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多数の小型空母と少数の中大型空母

 最近、横山信義氏の架空戦記作品で、予算の都合で中大型空母の代わりに小型空母を登場させることが増えています。多数の小型空母と少数の中大型空母はどちらが良いかは、既に結論が出ていると思ったので意外でした。どちらが良いか?それは現在の米海軍が示しています。大型空母です。

 もちろん、軍縮条約などの制限でやむなく小型空母を建造することはあるでしょうし、商船改造(商船規格)の簡易小型空母を船団護衛用などに大量に建造することもありえるとは思います。ただ、決戦用(あえてこの用語を使います)の空母なら、大型が有利なのは明らかでしょう。

 そもそも予算を考えると小型空母は不利です。例として祥鳳と蒼龍、飛龍、翔鶴を比較してみます。排水量、搭載機数(+3は捕用機3機を意味する)、乗員数です。

祥鳳:11200t,27+3機,785人
蒼龍:15900t,56+16機,1100人
飛龍:17300t,56+16機,1101人
翔鶴:25675t,72+12機,1660人

蒼龍排水量と乗員数は、約40%多いだけですが、搭載機は倍です(補用機を考えるかで細かい数字は変わりますが)。飛龍は排水量は54%多いですが、乗員数だと40%多いに過ぎません。翔鶴は排水量で130%、乗員で111%多いですが、搭載機は167%多いです。

補用機を含めないで計算しても、1機あたりの排水量、乗員は
祥鳳:415t/機、29人/機
蒼龍:284t/機、20人/機
飛龍:309t/機、20人/機
翔鶴:357t/機、23人/機
です。

 建造費の比較は、祥鳳を最初から空母として建造した時にいくらになるのかわからないので直接の比較は出来ませんが、概ね排水量で比較できると思います。蒼龍がもっともコストパフォーマンスが高いと言えますが、翔鶴ですらまだかなり勝っています。
 同程度の搭載機を運用するためには、蒼龍や飛龍一隻に対し、祥鳳二隻が必要ですが、排水量、人員とも倍以上必要です。建造コストも倍以上と見てよいでしょう。
 史実の祥鳳は、条約の制限下で将来空母に改造可能に建造されたため、実際には更にコストがかさんでいます。仮に最初から空母として建造されたとしても、大雑把に言えば、祥鳳型を3隻建造し、運用するのと同程度のコストで蒼龍型を2隻建造し、運用できるでしょう。そして、搭載機は81機対112機で後者が圧倒的に多いです。もちろん、航空機関係のコストはその分かさみますが。
 なので、史実でも雲龍型をさらに簡易化して戦時量産空母としたのでしょうし、その判断は私は正しかったと思います。建造に約二年を要して実質的に役に立たなかった訳ですが、それは建造開始の決断が遅かっただけでしょう。

 小型空母のメリットはカタパルトを有さない日本の場合には、同時に離発着できる数が増えることでしょうか。後は、攻撃を受けた際に航空機運用可能な空母が残る確率が高くなることでしょう。ただ、攻撃を受けた際に損傷だけですまず、沈没する確率は高くなると思います。

 なので、条約の制限(排水量の規制)でもない限り、小型空母を建造するメリットはないと思います。日本の史実の小型空母も龍驤は条約の制限によるものですし、そのほかは、条約逃れのためです(空母以外の艦として建造し、後に空母に改造)。

 もちろん、戦時急増の場合に、既存や建造中の艦を小型空母に改造することはありえますし、前述のような護衛空母もありでしょう。ここで、問題にしているのは、正規の小型空母を建造することの是非です、念のため。

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