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尖閣喪失:その2:軍事的解決手段についての補足

 今朝起きたら雪は降っていなかったので、予報は外れたのかなと思ったのですが、相方を駅へ送っていこうと外に出たら、なんと吹雪!うっすらと路面にもつもり始めています。幸い、問題なく駅まで往復できましたが、戻ってきたら駐車場にもうっすら積もっていました。ただ、降ったのは一時間ほどで、帰ってきたらもう融けていました。

 さて、続きです。誤解を招かないように最初に述べておきますが、核さえ使われなければ、中国軍など鎧袖一触だという主張ではありません。あくまで、以下の前提条件が満たされるのなら、現段階なら、もし、占領されたとしても、日本単独で軍事的な手段での奪回は可能だと考えるということです。

1.アメリカの支持
 支援や介入は必ずしも必要ではありませんが、日本の軍事行動をアメリカが支持してくれる必要はあります。支持がないとすると、下手すると国連安全保障会議で日本への非難決議が通ります。
 また、支持がないということは、中国が弾道弾(核か非核は問わず)の使用を阻止出来ません。日本に核はなく、中国には核があります。中国が核を使用出来る状態なら、日本は勝てません。実際に使用する必要はありません。日本が軍事行動により奪回するというのなら、核搭載弾道弾も含めてしかるべき対抗措置をとるといわれれば、日本は引き下がるしかありません。しかし、米の支持があれば(実際に弾道弾での報復をしてくれるかはわからなくても)、それは阻止出来ます。

2.尖閣諸島周辺での局地戦にとどまること
 1があれば、局地戦にとどまるとは思いますが、核を使わなくても、全面戦争になれば、日本に勝ち目はありません。数では中国が圧倒的に上回っています。尖閣諸島に戦力を集中している間に、例えば、海岸に位置している原発へ同時多発的に特殊部隊を送り込まれたら阻止出来ないでしょう。やるかどうかはわかりませんが、別の島へ上陸されてもすぐには対応出来ません。
 当然ながら(現実はないでしょうが)、全面戦争になったら、日本が先に戦力をすりつぶされます。仮に2倍、3倍の損害を中国軍に与えたとしても、いつかは戦力がつきます。そうなれば負けです。

 上二つが成立しているなら、現状の戦力でなら、日本は奪回可能と考えます。理由はいろいろあります。

1.空軍での優位(少なくとも劣らない)
 早期警戒機・空中管制機の能力差が大きいでしょう。戦闘機の能力も少なくとも同等以上であると思います。中国側がSu-27系戦闘機のみを投入してきたとしても、近代化改装済みのF-15Jなら十分戦えます。それ以外の戦闘機が相手なら、優位であるのは明らかでしょう。
 通常問題になる対地攻撃・支援能力も場所が小さい尖閣諸島でなら、不足はないと思います。対艦攻撃力なら圧倒しているといるでしょう。制空権を握れれば、P-3Cによる飽和攻撃も理論上は可能です(どれだけミサイルの在庫があるかよくわかりませんけど)。

2.海軍での優位
 現段階では、水上戦闘艦の質では海自が上ですし、数も近代的なフリゲート、駆逐艦に限定すれば海自が上といえるでしょう。怖いのはミサイル艇の大量投入位です(個々には容易に撃破・撃沈出来ても、数が多いと取りこぼす可能性がある)。
 潜水艦は原潜を有する中国側に優位な面もありますが、尖閣諸島周辺に限定すれば、ひりゅう型もありますし、優位に戦えるでしょう。どちらかといえば、どこまで戦闘海域を広げるかが問題かもしれません。対潜能力の差もまだ海自が上です。
 揚陸能力も尖閣諸島に展開できる程度の陸上兵力に限れば、十分です。ひゅうが、いせもヘリコプター揚陸艦に使えます。

3.展開出来る陸軍兵力が限定される
 狭い島では、中国軍の数は生きません。物理的に展開出来る兵力はそれほど多くありません。一度上陸した部隊が殲滅されれば、増援を送るとしても海路または空路に限られます。上陸した中国軍を殲滅出来たということは、制空権、制海権は日本側が持っているということですから、増援は送れません。

 中国軍がその気になれば、上陸を完全に阻止するのは難しいです。常に海自の艦隊を貼り付ける訳にはいきませんし、本気で上陸しようとするのかどうかはわかりません。よく言われるように漁船に分乗して大量に押しかけられたとして、それを上陸前に片っ端から撃沈するのは色々な理由で無理でしょう(最初にその許可を出せるのかが最大の問題)。

 準備が終って、奪回に乗り出せば、既に述べた理由で奪回は可能だと考えます。ただ、それを何度続けられるかは別の話です。もし、中国が犠牲をいとわず、漁船またはその程度の船で繰り返し繰り返し上陸を行った場合、いつまで奪回できるかはわかりません。
 ただ、今の状況で、中国が果たしてそこまでの犠牲を払うのか?という疑問はあります。北朝鮮と違って中国はまったく理解不能な国だとは思いません。ある意味、日本よりも冷静に利害を計算した上で行動していると私は思います。言い換えると現段階で中国が軍事力による尖閣諸島の占領を試みる可能性は低いと思います。大石英司氏はある方法での占領を「尖閣喪失」で提示しています。これは他の尖閣諸島に中国軍が侵攻する本とはかなり違います。日本側も「尖閣喪失」のような対応が出来るかはわかりませんが。

 最初に述べた条件二つの成立は甘すぎると思われるかもしれません。しかし、米が仮に中国の行動を黙認するとしてもそれは尖閣諸島に限られると思います。もし、尖閣諸島の占領のために沖縄各地への攻撃を行ったとしたら?それも米が黙認すると考える人は少数だと思います。もちろん、日米との全面戦争を中国が決意・・・なんてこともまずはありえないでしょう。それは中国自身にとっても経済的破綻を招きます。むろん、その1で述べたように経済状況が変化すれば話は別ですが、ここでは、現在または近い将来を想定しています。
 なので起こりえるのは、尖閣諸島での局地戦、であると考えます。想定外に備えろ?それは不可能です。備えるためには、想定が必要ですから。考えられる想定に全て備えられるように努力する必要はありますし、想定が甘くて、想定出来たことが想定外になることが無いようにする努力も必要ですが。
 想定しても備えられないというか対策が取れないものもあります。例えば、米中が尖閣諸島を中国のものとすると決めてしまったら、それに逆らうことは出来ません。ですから、それへの備えは、そうした状態になった後にどのように奪回するかではなく、そうした状態にならないようにどうするか、でしょう。

 なお、日本は軍事力で尖閣諸島の奪回は出来ない、中国の軍事力を過小評価していると書かれていたので、買って読んだ本がありますが、中を見たら・・・・弾道弾や巡航ミサイルを使われたり、全面戦争になったら勝てないと、それを考えずに簡単に奪回出来ると言っている人が多い、という程度しか書かれていませんでした。元も単行本で出ていたものを新書で出し直した時に今の状況も踏まえて少し書き足したのを、宣伝文句として外に書いていただけでした。なーんだ、です。それをまったく理解しないで言っている人は少数だと思います。私のような素人でもわかっているのですから。どのような分析で中国軍が優勢なのかそれが楽しみだったんですが。時間があればもう少し立ち読みして確認してから買ったのですが、時間がなくてそのままぱっと買ってしまいました。本そのものの内容は駄目だとはいいませんけど、看板に偽りあり、という感じはしました。本そのものの感想は、時間を見つけて書きたいと思います。

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