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ユーザーのためにならない低燃費

 アルトエコの話です。我が家は、エコカー?そんなの興味無い、という家なのでほとんど注意を払っていなかったのですが、この記事には腹が立ちました。ちょっと前の記事ですが。
http://response.jp/article/2012/02/11/169866.html
 アルトエコがJC08の燃費でミライースを上回るためにはノーマルのアルトから軽量化することが必要で、そのために燃料タンクを30Lから20Lに小さくした、というのは前から聞いていました。それだけでも、意味がないと思っていました。確かに軽くすれば燃費は良くなりますが、燃料タンクを10L小さくしていったいどれだけ軽量化されるのか?それを考えたら、30Lのままでがんばるべきだろうと。
 しかし、実態はもっと酷い(悪質)ことが判りました。JC08のモード燃費の審査では、測定はローラーの上で行われ、その負荷が車重で変わるそうです。740kgまでは800kg分の負荷、740kgを越えて855kgまでは910kg分の負荷だそうです。
 ミライースは、730kgであるのに対し、ノーマルのアルトはCVTで760kg(燃料、潤滑油込み)なので、740kg以下にしないと負荷が大きくなり、燃費で負けます。なので、740kg以下にするために20kgの軽量化が必要で、そのために燃料タンクを小さく・・・していません。ええ、小さくしたのだと思っていました。しかし、実際にはアルトの30Lの燃料タンクの中にしきりを設けて20Lしか入らないようにしているのです。
 つまり、燃料無しのドライ重量では、30Lタンクのままよりも、若干ですが増加しています!車を重くして計測条件を変えて燃費を向上させているのです!スズキのエンジには恥ずかしくないのでしょうか?確かに短距離走行が多く、20Lでも30Lでも大差ないかもしれません。が、航続距離は明かにノーマルのアルトが上です。エコは2/3しか入りません。そして当然ながら燃費は1.5倍良いということはありませんから。

 ミライースに対して、短期間で仕立て上げるためには他に選択肢は無かったのかもしれません。しかし、そこまでしてJC08のモード燃費で勝つためだけの車を作ることに意義があるのでしょうか?現実にはアルトエコとしきりを外した30L入るアルトエコの燃費はほとんどかわりません。運転者の体重や荷物、道路状況の方がはるかに影響は大きいでしょう。

 自動車評論家の論評を見ると、ミライースよりもアルトエコの方が乗り心地など優れている点は少なくはないようです。その点、短期間で仕上げたスズキのエンジニアを褒めたいとも思います。が、この燃料タンクだけは許せません。カタログの燃費だけを良くするための改悪ですから。

 これだけでスズキの車を買いたく無くなります。スイフトスポーツもスズキなんですよね・・・・。ただ、当然ながら開発チームは違いますし、チーフエンジニアの竹内氏のインタビュー記事などを読むとアルトエコとはまったく違って、実にまじめに良い車にしようと開発したことがうかがえます。だから、スズキがというよりもチーフエンジニアの問題なのでしょうけれど・・・。ある自動車評論家のブログの記事で、これだけで判断は出来ませんが、アルトエコのチームにはこの記事でも良い印象を受けません。
http://autoc-one.jp/kawamura/blog/966399/
 良く読むとここに、燃料タンクを見かけ上削ったと書かれていました。スイフトスポーツとの違いも書かれています。同じ人のブログのスイフトスポーツだとこんな感じ。
http://autoc-one.jp/kawamura/blog/954233/

 この人の論評の是非は別にして同じ自動車評論家が同じメーカーの違う車の開発エンジニアに対していだいた印象の違いは参考になると思います。

 もちろん、メーカーのスズキの姿勢に問題はありますが、元はと言えば経産省の問題ではあります。重量区分により負荷が大きく変わるという現行の制度では当然メーカーはこの境目で一つ低い区分に納めようとします。それにより、たった10kg違うだけで、カタログ燃費が違ってきます。他にもそういう例はいくらでもあります。例えば86/BRZ。RC/RAは1190kgで13.4km/l。G/Rは1210kgで13.0km/l。20kgの重量差で変わっているのではなく、重量区分が変わるからかわるのでしょう。

 前にも述べたようにエコカーの認定基準も同じです。こっちは逆に重量区分を一つあげると燃費の基準が緩くなるので、10kg重くして燃費を悪く(少しとはいえ、絶対良くはならない)するとエコカーに認定される場合があります。

 結局、これは区分が大雑把だからでしょう。リニアに何故出来ないのでしょうか?JC08なら車重の110%の負荷をかけるとか、そういう決め方は出来ないのでしょうか?測定器が対応出来ない?そんなことはないと思いますが・・・。
 エコカーの認定もそうです。重くなってエコというのはありえません。勿論、元々重たい車でも燃費の改善に取り組んでいる場合には優遇するという意味合いがあるのは判りますが、絶対的に燃費が悪いのにエコだというのは理解出来ません。こっちは絶対燃費で行くべきでしょう。

 燃費も本来は実走で測定すべきでしょうが、運転者のばらつきがあるので測定が公平ではないということになるのでしょう。だったら、いっそ、経産省が認定したコースをメーカーが用意した10人のドライバーに走らせて、その平均値を採用するのはいかが?ドライバー込みで低燃費になるようにがんばればいいのです。ドライバーの差により実際の車の燃費が同じでもカタログ燃費が違う場合も出てきますが、それでも良いでしょう。メーカーはどう運転すれば燃費がよくなるかを研究するでしょうから。これまた受験対策に終始するかもしれませんが、ユーザーにこう運転すれば良くなりますよとガイドすることが出来るかもしれません。エコインディケーターみたいなので誘導することも出来るでしょう(それで渋滞起こすような運転では困るけれど)。

 メーカーは基準の中で良くも悪くも努力しますから、やはり基準を改善しないと駄目です。経産省や環境省が本気で自動車の燃費を良くしたいと思うのなら基準の改定は必須です。そしてやはり燃料課税一本化がもっとも効果的でしょう。取得税も自動車税も重量税も撤廃し、全てを燃料課税に一本化すれば、ユーザーは本当に燃費が良い車を求めますし、メーカーもモード燃費対策ではなく、実際に燃費が良く車を開発するはずです。

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