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チャンドラ・ボーズ

 光人社NF文庫稲垣武著「革命家 祖国解放に燃えた英雄の生涯 チャンドラ・ボーズ」を読みました。この本はボーズについて書かれているので、当然のように、ボーズは偉大だったという内容になっていますし、この本を読んでいるとインド独立はボーズとインド国民軍の功績が大きいと受け取れます。
 が、私は興味深かったのはそこではなく、ガンディーについてです。ガンディーのイメージは非暴力非服従運動で、なんとうか、聖人、それこそ仏陀の生まれ変わりみたいなものがあると思います。ですが、この本で、いわば、ボーズのライバル(直接のライバルはネールかな?)として描かれているガンディーは、一言で言えば、「強かな政治家」です。ボーズが理想と理念の人だとすると、ガンディーはしばしば英と妥協し、理想よりも現実を選ぶ人であり、政治的な駆け引きに長けた人物です。そして、結果的に、ガンディーは独立にほとんど寄与することなく死んだ、という風に受け取れます。どちらが正しいかは別にして、視点が変われば、その人の評価も変わるということだなと思いました。
 どちらが好きか?個人的に付き合うならボーズですね。でも、公的に付き合うのならガンディーでしょう(あくまでのこの本の描写の)。理想のために信念を持って突き進む人は良い人でしょうが、一緒に仕事をすると大変です。現実には妥協が必要ですから(別にボーズがまったく妥協しないという意味ではないですが)。ガンディーはうさんくさいですが、仕事上の付き合いならうまくいきそうです。

 ボーズとは直接関係ないですが、面白かったのはインド国民軍の将兵が英国式で訓練を受けてそれになれていたので、車両ではなく、徒歩で移動させられた時に日本軍は自分達を冷遇していたと感じた下りです。いや、まあ、優遇していたとはいえないのでしょうけれど、何せ、帝国陸軍では一部の機械化(というか、正確には自動車化か)部隊を除けば、徒歩で移動は当たり前ですからね。勿論、車両や列車も使いますけれど、常に車両で移動ではありません。双方の文化・風習の違いで軋轢もうまれたようです。

 インド国民軍がインドへ突入できた可能性はほとんどありませんが(日本にその意思と能力が無かったので)、仮にボーズが早いうちに日本に亡命していて、開戦後、マレー半島へいって投降を呼びかけまくり、インド国民軍がより早期に成立、整備されていたらどうでしょう?日本にその意思があれば、1942年のうちなら、インドへ突入も絶対無理だったとはいえないようにも思います。
 ただ、そうなった時にそれがインド独立にどれだけつながるかは別の話でしょうけれど。もしかすると逆効果になったかもしれませんし。
 また、ボーズが独立インドの首班であったとしたら、どうなったでしょうね?ボーズは宗教対立を解消して一つのインドを目指していたので、印パ戦争は発生しない代わりに長い内戦に突入したのかもしれません。

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