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尖閣喪失:その1:尖閣問題の解決策

 中央公論新社、大石英司著、「尖閣喪失」の感想・・・というよりも読んだ後に思ったことのまとめです。ネタバレになるので本の内容にはあえて触れません。また、ある意味ではかなり過激・極論といえるかもしれませんが、考えられることを述べたものであり、可能性は高いものと低いものが混ざっています。

 尖閣問題の解決策はいくつかあると思いますが、現実には現状維持以外は難しいように思います。考えられる(現実性は別にして)のは以下の通りです。

1.中国が尖閣諸島の領有を断念
2.中国が尖閣諸島を領有
3.第三者が尖閣諸島を領有

 それぞれについて述べます

1.中国が尖閣諸島の領有を断念
 もちろん、日本は日本の領土であると主張していますので、1で決着することを目指しています。しかし、中国が諦めない限りは1で決着することはありません。なので、現実には、解決ではなく、現状維持で係争が続くということになるでしょう。
 ただし、長期的に見れば再度領有を目指してくることはありますが、中期的には断念する可能性はなくはありません。正確に言えば断念というよりもそれどころではなくなる、というべきでしょうか。世界第2位のGNPという経済力を背景に中国は強気に出てきています。大石英司氏が最近の作品で述べているようにアメリカはもやは中国の経済力を無視出来ません。両者の本格的な対立はもはやありえないでしょう。多数のアメリカ(実際には多国籍企業というべきかもしれませんが)企業が中国に工場を持ち、ある日突然中国と断交、ということがあったとすると経済的には大混乱が生じます。国債、ドルなど経済力で中国はアメリカを脅すことが出来ます。アメリカは中国の弾道弾に屈することはありませんが、札束には屈することはありえます。それは日本に対しても同じです。日本も中国との経済関係をいきなり断絶することは出来ません。
 前提条件はありますが、軍事的にはまだ日本側が優位に立っています。純粋に軍事的に見れば、米軍の手を借りることなく、中国による尖閣諸島占領を阻止または奪還は可能です(異論が出るかもしれませんが、これについては長くなるのでその2で後日述べます)。しかし、政治的経済的な理由でそれが実行出来るかは別です。現段階では尖閣諸島は日米安保の適用内という見解を出してくれてはいますけれど、そう遠くない将来に、アメリカは助けないどころが邪魔をする可能性すらあります、中国の札束に屈すれば。
 経済力=軍事力ではありませんが、経済力の裏づけがなければ、軍事力だけでは勝てません。勝つためには両方が必要です。我々はそれを70年近く前に思い知らされました(あの時はどちらも欠けていた)。
 棚上げしてきた尖閣問題で中国が強気に出てきているのは、経済力が背景にあるのは明らかです。以前は日本が圧倒的に経済力が上でしたが、今はGNPで中国が上回っています。

 しかし、言い換えると中国が経済力を失えば状況は変わるのです。中国で簡単に言えば(表現すれば)バブルが崩壊し、日本の失われた十年(もう十年じゃないという意見もあるでしょうが)のような状況になれば、経済力を背景に尖閣諸島の領有を目指すことは出来なくなるでしょう。
 無論、経済状況が悪化したが故に国民の不満を外へ向けるために軍事的手段により尖閣諸島の領有を目指すことはありえます。しかし、その場合に、経済的に日米が優位に立っていれば、軍事的手段で対抗すれば良いのです。
 ですから、中国の経済力が衰え始めるまで、現状を維持出来れば日本の勝ちと言えるでしょう。無論、現在に近いレベルの経済力を日本が維持していなければなりませんが。

 現状の力関係のまま日中の関係が致命的に悪化したらどうなるでしょう?この時は日本の意思次第です。あくまで、尖閣諸島は日本のものであるという立場を取り続ければ、中国が軍事的に占領し続けるのは難しいでしょう。前述の通り、前提条件はありますが。尖閣諸島は日本の領土ですから、そこでの軍事力の行使は、現在の憲法解釈の元で可能です。上陸した中国軍を排除して奪回することは「防衛」に過ぎません。また、自衛隊を尖閣諸島に配備することも可能です。今それをやると対中関係が一気に悪化するので出来ませんが、既に悪化しているのなら、躊躇する理由はありません。
 すぐにそういうことにはならないでしょうが、徐々に日本が中国との経済的関係を弱めていき、何か起きても困らないようにした後であればありえます。アメリカが頼りにならなければロシアやインドをの同盟も考えられるでしょう。とはいえ、ここ5年位の間に中国との全面対立は得策ではないと思いまし、尖閣諸島のためだけに、全面対立するのは避けるべきだと思います。

2.中国が尖閣諸島を領有
 日本がその気になら、明日にでも問題は解決出来ます。しかし、今度は日本の政権が持たないでしょう。現実にはこれもありえません。
 1と同じ(というか逆か)で、今後日本の経済力が更に弱くなり、中国の経済力が更に強くなれば、結果的には中国に引き渡す日が来る可能性はあるでしょう。うまく立ち回れば何かと引き換えに出来るかもしれません。そうでなければ、ある時占領され、奪回することも出来ずそれっきりです。
 今はまだ日本にも経済力はあります。もし、今、中国が強引に占領して奪い、何らかの理由で(経済的、政治的なものでしょう)直ちに奪回できなかったとしたら、その後は日本は中国からの奪回を目指して国が変わっていることが十分考えられます。アメリカが手助けしないどころが邪魔をして奪回できなかったとしたら、日米安保も解消して、自主防衛の道へ進んでいくこともありえなくはないでしょう。その場合、中国からしても、デメリットが大きすぎるように思います。やろうと思えば、日本には核武装する技術と経済力はあります。今はその意志を持たないだけに過ぎません。外交、政治、経済的なデメリットが大きすぎますから。しかし、日本が孤立し、追い込まれれば、核武装を選択する可能性はあるでしょう。中国に敵意を持った軍事大国が出現することを望む訳はないでしょう。ま、経済力次第でしょうけれど。

 また、日米関係に致命的な亀裂が生じた場合に、日米同盟を破棄し、中国との同盟を選択する可能性もゼロではないと思います。この場合、状況によっては、尖閣諸島を差し出す必要があるかもしれません。逆に日本が傘下に入れば、わざわざ領有しないでも日本ごと自分の物になったと考えるかもしれません。

3.第三者が尖閣諸島を領有
 従来の尖閣問題についての議論は日中どちらかが領有して決着するというものが主だったと思いますが、第三者が領有するという解決・決着も理論的にはありえると思います。
 一つは沖縄の独立です。沖縄が日本への復帰を選択したのは占領軍である米軍の下にいるよりも、日本へ復帰した方がましだと考えたからでしょう。この辺は、最近読んだ佐藤優氏の著作で述べられています。ですが、日本へ復帰したものの米軍はいなくならず、日本の沖縄への扱いも期待通りではなかったというのが現状でしょう。そうであれば、沖縄の独立はありえない話ではないと思います。佐藤優氏は元外交官としてそれだけは避けなければならない、沖縄を独立へ追いやってはいけないと説いています。
 沖縄が独立すれば、現在沖縄県に属している尖閣諸島も独立国家に属するはずです。ただし、例の国有化の話があるので、土地の所有の話は別ですが。独立した沖縄の名称はとりあえず琉球と仮称しておきます。独立国だった時代の名称は琉球ですから。琉球国でも琉球共和国でも琉球王国でも良いです。
 尖閣諸島が琉球の領土になれば、日中間での尖閣諸島をめぐる領土問題は存在しなくなります。日本にとっての尖閣諸島問題は完全に解決するのです。それは日本が望むものではないかもしれませんが。当然、今度は琉球と中国の間で尖閣諸島問題が発生しますが、それは日本の問題ではありません。
 ただし、日本が沖縄=琉球の独立を認めた際に尖閣諸島はあくまで日本の領土であり、独立する琉球には含まれないという立場をとれば、今度は日本と琉球の間で尖閣諸島領有問題が発生しますけれど。実際には琉球の独立を認めるという状況で、尖閣のみを領有しようとはしないと思います。完全な飛び地になりまし、警備の拠点もほかにありません。
 ああ、例えば、琉球は独立するものの日本と連邦を構成するという場合には、尖閣諸島は日本領にとどまることもありえますね。また、琉球に属したとしても、日本国と中国の領土問題はなくなっても、新たに出来る連邦国家と中国の間で領土問題は残ります。
 そういう意味では独立の形態によって、日中間の領土問題が解消(というか消滅)するかどうかが変わりますね。

 実際に、琉球が独立するとしたらそれは日米からの離反を目指すからでしょうから、中立国になるか、日米以外の周辺国との同盟を結ぶかのいずれかでしょう。力関係から言えば、中国との同盟がもっとも考えられますが、中国を受け入れられない場合には、例えば韓国や台湾との同盟もありえなくはないでしょうね。遠交近攻政策でロシアと同盟を結ぶという手もあるかもしれません。以前より弱体化したとはいえ、核保有国であり、まだ相応の艦隊も保有しています。その一部が沖縄に駐留すれば(アメリカよりましな駐留軍かどうかは別の話ですが)、中国も早々手を出せないでしょう。
 台湾が台湾共和国として完全に中国とは別の国になった後に連邦を構成するという手もあるかもしれません。この場合、中国は本来は自分の支配下の国だとして強く出てくるでしょうね。まあ、余り得策ではないか。

 琉球以外が領有する可能性も理論上はありえます。例えば、アメリカ。普天間や辺野古などの返還と引き換えに尖閣諸島をアメリカへ譲渡するというのはどうでしょう?アメリカからするとメリットはほとんどありませんが、日本から見ればメリットはあると思います。まあ、アメリカが中国に譲歩して尖閣を引き渡すということもあるかもしれませんけどね。

 台湾へ譲渡するというのはどうでしょう?台湾も領有を主張しています。日中関係が致命的なまで悪化し、もし、国交断絶という事態に至った場合台湾との国交回復もありえます。その際に、台湾に親中政策を取らせないようにする手段として尖閣を引き渡すというのはありえるのではないでしょうか?

 非現実的でしょうが、尖閣諸島と北方領土の交換はいかがでしょう?面積からするとロシアが大損ですが、資源がある可能性はありますし、小さいとはいえ、凍らない海、です。現状、港らしい港はありませんが、人工的に作ることは不可能ではないでしょう。今後中国と対立していくのならロシアを味方につけるのが得策でしょう。かといって北方領土を譲るというのも色々と問題があると思います。なら、尖閣諸島との交換はどうでしょう?ロシアを引きずり込んで、矢面に立たせるのです。まあ、さすがにこれはロシアが飲まないかな?
 ロシアと韓国を対中包囲網に引き込むための手段として尖閣諸島を北方領土と交換し、竹島の領有を韓国に認めれば、日本の領土問題は一挙に解決します。机上の空論ではありますけれど。

 以上はあくまで可能性を考えたものであって、現実的にはありえないことが多いとは思います。日本が取るべき方策は既に述べたように中国の経済力(国力といってもいい)が低下するまで、なんとか現状を維持することでしょう。

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