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中立国の戦い

 車の話はちょっとおいておいて、最近読んだ本の感想です。光人社NF文庫、飯山幸伸著、「中立国の戦い スイス、スウェーデン、スペインの苦難の道標」。 第二次世界大戦で中立を守ったスイス、スウェーデン、スペイン中心にその他の中立及び非交戦国の「戦い」について書かれた本です。中立を守ったのに戦いとは?と思われるかもしれませんが、中立を宣言すれば、戦争に巻き込まれずに済む訳ではありません。中立を守るための戦いが必要になることが多いのです。
 中立が守られるかどうかは、基本的には周辺で戦争している大国の意向によります。決して、中立を宣言した国の意向、意志ではありません。
 スイスは何度も侵攻の危機にさらされ、攻めてきたらただじゃすませないぞという強い意志を示し、備えを怠らなかったため、ドイツをして攻め込んでも得られるものの方が少ないと思わせ、なんとか直接戦争に巻き込まれることなく終りました。しかし、両軍から誤爆という名目の攻撃を受け、領空を侵犯され、その迎撃により(全てが戦闘ではなく、事故も多いでしょう)200機の航空機を失っています。国を存続させるためには貿易は不可欠ですが、戦争中のほとんどの期間を枢軸国に囲まれていたため、実質的な貿易相手は枢軸国(過半がドイツ)にならざるを得ません。輸出したものには中立違反をとがめられる戦争遂行に必要な物資どころか武器そのものも含まれています。
 スウェーデンはやはり何度か侵攻の危機にさらされ、領内の鉄道や飛行場の使用を認めさせられています。スイスと同様に貿易の相手は過半がドイツで、ドイツの戦争遂行に必要だった鉄鉱石の輸出を続けています。反面、連合国側にビスマルクの動向を伝えたりもしています。勿論、スイス同様に「誤爆」されたり、領空を侵犯され、スイスよりは少ないものの、航空機も失っています。外洋にあった船舶のかなりのものを失っています。また、中立を守ったがゆえにノルウェーやフィンランドなどから見捨てたと恨まれます(特にノルウェー)。
 スペインはまだましですが、元々(って、まあ、フランコが政権とってからですが)ファシスト国家のひとつに含まれる国で、独伊からすると仲間と思われており、参戦の圧力を受けています。内戦で国土は荒廃しており、食料も不足。誤爆や領空侵犯は少なかったものの、連合軍のモロッコ・チュニジア上陸作戦の際には、すわ連合軍による侵攻か!と緊張が高まっています。
 スイスとスウェーデンは連合国からすると枢軸国の戦争に協力したと見られ、スペインは元々仲間だと見られており、連合国側からも色々な仕打ちを受けています。それでもこれらの国は中立を守りました。しかし、それは決して楽なことではなく、戦争が連合国の勝利に終ったことを考えれば、途中で連合国側に立って参戦した方が楽だったのではないかと思えるほどです。
 そのほかポルトガルや南米諸国、トルコなどについても書かれており、イランは中立を宣言したのに連合国から攻め込まれた例として取り上げられています。
 中立を守ることは、自らの努力が必要ですが、結局、中立が守られるかは、運や地理的、政治的状況も必要です。また、中立を守ったとしても、ほめてもらえる訳ではなく、周りの参戦国からは、いわば、自分勝手な国と見られてしまいます。中立を守るのはそれだけ大変です。

 非武装中立とかたわごとを言っていた人に是非読んでもらいたいですね。え?読むはずはない?え?だって、そもそもあれはソ連を招き入れるための方策だから?いや、のんきに信じていた人もいると思うのですけどね!?

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