方が輸入車よりも安いのが普通でした。絶対的な評価は別にして一般的にはゴルフの方が値段は高いが性能も良いという認識でしょう。ですから、少なくとも国内でゴルフと勝負するのならオーリスはもう少し安くないとつらいでしょう、仮に性能が同じであっても。フォーカスはゴルフよりも高い高いと批判されています。性能と装備を考えれば決してそんなことはないのですが、残念ながら日本ではフォーカスはゴルフと同じ性能でも同じ価格では売れない車です。

 まあ、装備は標準では総合的に見れば、120Tがゴルフ梅を上回りますから、価格を比較するならオプションも考慮すべきでしょう。ゴルフには追従式クルーズコントロールがあり、オーリスにはオートマチックハイビーム付きのLEDヘッドライトやシートヒーターがあります。そういう装備を考えれば、オーリス120T 259万円に対してはゴルフはセーフティーパッケージをつけて比較しないとフェアではないでしょう。また、どちらかと言えば、ゴルフ竹と比較すべきかもしれません。120Rは何故はアルミホイールではありませんが、ゴルフ梅はアルミホイールですけれど。そういう意味では

120T:259万
120T+17インチホイール(12.2万):271.2万
梅+セーフティパッケージ(16.2万:280.2万
竹+バイキセノンパッケージ/セーフティパッケージ(14万):300.5

 と見れば、オーリスの方が安いのは確かです。とはいえそれほど大きな差ではありません。性能が同じかゴルフ以上なら、後はブランド料の違いに過ぎませんから、批判としては余り公平ではないかもしれません。問題はその性能です。
 エンジンは直四で1.2Lのターボというのはゴルフ竹梅と同じで、車重さの違いを考えれば動力性能はほぼ同じでしょう。

オーリス 1300kg 116PS/5200-5600 185Nm/1500-4000 11.2kg/PS
ゴルフ梅 1240kg 105PS/4500-5500 175Nm/1400-4000 11.8kg/PS

http://response.jp/article/2015/04/07/248544.html
 「エンジンの最大熱効率は量産過給ガソリンエンジンとしては世界トップレベルの36.2%を達成した。」のだそうです。

http://response.jp/article/2015/04/08/248578.html
 トランスミッションはCVTですが、「燃費を追及しやすいので採用した」とあります。

 でも、JC08で19.4km/lというカタログ燃費は、21km/lのゴルフに負けています。19.9km/lのゴルフ松にも負けています。カタログ燃費だけは良いCVTということを考えれば実用燃費ではかなり差が開く恐れもあります。後発でCVTでカタログ燃費で負けているのは大問題です。これは少なくともゴルフと同等でないとまずいでしょう。
 それから燃料がハイオク指定です。ゴルフももちろん、ハイオクですが、この程度の性能でハイオクにしないと駄目なんでしょうか?10馬力程度出力低くても良いからレギュラー仕様にすべきだったのではないかとも思います。まあ、ユーザーがレギュラーガソリン入れればいいだけですけどね。カタログなどにもレギュラーガソリン使えるがエンジンの性能が発揮できないとか書かれています。

 他の1.2Lターボと比べてるとどうでしょう?車重は一番軽いものを選んでいます(あえて)。

308 1270kg 130PS/5500 230Nm/1750 9.8kg/PS
メガーヌ 1310kg 132PS/5500 205Nm/2000 9.9kg/PS

 この二つはよりパワー、トルクを絞り出しています。基本的には同じエンジンがルーテシアにも使われていますが、Bセグなので、Cセグのメガーヌの数字にしています。308はエンジン特性曲線を見ると3300回転くらまでほぼ230Nm出ていて、オーリスの最大トルクである186Nmに落ち込むのは4800回転位です。
http://www.peugeot.co.jp/showroom/new308/5-doors-1/p=technicalinformation/
 ただし、308はJC08モード燃費は16.1km/lに過ぎません。出力は1.4のゴルフ松に近いですが、燃費は落ちます。アイドリングストップがついていてこれですから、燃費では120Tやゴルフに負けていると言わざるをえません。ルノーはJC08モード燃費の記載がありません。アイドリングストップもついていませんし、カタログ燃費はこれも120Tやゴルフには負けているでしょう。

 120Tはエンジン単体で見れば、燃費と性能をうまくバランスさせているように見えなくもありません。しかし、ゴルフにカタログ燃費が負けているというのも否定できない事実です。この差は60kgの重量差とトランスミッションの差でしょう。

 教祖様=福野礼一郎氏が良くいうカバレッジレシオの違いが大きいのかもしれません。ローギヤとトップギア(ファイナルが違う場合にはそれも加味)の比率を計算すると

120T    6.26
ゴルフ梅    6.51
308        6.03
メガーヌ    6.6

 意外や意外、6速DTCのメガーヌが一番良いです。308は最下位。燃費の悪さはここに起因しているかもしれません。120Tとゴルフとの差はここにある可能性があります。なお、8速のBMW 116だと7.07です。1.6Lターボですが、16.6km/lと308よりも良い数値なのはトランスミッションの差でしょう。CVTは伝達効率そのものはDCTよりも悪いですから、それもあるでしょう。別の言い方をするとエンジンが頑張った分、CVTが打ち消している可能性もあります。

 乗り心地はマイナーチェンジ前の比較では、180/RSは試乗コースが違うのでフェアな比較ではありませんが、私の好みで言えば、ゴルフ7よりは上です。評論家の先生方の評価はゴルフ7が上のようですけれど。内装の質感はマイナーチェンジ前はゴルフ7に負けていましたが、これはマイナーチェンジ後の実物を見ないと評価出来ません。

 とりあえずゴルフは忘れて、オーリス同士で比較してみると

120T:259万
180S:238万
150X S Package:209万+Toyota Safety Sense C(5.4万)
150X:189万+Toyota Safety Sense C(6.2万)

 なんか全体的に高くなった感じがしますね。150X S Packageも微妙。180SはToyota Safety Sense Cが標準なので正味25万円の違いです。うーん、1.5で200万オーバーはやはり高く感じます。
 不思議なのは180Sは205/55R16でアルミホイール、それより高い120Tは195/65R15でスチールホイール。オプションで設定されているのは215/45R17という点です。いや、このクラスの車のタイヤとしては195/65R15は最適だとは思いますが、一般的には上位グレードはタイヤが薄くホイールが大きくなるのに逆転しているのは面白いです。それに最上位グレードでスチールホイールというのも珍しいです。

 確かに本革/ウルトラスエード/合成皮革を組み合わせたシートヒーター付きのシートとか自動防眩インナーミラー、クルーズコントロールなどはついていますが、120Tは割高感があります。燃費を気にしなければ180Sが相対的に良い気もしますし、150Xで十分じゃないか(動力性能を求めなければ)という気もします。

 120Tはとても売れると思えません。トヨタやる気あるんでしょうか?とりあえずうちもダウンサイジングターボ出してみましたというだけに思えます。想像すると開発しては見たもののコストが従来のNAエンジンよりも大幅に高くなってしまったので、最上位グレードにせざるを得なかった、ということでしょうか?

 または、1.2Lターボはそもそも欧州向けで、一応、反応を見るために(トヨタユーザーにダウンサイジングターボが受け入れられるかどうか)出すだけ出してみた、ということでしょうか?それならハイオク仕様なのもわかります。欧州のガソリンを考えて設計されているのでしょうから。なお、試しにUKのサイトを見てみましたが、UKではまだ新型は発売されていませんでした。

 いずれにしても、まだ、「本気」とは思えません。本気でやるのなら、エンジンは全て1.2Lターボで出力の大小でグレードを分けるべきでしょう。廉価版に1.5L NAが必要だとしても、少なくとも180Sは要らないでしょう。私はてっきり全部1.2Lターボになるのだと思っていました。状況の変化があったのでもはやオーリスRSを買うことはないとは思いますが、あのエンジンのオーリスは無くなってターボになるんだなあ、残念だなあと思っていました。しかし、RSはNAのまま健在です。良いのだか悪いのだか(苦笑)。何度も書いているようにオーリスRSはクラッチペダルの角度以外は素晴らしい車だと思います。クラッチペダルの角度が私に合わないというのは致命的でしたが・・・。CVTの180Sでも良い車ですが、相方からは「でかい」と言われて却下されました・・・。

 トヨタとオーリスに厳しいことを書いたのは、私自身は元々オーリスは良い車だと思っていた(評価していた)からです。そしてあくまで私の個人的な評価ではありますが、ゴルフ7がこけた(6の方が良かった)ので、追い越すチャンスだと思っていたのにオーリスも期待に反したと思われたからです。ちょっと気が早いかもしれませんが、フルモデルチェンジした三代目オーリスは、ゴルフ8をぶっとばせる車であって欲しいと思います。敵は強力ですが。なんにしてもこの120Tではゴルフには勝てません・・・・。

 まあ、実物も見ないで批判するのはフェアでないのは確かです。相方号としては厳しいですが(大きいので)、ともかく相方号候補として実物はどこかで見てきたいと思います。

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コメント

知識を自慢したいのか分からないけど、長文すぎてウザいよ。自論並べて何になるの? 気持ち悪いんだよね

投稿: | 2015年4月20日 (月) 21時00分

自論並べるのがブログ

投稿: | 2015年4月21日 (火) 13時20分

レクサスを除くトヨタ初のダウンサイジングターボで120Tには期待していたのですが、私も全く同じような感想を持ちました。
出力・トルクからMC前の180相当で220万くらいかなと勝手に予想していたせいも有るかもしれませんが(笑)
あと、ターボでレギュラーガソリン対応はスバルがやってますし、グループ内ですからノウハウが共有化出来ないものなんですかね。

投稿: 通りすがり | 2015年4月22日 (水) 15時52分

通りすがりさん、こんにちは。そうなんですよね。思ったよりもずっと値段が高いです。コストも高いのかもしれませんが・・・。
ガソリンは書いたように欧州向けに開発したからかなと私は思いますが・・・。

投稿: | 2015年4月23日 (木) 21時29分

おじゃまいたします。

大変参考になる記事をありがとうございました。
「ゴルフ梅」って表現が秀逸ですね。

投稿: まん | 2015年5月19日 (火) 18時23分

オーリス120Tは内装のセンスとかかなり萎えますが、エンジンとCVTの組み合わせは、試乗した限りでは秀逸でした。
できればシエンタやラクティスに搭載してほしいと思うくらいです。

価格は、トヨタ的には、素直に原価を上乗せしたのでしょうね。
あまり売る気がみられません・・・

投稿: kiseragi | 2015年11月 8日 (日) 19時33分

kiseragiさん、こんにちは。いまだうまくタイミングが合わず試乗出来ていませんが、パワートレインは良かったですか。反応見てから、なのでしょうかね。安い仕様にも搭載してくれれば良いと思いますが。

投稿: MOY | 2015年11月 8日 (日) 21時38分

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